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パンパン・・銃の発射音 ニューヨーク 

わりと近くでパンパン…… 銃の乾いた発射音だ。

夜ふけ、ジャズを堪能したあとのアベニューA、トンプキンズ広場。

麻薬の注射針が道ばたに転がるこの広場の東は夜ヤバイ、と地元の友人。
90年代初めのニューヨークであった。

9番街51丁目、アフガン料理店でケバブと激辛カレーに挑戦した帰りがけ、店の人は交差点を渡るな、と。
通りの向こう側を歩く人の格好はラフで汚い。こちらは小ざっぱり。
9番街より西は危険であった。

ユダヤ人のパン べーグルショップ           1994

このところ、もっぱら国内を歩いている。
もう一度だけ海外へ行くとしたら、いの一番にニューヨークだ。

ケネディ空港で拾ったタクシーのラジオからながれるクールジャズに身をゆだね、クイーンズボロ橋が近づくにつれ摩天楼のスカイラインが目にとびこんで、久しぶりのビックアップルに心が浮きたつだろう。

雨のソーホー


80年代、指折りの犯罪都市といわれた。
検事出身の市長が取り締まりを強め安全は高まった。

だが、僕が銃声を耳にしたころ、1日に銃犯罪が20件、強盗ひったくりが200件もあったという。

こんな危ないところに何故ひかれるのか。
時代の先端をゆく経済、アートや流行の発信地、人種のサラダボウルのごとき大都会。

富豪が住む通り一本うらには貧民街もある。

最高と最低がごったまぜなこの都の緊張、猥雑、混沌が好きだ。
街を歩くだけで心がたかぶる。

五番街     1994

「婦人と召使」など3点もフェルメールを所蔵する小粒な美術館フリックコレクションは、門外不出のためNYでしか見られない。
昔ここを訪れたが、この画家を知らずに通りすぎて、後悔先に立たず。

カーネギーホールでモーツァルトを聴きほれ、
そのあとタクシーを走らせジャズの聖地ヴィレッジヴァンガードでマイルス・デイビスに深夜まで浸る。

これがニューヨーク再訪のプランだ。


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