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資産になるリフォーム、ならないリフォーム

中古住宅を売却する場面に立ち会うと、売主さんからこんな言葉を伺うことがあります。

「これまでたくさんリフォームをしてお金を掛けてきたのに、こんな安い金額でしか査定してもらえないなんて!」

見ると、確かに増築したり、テラスやバルコニーを後付けしていたり、リフォームで追加されたと思われるものがたくさんあります。
お金、掛かってますね。

これらのリフォーム履歴は、売る時の査定にプラス評価してもらえないのでしょうか?

実はリフォームの内容によって、査定時にプラスになる、つまり資産として評価されるリフォームと、まったく評価されないリフォームがあるのです。

リフォームには資産として残るものと、消費で終わってしまうものがあるということです。せっかくお金をかけてリフォームするなら、なるべく多くを資産として残していきたいですよね。

では本日はこの「資産価値」を基準に、リフォームを考えていきましょう。

家の資産価値とは

まず、資産価値を高めるリフォームを考えるために、そもそも家の資産価値とは何かを考えます。人により価値基準は異なるところですが、不動産の売買という基準で考えると、

 ①残存価値(あと何年住めるか?)
 
機能・性能(快適・安心に住めるか?)

が、査定額に影響する家の資産価値となります。

中古住宅は言わずもがな、住めば住むほど、①の残存価値はどんどん短くなっていきますね。また、②の機能・性能も、技術革新が目覚ましい新築住宅には叶いません。だから、中古住宅は安いんですね。

でも、もしリフォームにより①の残存価値(建物の寿命)を延ばし、②の機能・性能を引き上げていたらどうでしょう。

新築並みの住み心地で、しっかりとメンテナンスされていて、あと30年は大きなリフォームをしなくても暮らせるとなれば、そうでない中古住宅より高値で売れるのは当然ですね。

資産価値を高めるリフォームとは

つまり、

 ①適切なメンテナンスにより寿命を延ばす
 ②機能・性能を向上させる

というリフォームが、資産価値を高める、つまり中古住宅として売り出す時に高値をつけやすくなるということです。

具体的には、下記のようなリフォームです。

①適切なメンテナンスの例:
 ・外装(屋根・外壁・バルコニー防水)の手入れ
 ・シロアリ対策(防蟻工事)
 ・老朽化した設備配管(水道管など)の更新 など

②機能・性能を向上させるリフォームの例
 ・最新の設備機器類に交換(機能性向上)
 ・耐震補強工事(耐震性能向上)
 ・断熱補強工事(断熱性能向上) など

これらの工事を資産価値として反映させるには、その工事の信頼性を証明するために、いつ・どこ(施工業者)で工事をしたのかというリフォーム履歴を残しておくことが大切です。

その反対に、資産として評価されにくいのは以下のようなリフォームです。

 ・個人の趣味や嗜好がつよいもの
 ・デザイン的にちぐはぐなもの
 ・違法なもの

自分の趣味や嗜好に合うようにリフォームするのは当たり前というか、それがリフォームの醍醐味だったりするわけですが、それはあくまでも「自分のための価値」なんですね。
それがうまくハマる買い手が見つかればいいのですが、逆に敬遠されてしまう場合もあるため、査定額に反映させるのは難しいのです。

次のデザイン的にちぐはぐというのは、部分的なリフォームを繰り返す場合にハマりがちです。デザインも購買欲に影響しますので、趣味や嗜好にも通じますが、やはり査定額に反映させるのは難しいです。

そして違法なリフォーム。確認申請が必要なのに申請せずに増築したなど、中古住宅には案外違法状態の物件が多く存在します。カーポートや小屋裏収納の設置など、もしかしたら施主自身が違法であることを知らずに工事を行っている場合もあるかもしれません。
違法建築物となると、最悪は売買の際に銀行の融資が受けられない場合もあります。逆にマイナス査定となってしまう可能性もありますので、ここは十分ご注意いただきたいところです。

さて、冒頭の売主さんの話に戻りますが、この売主さん、ずいぶんリフォームにはお金を掛けていらっしゃいました。
しかし建物をよくよく拝見すると、以下のような特徴がありました。

 ・リフォームにより個人の趣向で付け足されたものが多い
 ・メンテナンスのリフォームはほとんどされていない
 ・増築により建物のバランスが変わっているが、耐震の安全性が検証されていない

欲しいものを手に入れる、というのはごく当たり前の一般的なリフォームですが、それだけでは残念ながら、資産として評価するのは難しいのです。
どれだけたくさんのお金を掛けても、資産として評価されないばかりか、家の寿命も延びない…。それでは老後も不安ですよね。。

資産価値を保つリフォームにするには、やるべきメンテナンスをしっかり行い、機能や性能にも目を向けつつ、自分の趣味嗜好も取り入れながら計画的に行うことが大切です。それができれば、老後も安心して、快適に暮らせる家になるんですね。

せっかく手に入れたマイホーム、ぜひ「資産」として末永く保っていただければと思います。

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