冬の心(その5)——ラヴェルのヴァイオリン・ソナタ。 2 高橋啓 2024年9月9日 09:29 ¥200 暗い森があり、暗い森を映している湖がある。静けさ。そこに風とともに驟雨が吹きつける。森が鳴る、木々が、枝が、葉が鳴る。木々は身をくねらせる。叫ぶ。それは風の音なのか、木々の悲鳴なのか。木々は身をくねらせる。叫ぶ。それは風の音なのか、木々の悲鳴なのか。あるいは雨が打ちつける音なのか。そのすべてなのか。森と風の激しいせめぎあい。暗い水面のさざなみ、徐々に大きくうねり、森の影はかき乱される……。 カミーユから修理を託されたヴァイオリンを前にして、ステファンの頭で鳴る曲の描写。しかし、今、自分で書いたものを読み直し、あらためてラヴェルのヴァイオリン・ソナタについて調べていくと、自分がとんでもない勘違い、あるいは確信犯的ともいえるアクロバット的な小説化をやってのけていることがわかる。冒頭の引用は次のように続く。 ダウンロード copy ここから先は 1,664字 この記事のみ ¥ 200 購入手続きへ 有料マガジン ¥ 1,000 月に2本ほどのペースで更新しますが、全10本以上になる予定ですのでマガジンで購読したほうがお得です。 冬の心 1,000円 1993年に日本で公開されたフランス映画『愛を弾く女』についてのマガジンです。同名のノベライズもこの映画の公開に合わせて出版されました。ノ… 購入手続きへ ログイン 1人が高評価 #映画 #小説家 #フランス映画 #ラヴェル #翻訳家 #ノベライズ #モーリス・ラヴェル #ヴァイオリン・ソナタ #愛を弾く女 #冬の心 #モーリス・ラベル 2 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート