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「自分の名前で仕事する力」が問われる時代を生き抜く、4つのワークスタイル

少し前は「人生100年時代」というキーワードに端を発して、また2020年になってからは「コロナ不況」をきっかけとして、働き方に関する議論がかなり盛り上がっています。

大手企業を中心に進む「人件費対策」

特に最近では、電通が発表した、「一部の正社員を業務委託契約に切り替え、『個人事業主』として働いてもらう制度」が話題になっていますね。

まずは2021年1月から全体の3%に相当する約230人を切り替える。電通では副業を禁止しているが、新制度の適用を受けると兼業や起業が可能になる。他社での仕事を通じて得られたアイデアなどを新規事業の創出に生かしてもらう考えだ。
新制度の適用者は、営業や制作、間接部門など全職種の40代以上の社員約2800人を対象に募集した。適用者は早期退職したうえで、電通が11月に設立する新会社と業務委託契約を結ぶ。契約期間は10年間。電通時代の給与を基にした固定報酬のほか、実際の業務で発生した利益に応じてインセンティブも支払われる。

ネット上の記事やYoutube動画などで論点になっているのは、「労働法に守られないことのリスクは?」や「これは新手のリストラなのか?」といったものが多いです。

競合他社との業務が禁止されていたり、年齢制限があるといった点で、先行して取り組みを発表したタニタのケースとは異なる点でも物議を醸しています。

巨大な人件費を負担し続けることに耐えきれなくなる企業を中心に、多少の違いはあれど、似たような傾向は続いていくでしょう。もしかしたら、数年も経てば、どこの会社でも珍しくなくなっていくかもしれません。

一方、例えばリクルートは、40歳になる前に退職すると少なからぬ退職金がもらえ、「38歳定年説」などとも言われていた会社です。もともと、独立や起業を志して入社してくる人が多いからできる制度だ、とも言われますが、結果として人材輩出起業となるうえで、「元リクルートの経営者」が多いことは一つのステータスを生み出す理由にもなっています。

僕がこれら一連のことから感じるのは、「意欲や能力が高い人にとって嬉しいルール」の適用範囲が、世の中全体を通じて広がっていくのではということです。

この流れを歓迎して受け止める人もいれば、不安に悩まされる人もいるでしょう。間違いなく言えるのは、多くの人にとって「サバイバル」というキーワードが身近なものになるということです。

ただ今回、電通のケースが特に話題になっているのは、「40歳以上」という年齢記述が、世の中の多くの人の心の中の「何か」を刺激しているからではないでしょうか。

年齢に応じた「給料」と「やりがい」の変化

僕は、年齢に応じた「給料」と「やりがい」の変化というのが、無視できないトピックであると考えています。

こちらは、とある大企業社員の方に、「年齢とともに、給料ややりがいがどう変わっていくか」について聞いた話をイメージ図解したものです。

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給料は、年功序列的に55歳ぐらいまで上がり続け、55歳あたりをピークに降下していきます。一方、やりがいは、最初の「下積み」的な数年間はあるものの、仕事を覚えて一人前になった30歳あたりから急上昇し、45歳ぐらいまで上がっていきます。しかし、45歳を超えて「管理職としての調整・管理業務」が大半を占めてくると、あとは下がってくるのだそうです(もっとも、役員を目指せる一部の層は上がり続けるのでしょうが)。

ちょうど、45歳ぐらいを過ぎると、給料とやりがいの逆転現象が起こるとのこと。ただ、この年齢では、子供がいたりすると、教育費やローンの負担もあり、簡単には会社を辞めることができません。すると、45歳まで「一つの職場しか知らない」人にとっては、他の選択肢が見えなくなりやすいのではないでしょうか。

僕は、「そうならないうちに会社を辞めましょう」ということが言いたいわけではありません。大きな組織だからこそできるダイナミックなチャレンジもあります。また、人には様々な適性がありますから、個人や小さな組織でこそ輝く人もいれば、大きな舞台で力を発揮するという人もいるでしょう。

ただ、どんな環境で働くのであれ、「組織に依存せず、自分の名前(力)で仕事できるかどうか」というのが、人生後半における選択肢の広さに大きく影響してきます

「自分の名前で仕事できるかどうか」が問われてくる時代

従来からも言われてはいましたが、特にコロナ禍をきっかけとして、「自分の名前で勝負できるかどうか」が問われてくる時代が急速に本格化してきます。

「自分の名前で仕事する人」といえば、一昔前ならいわゆる”個人事業主”がイメージされていたのかもしれません。しかし、副業を解禁する企業が増えてきたことや、クラウドの普及によって正社員を雇わずに会社を回す経営がやりやすくなったことで、「自分の名前で仕事する人」にも広がりが出てきたのではと考えています。こちらの図をご覧ください。

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企業に所属しながら働く人であれば、「プロフェッショナルサラリーマン」か「売れっ子副業家」という道があります。会社のブランドを最大限活かすのであれば前者、個人のスキルをレバレッジさせるなら後者、ということになるでしょう。

また、企業に所属せずに事業主として働く場合でも、個性を存分に活かしたい職人肌の人なら「売れっ子フリーランス」、マネジメント力を活かすなら「雇わない経営者」という選択肢があります。

4タイプのいずれも、「自分の名前で仕事する人」ですが、どうやったらそこに到達できるのか。今度、12/8 (火) 19:00-20:30@zoomで、「どうやったら自分の名前で仕事することができるのか?」をテーマにお話します。

「好きを仕事に」という言葉が一時期大流行しました。しかし現実には、「好きなことで稼ぐのは難しい」「お金はもらえる仕事だけれども情熱を注げない」といったジレンマの声もたくさん聞くようになりました。

一方、コロナ禍の影響で、経済情勢は大きく変化しました。自分と大切な家族を守るだけでも容易ではない、総サバイバル時代に突入していると感じます。

そんな中で、「自分の名前で仕事する力」が問われる時代をどう生き抜くか。4つのタイプの中から、自分の適性を見極めて、なるべく早い段階から準備しておくに越したことはありません。

別の記事で、4つのワークスタイルを確立するための「個としての営業力」について書いていますので、よろしければこちらもご覧ください。


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