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20年前の僕に対するアンサー

20年前の中学生だった僕は「ロボットと人が共生する社会」を夢見ていたらしい事は先々月に振り返った。一方で、病院というフィールドに降り立った時にワクワクする僕がいることもありずっと悩み続けてた。もちろん、「医療ロボットを作るんだ!」って安易に言ってみてもいいと思うけど、ちゃんとゼロベースで考え抜きたい、そう考えながら動き続けてた。ようやく少しまとまってきたので、あの頃の僕に答えたい。
「おっさんになったけど、あの頃の夢を叶えるために僕は確実に一歩ずつ前進してるよ」
と。

転機

6月初旬頃に、僕の数年間の眠りから揺り起こしてくれた大切な友人から島根の病院に視察に行くけど、ついてくる?って誘ってくれた。眠りから醒めていた僕は心の声のままに、行く、と即答した。

島根の視察は医学生や僻地の病院の医師から職員まで多くの人たちにインタビューを続ける3泊4日の旅だった。医療従事者の人たちはそれぞれの立場でその地域の未来を憂慮し、戦ってる姿を目の当たりにして、改めて彼ら彼女らの力になりたいと思いを強くさせられた。

一方で、皆がそれぞれの立場で戦ってるにも関わらず好転しない事態に違和感を覚えて、調査を開始した。調べていくと分かってきたのは(やはり)医療保険の運用上の課題だった(参考)。経営を知らない病院は短期的な収益改善に飛びつき、中長期的には経営が厳しくなる。だから、また短期的な収益に飛びつく、という悪循環が回っていた。

そんな悪循環が回っている事は前から知ってた。でも、今の僕ならば、MBA×オペレーションの知識で手伝えることがある、と確信した。医療経営コンサルなら何か手伝えるかもしれない。製造業コンサルにトライしてまぁまぁの手応えをもらってる今の僕なら、きっと医療経営コンサルも出来るはず。帰路の中でどうすれば、貢献できるのか何度も頭の中でシミュレーションをした。

前進

医療経営コンサルについてしらみ潰しに調べに調べた。ちょうど良いタイミングでガイアの夜明けで医療が破綻した市民病院の話をやっていたり、経営状況の良さそうな病院、悪そうな病院、コンサルが入ってる病院の財務諸表を調べたり。アンテナを持つと欲しい情報が次々に入ってくる。
調査を続けて分かったことは、コンサルがやれることには限界がある、という現実。あくまでもコンサルはコンサル。クライアントの依頼をこなすのがコンサルの仕事。クライアントが短期的な経営改善を望めば、短期的な経営改善をする必要がある。じゃあ・・・どうしたらいいんだ・・・?

転機2

考えが悩みに変わった時は、人に話してみると何か変わるかもしれない。ドクターの友人に話をしたら、そんな悩みを抱えるならシーズワンの話を聞いたらいいよ、とアドバイスをもらった。シーズワンが何なのかは知らなかったけど、取り敢えずHPから連絡を取って話を聞いてみた。
話をしてくれた彼は、私と同じ様な悩みを抱えて、昨年からシーズワンにジョインしたらしい。彼らは、承継先がいなくて困ってる病院を買い取り、経営陣を送り込んで、新しいコミュニティホスピタルという新たな形に生まれ変わらせるという事業を行なっていた(多分、だいたい合ってるはず)。

きっとこれなら、「社会保障制度の破綻」という課題にも向き合える。「医療従事者が医療以外にも向き合わなければいけない」という課題にも向き合える。そして、「ロボットを社会に普及させる」という仕事にも向き合えるかもしれない。

今、考えている事

幼い頃に夢見た「ロボットと人とが共生する社会」の実現。
入社した頃、そもそもロボットは世の中にいなかった。だから作る必要があった。当時、ロボットを作れる会社はほとんどなかったから今の会社に入社した。そして、ロボットを開発し、使う人を教育をし、コミュニティを立ち上げた。そして、ロボットを量産する生産ラインを作った。
でも、僕が期待していた世界と、今は違う。

今はもう「ロボットを作る」なんてことは珍しいことでもなんでもなくなった。なのに「ロボットと人が共生する社会」にはなっていない。なぜなのか?
そう「人」がまだいない。ロボットと共生したい「人」がいない。
ならば私は、ロボットと共生できる人や場所を用意する。それはどこなのだろうか?まずは社会課題が山積している場所がいいだろう。日本で最も心配されている社会課題の一つは少子高齢化とそれに伴う医療崩壊だろう。そんな病院を人とロボットが共生する現場に選ぶのは適しているはず。一方で、病院は経営が厳しくお金がなかったり、最もコンサバで情報リテラシーが低い組織の一つ。

MBAを持ち、これまでロボットの導入のための体制作りや教育を行ってきた私「しか」出来ない仕事。(エンジニアの中では)誰よりも医師や療法士と向き合ってきた私にしかできない仕事。

次代のためにも誇れる日本を作っていきたい。

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