タカ:Before It's Too Late 通信

気候危機に取り組んでいる国際環境NGO、350 Japan の代表のタカ(横山)です。…

タカ:Before It's Too Late 通信

気候危機に取り組んでいる国際環境NGO、350 Japan の代表のタカ(横山)です。 私は保険会社から転身した変わり者です。好きなテニスの試合では熱くなりますが、地球が暑くなるのは御免です。 メディアでは気候危機が余り取り上げられないので、最新の情報などをお伝えしていきます。

最近の記事

ある日の日本経済新聞見出しから:メディアも脱炭素に転換

Before It’s Too Late 通信 −手遅れになる前にー 2021年01月25日 第054号 以前は新聞に気候危機関連の記事が殆どなく、あっても多くは温暖化懐疑論との併記でした。 一年半程前から日経の編集方針が変わったのか、記事が増え始め、元旦の新聞の第一面のトップ記事は何と「脱炭素の主役、世界競う」でした。(朝日も元旦第一面は「共生のSDG」で温暖化特集。) 菅首相の2050年カーボン・ニュートラル(CN)宣言で記事が書きやすくなったのかもしれません。その

    • 今さら聞けないパリ協定(4):気候危機3大悲劇!何故それでも排出が増えるのか?

      Before It’s Too Late 通信 −手遅れになる前にー 2021年01月12日 第053号   2019年12月時点、パリ協定に批准している国・団体数(EUなど)は187。 世界の殆どの国が合意しているにもかかわらず、温室効果ガスの排出量は、コロナ禍の経済減速で7%の減少になった昨年を除き増加を続けています。 何故このようになるのか? 背景には(シェークスピアの4大悲劇ならぬ)3つの悲劇があると思います。 まず、「コモンズ(共有地)の悲劇」。 これは

      • アクセルとブレーキは同時に踏めるか?

        Before It’s Too Late 通信 −手遅れになる前にー 2020年12月28日 第052号 今さら聞けないパリ協定(3):1.5℃特別報告書と政府方針のギャップ 繰り返しになりますが、気候危機を解決するためには世界の平均気温を1.5℃上昇に抑える必要があります。 その場合、2030年までにCO2の排出量を2010年比で45%削減し、2050年までに正味ゼロ排出という大きな課題をクリアしなければなりません。 特に排出量が多い石炭火力は、2030年までに全廃す

        • 気候危機:これから4年の重み

          Before It’s Too Late 通信 -手遅れになる前にー 2020年12月14日 第051号 今さら聞けないパリ協定(2):これからの4年の重み  5年前のパリ協定では、世界の平均気温を産業革命以前と比べ2.0℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすることが合意されました。 その後2018年に2.0℃上昇と1.5℃上昇の場合を比較した、IPCCの「1.5℃特別報告書」が出されました。 これは本当に衝撃的な内容でした。例えば1.5℃ではサンゴ礁の消失が70

        ある日の日本経済新聞見出しから:メディアも脱炭素に転換

          今さら聞けないパリ協定(1):12月に5周年、めでたくもあり、めでたくもなし

          温暖化や気候危機の報道にはパリ協定という言葉がよく出てきます。 この通信でも1年半ほど前に何回かに分けて書きましたが、12月12日がパリ協定採択5周年に当たることもあり、もう一度おさらいをします。 パリ協定の内容をざっくり書くと、世界の平均気温を産業革命以前、つまり人類が石炭・石油・天然ガスなどを燃やして出す温室効果ガス(GHG)を排出する前と比べ、2.0℃上昇より十分低く抑え、1.5℃上昇に抑える努力を追求することを目的としています。 現在の世界の平均気温は産業革命以

          今さら聞けないパリ協定(1):12月に5周年、めでたくもあり、めでたくもなし

          バイデン氏勝利で世界はどう変わるのか?

