『君たちはどう生きるか』〔本〕人
「たったひとりしかいない自分を、たった一度しかない人生を、ほんとうに生かさなかったら、人間、生まれてきたかいがないじゃないか。」
山本有三『路傍の石』の中の有名な一節である。
山本有三は栃木が生んだ文豪である。私の実家は、山本有三の生家から歩いて20分ほどのところにある。私は小学3年から高校3年まで、山本有三が生まれた栃木市で過ごした。入学式や卒業式だけでなくいろんな場面で耳にした一節である。私の心に深く残っている言葉でもある。
路傍の石とは、道端に転がった石ころのことだ。その石ころはこのひろい世界のいくつもの片隅に転がっている、ほんのちっぽけな存在にすぎない。
1937年に出版された吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』は、山本有三が編纂した『日本少国民文庫』全16巻のうちの一冊であった。
こうして、吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』は生まれた。
吉野源三郎が書いたこの「作品について」は、ポプラ社刊『ジュニア版 吉野源三郎全集1 君たちはどう生きるか』に付されたものだ。この小文は、岩波文庫版の『君たちはどう生きるか』にも再掲された。
1967年ポプラ社刊の「君たちはどう生きるか」は、1937年に出された『君たちはどう生きるか』からいくつかの変更が加えられている。
これに対して、1982年に出された岩波文庫版は、1937年に出された初版の『君たちはどう生きるか』を底本としている。
初版が復活するにあたっては、政治学者の丸山眞男が深く関わっていた。
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