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わが家は地震に耐えられるのか?

大きな地震が増えてきましたね。
日本列島は、地震の活動期に入っていると言われています。
首都圏直下も、南海トラフも、いつ発生してもおかしくない状況です。

人命を奪われることもある大地震、怖いですね。

と、出だしから脅してしまいましたが…。
でも、「揺れ」に対しては備えることができるんです。

耐震性能、という言葉は聞いたことがあるでしょうか。
どれほど大きな地震に耐えられるかという、
建物の強さをあらわす性能のことです。
ご自宅はどの程度の地震まで耐えられるか、ご存知ですか?

実は耐震性能がどの程度かというのは、
家を建てた年代によって、ある程度推測することができます。
というのも、耐震性能というのは建築基準法によって最低限の基準が定められており、それを下回る建物は建てることができないからです。

建築基準法の耐震基準はこれまで、
1981年2000年に基準が引き上げられてきました。

1981年には、それまでの「震度5の地震でも倒壊しない耐力」から、想定震度7まで引き上げられました。

2000年には、さらに柱の引き抜け防止金物、壁のバランス、基礎を鉄筋コンクリートにするなど、詳細な規定が追加され、これが現行の基準となっています。

【実際、地震に耐えられたのか?】


2016年の熊本地震では、震度7を観測しました。
このときの建物の被害状況を、国交省が調査したデータがあります。

熊本地震の被害状況


1981年までの建物
は想定震度が5でしたので、28.2%が倒壊・崩壊してしまいました。この年代の建物は耐力が不足していることが明らかなので、旧耐震と呼ばれ、耐震改修には補助金などの公的な支援もあります。

しかし、1981年~2000年の建物は想定震度が7とされていましたが、8.7%が倒壊・崩壊しています。この年代の建物は、壁のバランスが悪かったり、柱が土台から引き抜けてしまったりして、耐力をきちんと発揮できない状態の建物が存在しているのです。

【1981~2000年までの建物は要注意!】


熊本地震での被害状況の結果を受け、1981~2000年の建物にも、耐震診断の実施などに補助を始める自治体が、一部ですがあらわれてきました。

東京都杉並区では、地震保険に加入しているなどの条件はありますが、1981~2000年に建てられた住宅に、下記の簡易耐震診断の助成を行っています。

杉並区耐震化リーフレット7

この簡易診断でNGとなったら精密診断に進み、必要なら耐震補強工事を行う、という流れになります。

この簡易耐震診断は、もともと「所有者が自分で診断してみましょう」と、日本建築防災協会から具体的な診断方法が公開されてます。(下線部をクリックすると詳細な診断方法のリーフレットへジャンプします)

チェック2の接合部の仕様というのは床下に潜らないと見えないため、ちょっとハードルが高いですが、チェック1・3・4はご自身でも簡単にチェックすることができそうですよね。

ご家族の命を守るためにも、まずはこの簡易耐震診断を行っていただき、安全性のチェックをしていただけたらと思います。

【家はどこまで強くすればいいのか?】


耐震性能は、どこまで強くすれば安心なのでしょうか。

実は2000年以降、建築基準法を上回る耐震性能を備えた場合、その強さを定義することができるようになりました。
住宅性能表示制度といい、性能を等級によって表示します。

耐震等級1:建築基準法程度(最低限)
〃 等級2:  〃  の1.25倍の強さ
〃 等級3:  〃  の1.5倍の強さ

等級の数字は大きいほど性能は良く、耐震等級3ではなんと、「震度7でも倒壊しない」という建築基準法の基準の、さらに1.5倍の耐力を備えていると定義されています。

ではこの耐震等級3というのは、実際にどれほどの強さなのでしょうか。
先ほどの熊本地震での調査結果で、等級による比較もなされていました。

熊本地震の耐震等級3


なんと、震度7の熊本地震では、耐震等級3の建物は倒壊・崩壊・大破・中破までがゼロ!9割近くが無被害、被害を受けても小さくて済んだ、という結果が出ました。

耐震等級3の評価を取得すれば、このように地震に対する安全性が実証されているため、地震保険の保険料も50%割引されます。
地震保険料は年々上がる一方なので、ありがたいですね。

これから家をご新築になる方は、ぜひこの耐震等級3を目指し、安心・安全なお住まいをつくっていただけたらと思います。

もちろん、この耐震等級3という評価は、耐震改修のリフォームでも取得することができます。既存住宅用の住宅性能表示制度があるのです。

評価を取得するには、費用は10万円ほどの申請料と、申請を代行してもらうならその手数料が必要ですが、地震保険の保険料が生涯50%割引になることを考えれば、十分もとが取れる金額でしょう。

2000年までの建物は耐震改修が必要な場合もあるとお伝えしましたが、この耐震改修を行う際に、工務店に「耐震等級3を取得したい」と伝えてみてください。

あまり活用されている制度ではないので、もしかしたら面倒そうだと思われて、「時間がかかる」「手間がかかる」と、いい返事が得られないかもしれません。

しかし第三者に性能を評価してもらうというのは、建物の資産価値を上げることにもなります。あきらめずに、住宅性能評価の取得を目指していただけたらと思います。

みなさまご家族が、安心して暮らせる家になりますように。(^^)

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