          米大統領選では、開票後トランプ氏が一時票をリードしている局面があり、私のようにハラハラしていた人がいたと思います。 まだスッタモンダはしてはいますが、週末に全50州と首都ワシントンの勝敗が判明し、ほぼ確実にバイデン氏が次期大統領に就任します。 気候危機の解決にとって、どちらが勝つかは非常に大きな問題でした。 パリ協定から離脱したトランプ氏は、地球温暖化を認めようとはせず、熱波が襲っていた時もそのうち涼しくなるとか、カリフォルニアの森林火災でも森林管理が原因だと暴言を吐い

          バイデン氏勝利で世界はどう変わるのか?

          三度目の正直? 「温室効果ガス2050排出ゼロ」発表

                     前号で今後の温室効果ガスの排出に大きく関係する、エネルギー基本計画(エネ基)の見直しが始まったと書きました。 菅首相は安倍政権の政策を踏襲すると言っていたので、見直しで大きな進展は期待できないと思っていたところ、所信表明演説で、温室効果ガスの排出量を2050年に実質ゼロにすることを発表しました。 しかも「宣言します」と、オリンピックの開会宣言のような強い調子だったので、びっくりです。   それを受けて、環境関係のNGOは一斉にコメントを発表。 各々

          三度目の正直? 「温室効果ガス2050排出ゼロ」発表

          変えるのは今でしょう! 日本の現状維持的エネルギー計画

               先週13日、エネルギー基本計画(エネ基)の見直しに向け、資源エネルギー調査会基本政策分科会の議論が始まりました。 エネ基は、石炭、天然ガス、原子力、再生可能エネルギーなどの電源構成(エネルギーミックス)を含む、我が国のエネルギー政策を決定するもので、改定は3年に一度です。 このチャンスを逃すと、さらに3年待たねばなりません。 分科会は、環境関係の研究所、産業界、金融業界、県知事、大学、メディアなど多様な分野からの24名で構成されています。   環境NGOは今回

          変えるのは今でしょう! 日本の現状維持的エネルギー計画

          中国が、カルフォルニア州が、次はどこか?脱石炭競争が進む!

          私が気候変動の問題に関わるようになって2年数か月になります。 この短期間に気候危機解決に大きな変化が起こっています。 グレタ・トゥーンベリさんが始めた若者の運動の盛り上がり。 そして、毎日のように新聞紙上を賑わす気候問題に関する動き。こんなことは2年前にはありませんでした。 最近の記事から拾うと、まず、中国が国連総会で2060年までにCO2の排出量を実施ゼロにすると発表。 この計画では、2050年までに実質ゼロが必要なパリ協定の1.5℃目標には不十分です。しかし、世

          中国が、カルフォルニア州が、次はどこか?脱石炭競争が進む!

          Boys, be ambitious. 少年よ大志を抱け。いはんや政府においてをや。

          先週17日の新聞にあった、EUのフォンデアライデン欧州委員長が一般教書演説で、「2030年に域内の温暖化ガスの排出量を、1990年比で少なくとも55%減らす」と表明したという記事に驚きました。 従来の目標40%削減からの大幅アップです。 パリ協定の1.5℃目標達成のためには、2030年までに45%削減が必要とされています。それを上回る削減を目指すという発表です。 日本の目標の、2013年比26%削減(1990年比では18%削減)と比較すると、これがいかに挑戦的目標かー日

          Boys, be ambitious. 少年よ大志を抱け。いはんや政府においてをや。

          台風10号で感じる気候危機ー解決に向けた若者の行動を支援しようー

           この通信を書いている日曜夕方の段階では、「大型」で「非常に強い」台風10号は、まだ九州に接近中です。  一昨年、関西国際空港をはじめ大きな被害を与えた台風21号、昨年千葉でゴルフ練習場のネットを倒壊させた15号、新幹線の車両基地が水没した19号は、皆さんの記憶に新しいと思います。  このように台風の数は減少するものの、海水温の上昇などで強力な台風が増えることは、気候変動に携わっている科学者が以前から予測しています。  世界の平均気温が産業革命以前と比べ1.1℃上昇しただ

          台風10号で感じる気候危機ー解決に向けた若者の行動を支援しようー