面接指導(時間と教育効果)

具体的な実証があるわけではありませんが、肌感覚として感じていることがあります。教育は時間をかけた分だけ成長につながるということです。当たり前のことですが、やはり時間をかけることで子どもたちは成長をしていきます。教員1人あたりが子どもたちにかけられる時間は限られています。もちろん子どもたちが、教員の指導に応じて努力をしようとしたかどうか(教員の指導が子どもたちに努力をするように促せたかどうかも重要ですが)も影響してきます。さまざまなことが絡み合い相互作用で成長していくことは間違いありません。今回は大学受験に向けて、面接の指導を継続的に行なっている生徒についてまとめていきたいと思います。

面接指導が始まるまで

生徒Aはある看護大学(以下α大学)を目指し、指定校推薦枠を生徒Bと争いました。結果として生徒Bを推薦することとなり、生徒Aは総合型選抜での受験をすることを決意しました。
筆者と生徒Aの関わりは、筆者が実施した看護医療系ガイダンスに参加したときからα大学に入りたいという強い意志を伝えてきたことで始まりました。授業を受け持ったこともなければ、話したこともない生徒でした。令和3年度に看護医療系進学者が増加し、令和4年度も希望者は増加傾向のため実施したガイダンスによって、強い意志を持った生徒が出てきたことは非常に喜ばしいことでした。

総合型選抜においては志望理由書や活動報告書などをA3相当(A4・2枚など)でまとめ、提出させる大学が多いように思います。今回生徒Aが受験するα大学も同様のものを書かせています。志望理由書などを書くところから個別の指導が始まりました。

面接指導の初回には

志望理由を書き上げるための指導を受けていたため、初めてにしてはそれなりの面接を行うことができていました。しかし、細かい部分を突っ込むとボロがでるというのが当時の状況でした。また、回答については覚えてきたものを思い出しながら述べる場面が多く、目線があっちにいったり、こっちにいったりという状況に・・・。

面接指導の2回目には

2回目は、1回目に行なったことが無になってしまったレベルでした。1回目と2回目の違いは、入室から行なったということです。入室の所作に注意がいってしまったことにより、自分の志望理由すら言えなくなってしまったというのが本人の言い分です。入退室については別のタイミング(担任や進路の別の担当者)で指導されてきているため初回では省いて面接練習を行いましたが、一連の流れとなると緊張感が増長されていくようです。2回目は緊張しすぎないために敢えて緊張感を作るということについてアドバイスをしていきました。

面接指導の3回目以降には

 3回目に突入直前、副担任と面談を行なっていました。面談内容は、「ありのままのあなたで良いんだよ」という内容でした。その副担任は昨年度、初めて3年生の担任を経験し、生徒と多くの時間を向き合ってきていました。その姿を生徒は2年生のとき見て、感じるものがあったのだと思います。3回目の面接練習は大きく成長していたように感じます。こちらとしても面接指導に対してさらに熱を入れられたように感じました。自分自身を見つめ直す時間を十分に取り、それを引き出すように確認をしていくということがしっかりとできました。4回目、5回目と回を重ねるごとに本人も自信をつけていき、自信を持って試験に臨むことができたようです。

 結果は11月に入ってからということになりますが、面接については問題なく突破できるレベルまで到達できていると思います(主観ですみません)。しかし、総合型選抜では筆記試験や小論文試験も課されており、そちらの結果も重要になります。看護学校(大学、短大、専門学校)では、ほぼすべての学校において面接試験を課し、看護への適正を見ています。面接で著しく低い点数の受験生は切られるというのが実情です(学校ごとに求めるレベルが異なります)。結果だけでなく(もちろん結果はとても大切ですが)、その生徒の成長につながることが教育においての最重要課題であり、教員という職業の醍醐味だと思います。今回は面接指導を通じて、教育は時間をかけてしっかりと向き合うことが大切だと改めて感じました。働き方改革とは逆行してしまいますが、勤務時間外でなければなかなか時間を取ることができないというのが教育現場の現状です。しかし、時間をかけて何度も指導をしていくことで生徒は間違いなく成長していきます。今後もしっかりと向き合い、生徒の成長につながるような取組を継続、発展させられるようにしたいと思います。
 

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