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写真で辿る旅行記 vol.4 スペイン 2017年

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#写真で辿る旅行記

スペイン・トレドは、現在でも中世の街並みをそのまま残している街だ。かつてスペインの政治・経済の重要拠点であったこの街は、小高い丘のような土地に広がっていて、周囲には川が流れて天然の堀となっている。マドリードからはAVE(新幹線)で約1時間で行くことができる。

このスペイン旅行は1週間の旅程の中で、マドリード、セビーリャ、トレド、サンティアゴ・デ・コンポステーラ、ア・コルーニャと、スペインを南から北の端まで駆け巡る旅だった。

それぞれの都市に特徴があり、スペインという国が持つ文化や歴史の多様性を感じることができた。バルセロナは目的地から外したと言うとよく驚かれるが、後悔はしていない。

全ての街で共通していたのは荘厳な教会だった。街のちょうど中心に位置するトレドの教会もその例に漏れず、教会の外観をカメラで撮ろうとしても収まりきらないほどの大きさがある。石造りの建物の中に入ると、天井は見上げるほど高い。教会というと、正面奥に祭壇がありそれに向かって座席が作られているイメージがあるが、ここでは祭壇は聖歌隊席とともに空間の中央に位置していて、それを取り囲むようにして席が広がっている。

さらに、教会では有名な画家の絵画も見ることができる。私はここで見たゴヤの絵画が印象に残っている。美術館に展示された絵画も綺麗ではあるが、教会という人の営みが連綿と続けられてきた場所でそれを見守ってきた絵画は、その場所に在って見る方がその特徴を一番見せてくれる気がする。

もう一つ、多くの街に共通してあるのがパラドールというホテルだ。パラドールは、かつての城や宮殿、修道院などの建物を利用した国営ホテル。価格は安くはないが、歴史的な建物に泊まるという貴重な体験ができる。

トレドのパラドールは街から川を隔てた向かいの丘の上にあり、ホテルのテラスや客室からトレドの全景を一望することができる。この写真はパラドールに宿泊した翌日の朝、日が昇るころに撮った。写真中央にある高い塔を持った建造物がトレドのカテドラル(教会)だ。

トレドはマドリードからのアクセスが良いため、観光客の数は多い。車などなかった時代の道は狭く迷路のように入り組んでいるため、旧市街の中は観光客であふれている。その中を地図を確認せずに人込みを避けるようにして歩いていたら、旧市街の隅の観光客がほとんどいないエリアに出てしまった。

改めて見回してみると自家用車があり、洗濯物が干されていたり、現役の住宅街であると思われた。そこは、観光客と土産物店が生み出す喧噪からは隔たれていて、中世はこんな感じだったのだろうかと思わせる緩やかな時間が流れていた。

写真で辿る旅行記 vol.4 スペイン 2017年

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