途上国で怪我をするということ
怪我の経緯
8月3日に趣味のサッカーで怪我をした。ダッシュからのブレーキの際に大腿四頭筋が痛んだ。次のプレイでボールを蹴った際に大腿四頭筋が再度痛むと同時に「プチ」と音が聞こえた。
その日の夜は大変だった。歩くどころか動かしただけで痛い。なんなら他動で動かしても痛い。さらに37.5℃の発熱と嘔気があり、インスタントの雑炊をなんとか口にして痛み止めを飲んでRICE(Rest,Icing,Compression,Elevation)を徹底して早急に休んだ。
私も理学療法士のはしくれだ。これだけ受傷起点と症状がはっきりしていれば想像がつく。これはおそらく肉離れだ。
ちなみに余談だが食欲がなく、動けないけど食べなくてはならない時、日本のインスタントの食べ物はとても良い。早い、簡単、美味い。
8月5日、配属先にて...
週明け、まずは自分の配属先で検査ができないかを相談した。
だがしかし、どうやらレントゲン等々の検査ができる医者が休んでいて諸々の検査はできないようだ。
病院なのに検査ができない...だと...?
余談だが、モンゴルは割と7~8月に休みを取る人が多い傾向にある。私の配属先は職員全員に1ヶ月程度の休みが支給されており、この時期に使う人が多い。故に今は少し病院が閑散としている。
さらに余談だが、私は職員ではなくボランティアであるため1ヶ月の休暇はもらえないみたいだ。同僚の誰よりも患者さんを診ているのに...
そしてその日は物理療法とマッサージに連れて行かれまくった。
配属先は基本的に良い人が多い。
それぞれの治療部屋に行くとだいたい「どうしたんだ、タカシ!」と心配してくれる。そして並んでいる患者さんをスルーして1発で治療を受けさせてくれる。私という存在がファストパスみたいなものだ。内側と外側がはっきりしているところはモンゴルの特徴ともいえよう。私は内側の人間なのだ。
まずは蝋を使った温熱療法。ようはパラフィン。まだ急性期だから温熱療法はちょっと、、、
次に赤外線。これも温熱療法なんですが、、、
次にTENS(経皮的電気刺激療法)。これは良いか。
そしてマッサージ。患部を強めに押される。私は悲鳴を上げた。
モンゴルで病院にかかると悲鳴を上げることが往々にしてある。以前歯科受診をした時もそうだった。歯科受診の話はまたいつか書こうと思う。
そしてすべてが終わり弾性包帯を巻こうとすると「必要ない」と言われた。
待ってくれ、弾性包帯は必要だ。なにせこちらは肉離れを想定しているのだ。でもここで反論しても意味がないので後から更衣室でこっそり巻いた。
翌日8月6日、私立の病院にて...
そんなこんなで翌日8月6日に私立の病院を受診することになった。
ここではちゃんとエコー検査をして、ちゃんと中等度の肉離れという診断を受けて、ちゃんと圧迫とアイシングの指示を受けて、ちゃんと薬を処方してもらった。
モンゴルの私立の病院の中にはちゃんとしている病院がそれなりにある。今回受診した病院はどうやら日本も含めたいくつかの先進国の協力を受けている病院らしい。ちゃんとしているわけだ。もちろん他意はない。でも本当に途上国でこのような医療を受けられるのはありがたい。
今は多少脚を引きずりながらではあるが普通に活動をしている。
そして心配してくれている配属先の人たちによってマッサージなどの伝統療法や物理療法に引きずり込まれていく毎日だ。
大事なことだからもう一回言おう。
一緒に働いている人たちはとても良い人たちが多いのだ。
怪我からの学び
途上国とは言っても首都は繁栄している、なんてことがよくあると思う。
ただ、首都のすべてが先進国のようになっているわけではない。医療の水準を見ても思うところはある。
途上国に対して最先端を提供して推し進めるのは国や大企業なんかに任せておけば良いのかもしれない。
"協力隊"というと主語が大きくなるから躊躇いが生じるし、そもそも協力隊もODAではあるのだが、少なくとも今の自分はまばらに存在している先端に届いていない部分を底上げするような活動ができたら良いなと凡庸ながらに思った。