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「小顔になろう系作家」の災難。

よくアイドルや女優などは小顔で「顔の大きさがグーぐらいしかない」と聞いたことがあるが、顔が小さいということは男女問わず、やはり誰もが憧れることだろう。

かく言う私も顔の大きさはグーぐらいである。

しかし、同じグーでもゴリラのグーだ。
グーはグーでもデカすぎる。

「まって、まって、顔が大きくない?」

私はある日、鏡を見てこの衝撃の事実に気づき、何をしてもモテない根本は「この顔の大きさに原因があるのではないか?」と、ついに小顔になるために「美顔ローラー」を使うことを決意したのであった。



ネットを見ると、”美顔ローラーは効果がない””買うだけ無駄”というような批判的なレビューをよく見かけるのだが、私に言わせれば、それは使用者による”圧倒的な甘やかし”が原因に違いないと思っている。

確かに説明書には「マッサージをするように」「優しく」などと書いてあるが、顔に優しく当て、コロコロしているだけでは何の意味もないのである。
それでは、ただのそよ風に当たっているようなものだ。
そよ風に当たって小顔になれるものならば、全人類は今頃、小顔になっている違いないであろう。

体に筋肉をつけ、引き締めるには腹筋や背筋などといった体に負担をかけ、追い込むトレーニングが必要なように、それは顔も同じこと。

やはり、引き締めようとするには、顔の皮を剥ぎ取るくらいの力と勢いが必要であろう。
顔を甘やかしているようでは、一向に小顔などにはなれるわけがない。
その点、私は少しも甘やかさずに、力の限りまるで石を削るがの如く、肉を削げ落としてやるつもりだ。

多少の怪我は構わない・・・私には小顔に対してそれくらいの覚悟があるのだ。

きっと、そのような本当の使い方をすることで徐々に小顔になっていき、最終的に私の顔は”赤子のグー”くらいの小ささになっていることだろう。


「久しぶりに会う人達は驚くはずだ」


こうして私の小顔化計画が始まった。



5月の初めから美顔ローラーを使いだし、1週間・・・2週間・・・
今日で使い始めて3週間ばかり経っただろうか。

来る日も来る日も毎日欠かさず、お風呂上りに10分間ゴリゴリと使い続けたところ、驚くことに変化が表れたようである。


さすがに自分自身の姿は毎日見ているため、その変化には気づかなかったが、最近、久しぶりに会う人会う人に決まってこう言われた。


「あれ、少し太った?」と。

そしてついには母親にまで「あんた、太ったんじゃない?」と言われるまでになった。


おかしい。

美顔ローラーを使って逆に太る。

そんなことが有り得るのだろうか?

サッカーの練習をして野球が上手くなるわけがない、習字の練習をして英会話が上達するわけがない。
それと同じことで、美顔ローラーを使って太るわけがないのである。

今現在、誰かが俺を小顔をさせないために、夜な夜な美顔ローラーに
”牛脂”でも塗っているのではないだろうか?
もしくは私が使っていたのは、美顔ローラーではなく、肥満ローラーだったのではないか?などと疑い、調査中である。

そうでなければ、美顔ローラーを使って「太る」わけがないではないか。



何やら私の小顔化計画の雲行きが怪しくなってきたようだ。

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