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●G7教育大臣会合の「日本発のウェルビーイングの概念」提案とその後


令和5年2月8日に開催された自民党「日本ウェルビーイング計画推進特命委員会」では、5月12日~15日に富山市と金沢市で開催されるG7教育担当大臣会合の準備状況について文科省から説明があり、「コロナの影響を踏まえた今後の教育の在り方」を全体テーマとして、次のようなたたき台のもとに議論することが確認された。

 

コロナ禍やロシアによるウクライナ侵略等を通じて、改めて明らかになった自由や平和、民主主義などの普遍的価値が保障される社会と、子供たち一人一人の多様な幸福を実現するための教育の価値を再確認、共有する。

また、全ての子供を、地球規模の課題を含め、様々な社会課題について主体的に取り組んでいく社会の担い手として育むための教育の在り方について議論し、その成果を国際社会に発信・共有するとともに、将来の民主主義を支える基盤となる各国間の人的交流につて議論し、共有する。 

さらに、各国のコロナ禍での経験、そこから明らかになった教育の本質的価値、これからの未来を支える人材に必要な資質・能力、各国の社会・文化的背景を踏まえた子供たちのウェルビーイングの実現に向けた教育等について、各国教育大臣から基調提案を行い討議する。

 



●私の提案「G7教育大臣会合で我が国が国際発信すべき、日本発(的)ウェルビーイングの視点」

我が国から「日本発のウェルビーイングの概念を提案」する基本方針にのっとり、私は有識者の立場から意見書「G7教育大臣会合で我が国が国際発信すべき、日本発(的)ウェルビーイングの視点」を提出した。

「国・地域の文化によってウェルビーイングの在り方が異なることを尊重する」立場から、「世界幸福度」の調査尺度に「調和」「協調」「バランス」の視点を導入するよう提言するとともに、以下①~④の概念を「日本的ウェルビーイング」の概念に含めるよう提案した。

その資料として、『モラロジー研究』第58号に掲載されている、ユネスコ60周年記念国際シンポジウム「文化の多様性と通底の価値」の最終公式声明の全文のコピーを配布して、その要点について、同声明(下記の< >)を引用しつつ、問題提起を行った。


①  「和」の概念=「異なるものの調和」「和解に基づいた平和」「和して同ぜず」

②  「道」の概念=「対話」のための理想的な場

③  「対話」の概念=「対決」である「「試練」であり「変容」➡「対話の持つ改善力」

④  「通底」(transversal)の概念=「普遍的」(universal)との違い

 

〈文明が衝突するのではなく、「文明に対する無知」が紛争を招くのである〉

〈「文明間の対話」から「対話の文明」へ移行することが示唆された〉

〈そのためには、対話の条件と在り方を定義することが必要となる〉

〈文化の多様性は、真の対話のために必要な材料である〉

〈グローバリゼーションが文化を画一化する危険を募らせ、全ての文明をその本来の基盤である地球から切り離す危機が高まっている現在、土地や環境の特殊性を考えることがますます重要になってきている〉

〈「美の文明」と審美的な視野が、「善」と「真」をイデオロギーの前提とした論説が広く定着したことから生じた行き詰まりを打破できる…「善」や「真」の概念に基づいた教義により現代の多くの危機が引き起こされている状況を目にするとき、「美」は価値論的な論説を超える〉

『モラロジー研究』第58号掲載 
ユネスコ60周年記念国際シンポジウム「文化の多様性と通底の価値」の最終公式声明



●G7教育大臣会合「富山・金沢宣言」

上記のような議論を経て、5月12日~15日の期間、富山県及び石川県においてG7富山・金沢教育大臣会合(議長:永岡文科相)が開催された。

5月15日には「富山・金沢宣言」が発表され、その内容には

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①歴史教育、②家庭教育、③道徳教育、④日本的Well-Being教育の観点から、研究の最新情報や、課…

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