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「今後のモデル活動に関して」の災難。

私は普段、”体重計”というものに乗る習慣はない。

だが、ここ最近、少々ながら太ってきたような気がしたので意を決して、久しぶりに体重計に乗ってみたところ、以前よりも+5㎏ほど増量していた。

あまり気にしていなかったが、よくよく見ると確かにお腹が少し出てきたような気がしないでもない。

世間の30代中頃のみなさんは今更、お腹を引っ込めようだとか体型をどうこうしようとは、なかなか思わないだろう。

しかし、大人気note執筆家の私ともなると、そういうわけにはいかないのである。

もしかすると今後は、その人気ぶりから執筆活動以外にも活躍の場を求められることが増えるかもしれない。

私の180㎝に迫る長身、スラっと伸びた長い脚に目をつけた芸能事務所から「第二の竹内涼真はキミだ!」とモデル活動の話もあることだろう。

そんな誘いが今すぐにあるかもしれないのに、いつまでもこの”わがままボディ”のままでいいのだろうか?

いや、このままでいいわけがない。

「こんなお腹のままではダメだ・・・ダイエットだ!第二の竹内涼真だ!」

そう決意を固めた。


しかしながら、脂肪を筋肉に変えるだとか、腹筋を6つに割るだとか、体脂肪をなんちゃらだとか、そういう専門的なことをするには大変な苦労を必要とするし、並大抵のことではないことは素人の私だって理解はしている。

だが、シンプルに”体重を減らす”ということだけを目的とするならば、さほど難しいことではないはずだ。

つまり、ただ「運動をすればいい」それだけのことである。


とは言え、普段の生活の中に急に”運動”を取り入れるのことは、簡単なことではないだろう。
それに運動とは言いながらも、できれば家の中でできるものが一番だ。

そこで私は色々と調べた結果、「昇降運動」をすることにした。

これは高さのある台を用意して、1時間ほどその台を昇り降りするだけという至ってシンプルな運動方法だ。
そして、この運動の一番の利点は”テレビを見ながら簡単にできる”ということである。

一見、いくらシンプルな運動方法であるとはいえ、1時間も昇降運動をするのは大変なようにも思えるが、テレビを見ながらだと1時間だろうが2時間だろうがあっという間なのだそう。

中でも30分で区切れるアニメを見ながらやるには丁度良く、録画で溜まったアニメを消化しながら脂肪も消化できることから「アニメダイエット」として、数年前にオタク界隈でブームになったようだ。


私はさっそく昇降運動専用の台を購入した。

この台は私がモデルになるためのまさしく、”踏み台”になることだろう。

モノは試しとすぐにやってみたものの、これが見た目以上にキツく大変だった。

わずか数分でこれなのだか1時間もやろうものならば、即座にガリガリになること間違いなし。

「よし、モデルになったらananの専属になろう!」

もはや雑誌がデルモを決めるのではない、デルモが雑誌を決める時代なのである。
私の夢はまるで風船かの如く、ぷうぷうと膨らむばかりだ。


まず初日は30分だけやることにしたのだが、生憎、私にはアニメを見る習慣がないため、代わりに過去に録画していた「さまぁ~ず×さまぁ~ず」を見ながらやることにした。

この番組も30分で終わるので、タイマーとしてもいいだろう。

しかし、この番組チョイスが後に大事件を引き起こすのであった。


「さまぁ~ず×さまぁ~ず」は毎週さまぁ~ずの2人が面白い話をするというトーク番組だ。
残念ながら数年前に番組自体は終了してしまったものの、この番組が大好きで録画したものを定期的に見返している。
そして今回のトーク内容は「三村が自宅の階段から転げ落ち、あばらにヒビが入った」という話であった。

その話がとても面白く、腹を抱えるほど笑えたため、昇降運動どころではなかったのだが、どうにか堪えながら5分、10分と昇降運動を続けていた。


そのときであった。


番組に気をとられすぎていたため、足元への集中力が欠落し、右足を踏み外すというハプニングが発生したのである。

ただ踏み外すだけならよかったのだが、その際に右足を変な風に着地させてしまったためか、”ヌギャン”という不可思議な音が体内を駆け巡った。

「これは折れたわ」

私はすぐさまそう感じた。

文字ではとてもクールな感じで誤魔化しているのだが、実際は白目を剥いて「がぶぶぶぶぶぶ」と泡を吹きながら後ろに倒れそうなくらいの痛みであった。


それからというもの、昇降運動どころかご覧の有様である。

「残念ながら、現在、モデル活動はお断りしています」


女子高生廻る氏はこの場を借りて、諸所の芸能プロダクションにそう告げたそうである。

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