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【44円の味噌汁を頼んだら121円の豚汁が提供された】

 院試まで1週間を切ったので、最後の追い込みのために最近は研究室に朝から晩まで篭り、死ぬ気で勉強している。訳では全くなく、今日も元気に12時過ぎに起床し14時前に研究室に行きダラダラと勉強してたのだが、必死こいて勉強してもダラダラ勉強しても人間お腹は空くもので、19時ごろになって同室の先輩に飯を食べに行きませんかと聞いたところ今日は自宅で食べるつもりとの返答が返ってきたので、仕方なく研究室のある棟の地下一階の食堂に向かった。19時前まではエレベーターが研究室のある四階から地下一階まで直通しているのだが、なぜか19時頃になると地下一階にはエレベーターは止まらなくなるので、一度一階で降りてから階段で地下一階の食堂に向かう。今週の週替わり夕食メニューには油淋鶏があり、食堂の油淋鶏は一皿352円もして、他のメインのおかずの値段は319円なので油淋鶏は高級メニュー群の一品なため(実際非常に美味しい)、ライスはLサイズ、そして副菜は最小限の一杯44円の味噌汁だけにとどめておくつもりだった。そんなことを考えながら注文するためにオーダーの列に行くとそのタイミングでは自分の他にお客さんがいなかったせいか、食堂の盛り付けスタッフさんもベテランのおばさんしかいなかった。その人に「油淋鶏ください。」と注文し、油淋鶏の盛り付けが終わったらライスLと味噌汁を頼もうと考えてきたら、奥から若いアルバイトスタッフが2人ゾロゾロと出てきて油淋鶏以外の注文は大丈夫ですか?と2人から聞かれたので、自分1人の晩御飯を3人分の人件費を費やして作ってもらうのは申し訳ないと思いつつ、「ライスLと味噌汁お願いします。」と2人に向かって注文した。
 そして油淋鶏をベテランのおばさんから受け取ったのち、列を少し進んで2人のうち汁物を担当することになった(おそらく今年から食堂のアルバイトを始めた)Sさんから味噌汁を受け取ろうとすると、よく見たらいつもより味噌汁の色が薄く透き通っている。刹那、これは味噌汁ではなく豚汁だ、と気づいた僕の表情は取り繕う間も無く、一瞬怪訝な表情を浮かべてしまっていたのだと思う。同時にSさんもハッとした表情をした。僕は、(今から作り替えてもらうのも気がひけるけど現状はお椀に注いだだけだし、お椀の中身を豚汁の鍋に戻しても問題はないだろう、手間をかけてしまって申し訳ないがSさんもどうやら僕の表情を見て僕が味噌汁を注文したことに気づいたことだし新しく作ってもらおう)などと考えていたら、

豚汁の上にオクラがトッピングされた。

そしてその習慣豚汁は鍋に戻すことのできない不可逆な豚汁に成り果ててしまった。よくみると今の時期の豚汁は通常の豚汁とは違い、夏バテ対策のオクラが入った「夏のさっぱり豚汁」だったのだ。

学生からの評価は結構高い

アルバイトのSさんは僕の豚汁を見て一瞬曇った表情を、注文ミスによる表情ではなく豚汁にオクラが乗っていないことを怪訝に思ったと勘違いして、僕が注文を訂正する前に即座にオクラをトッピングして不可逆な豚汁へと仕上げた。そしてSさんは自分のオクラトッピングミスを少し恥ずかしがった様子ではにかみながら、それでいて満面の笑みで僕に夏のさっぱり豚汁を提供してくれた。
 不可逆となった豚汁を見ながらもう1人のアルバイトさんからライスLを受け取り、お馴染みの長身イケボのFさんが待つレジへと進み、学生証のプリペイドで決済したらお会計は620円だった。高級おかずの油淋鶏を頼むため、500円を下回らないことは覚悟していたが思わぬ伏兵のおかげで600円すら超えてしまった。まあけどクヨクヨしていても仕方がないと思い、値段状の都合でこれまで夏のさっぱり豚汁はおろか食堂の豚汁を頼んだことがなかったため、これはSさんが僕に豚汁を食べる機会を与えてくれたのだと思うことにした。
 席について夏のさっぱり豚汁を食べてみると、美味しい。豚の脂が染み出した美味しい汁にオクラのねばねば感が喧嘩することなくむしろ手を取り合い、スルスルと飲める。根菜も人参と大根が短冊切りにされたものが入っていて、確かに夏の時期に不足しがちな根野菜と、夏バテ防止に効くカリウムが豊富なオクラを摂れるので、名前に「夏の」とつくだけあり、連日ドライサウナ状態の京都の夏にぴったりの一品だと思った。想像を超える美味しさだったのでもう一口汁を啜り、具を口に運ぶ。人参、大根、オクラ、オクラ、大根、人参、、。

豚が全然入っていない。

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
「おれは 味噌汁を注文したと思ったら いつのまにか夏のさっぱり豚汁が提供され さらにその豚汁にはほとんど豚が入っていなかった」
な… 何を言っているのか わからねーと思うが おれも 何をされたのか    わからなかった…
頭がどうにかなりそうだった… 催眠術とか超スピードだとか そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ 
もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…


ポル◯レフの屈指の名言



 食堂の名誉のために正確に述べると、全く入っていないわけではなく、ちっちゃいカスみたいな豚肉がチョロチョロと入っていて、具の割合で言うと、
オクラ:人参:大根:豚=4:3:2.5:0.5

くらいなのだ。もうお前豚汁名乗るのやめろ。夏のさっぱりオクラ汁に改名しろ。そんなことを考えながら夕ご飯を済ませた。油淋鶏は美味しかった。オクラ汁も上記の通り美味しかった。まあこうやってnoteのネタにできたし油淋鶏もオクラ汁も美味しかったし何よりSさんのはにかんだ笑顔が見れたしよかったと思う。だが次からはもっとハキハキと味噌汁を注文しようと思う。

中央食堂のメニューから夏のさっぱり豚汁の画像を拝借

https://west2-univ.jp/sp/index.php?t=650111

JOJO THE WORLDさんからポルナレフの名言の画像を拝借、なお画像の著作権は作家 荒木飛呂彦氏に帰属します

http://jojotheworld.com/polnareff-meigen5-540.html



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