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バイデン氏勝利で世界はどう変わるのか?

米大統領選では、開票後トランプ氏が一時票をリードしている局面があり、私のようにハラハラしていた人がいたと思います。

まだスッタモンダはしてはいますが、週末に全50州と首都ワシントンの勝敗が判明し、ほぼ確実にバイデン氏が次期大統領に就任します。

気候危機の解決にとって、どちらが勝つかは非常に大きな問題でした。

パリ協定から離脱したトランプ氏は、地球温暖化を認めようとはせず、熱波が襲っていた時もそのうち涼しくなるとか、カリフォルニアの森林火災でも森林管理が原因だと暴言を吐いて科学者の警告を無視。温室効果ガス排出産業を支援する政策を実行しています。

一方バイデン氏は、パリ協定への復帰を表明し、次のような具体的政策を発表しています。

・2050年温室効果ガス排出ゼロ
・2035年電力分野の温室効果ガス排出ゼロ
・グリーン・ニュー・ディールとして4年間で2兆ドルを環境インフラに投資

このように世界第2位の排出国(1位は中国)の米国が気候危機問題の解決に大きくシフトすることで、世界で脱炭素社会への動きが活発になると思われます。

菅首相は、大統領選の前に2050年温室効果ガスのネット・ゼロ(カーボン・ニュートラル)を宣言しています。

世界の脱炭素社会に向けた産業構造の大変革競争で、日本が後れを取っていることを懸念していたメディアは、この宣言で「最終バスに乗れた」と表現していました。

小泉環境大臣はバイデン氏の勝利を、日米2050年ネット・ゼロ同盟ができたと歓迎しています。

ここでも米国追随かと気にはなりますが、対策を進めやすくなるのは事実だと思います。

しかし、首相の宣言にはバイデン氏のような具体性がありません。

最終バスに乗れたのは良いとして、ルートが間違っていないか、バスが途中で故障しないかなど懸念材料があります。

というのも、首相の方針を支援するために自民党が立ち上げた2050年カーボン・ニュートラル実現推進本部の会合では、原発の新増設について議論されているからです。

2050年カーボン・ニュートラルは100%再生可能エネルギーで達成すべきであり、それが安心して暮らせる持続可能な地球環境を作ることになります。

私が学校に行っていた頃は、日本には資源がないと教えられました。

化石燃料についてはその通りです。

しかし太陽光、風力、地熱発電の可能性は国内需要を賄うに十分だと言われ、そうできれば年間20兆円ともいわれる化石燃料の輸入代金を支払う必要がなくなります。

逆に考えれば、その分を今から投資に充てられる訳です。

大変革には既得権の打破が必要です。

バスが道を間違えないように、私たち市民が具体策に注目し続けていきましょう。

横山隆美