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Beyond MaaS 日本から始まる新モビリティ革命(著/日高洋祐・他)日経BP

自動車産業100年に一度の大変革期に立ち向かえるチャンスを頂いた自分、大学時代の専門領域でもあり仕事の中でも常に自動車産業と向き合ってきた自分、この大変革期の中で新たな価値創造をしていきたいと思いこの書籍を手に取ってみた。

この本では、ヒトを中心としてくらしをより良くアップデートすることを最終的な目的とし、深化「Deep MaaS」と探索「Beyond MaaS」の世界観を理解を深めさせてもらった。

■モビリティ革命”MaaS”とは何か?

◎ヒト中心でくらしをより良くアップデートし続ける事を目的とし、移動をともなうモビリティサービス(手段)を通じて実現する

<Key Word>
・人がもっと移動したくなるような体験(社会)
・利用者一人一人にオーダーメイドで最高の価値を提供
・便利/低コスト/エコ
・マイカー保有を前提とした社会から多様なモビリティが共生する社会へ
・サービス業(カーメーカーを頂点としたピラミッド型産業ではない)

◎日本版MaaSが目指すところは、QOLやWellbeingの向上が主である。そのためには、全ての人にとって身体的にも精神的にも”移動の円滑化と移動の高付加価値化”を提供することがキモである。

【行きやすい=Must】移動の抵抗感低下
→【行きたい=ワクワク】移動・交流意欲向上
→【ユーザーのTake】健康増進・セレンディピティ
→【ユーザーのGive】まちや地域の活性化・スマートシティ化
→【QOL/Wellbing向上】豊かな生活

■MaaSビジネスの創り方

旧来の車載業界での戦い方・価値の創り方とは全く異なることは明白。
シンプルに言うと『顧客』が全く異なる。
旧来『2C=車を購入する人、2B=カーメーカー』だったが、MaaSでは『2C=社会・地域に関係するあらゆる人々、2B=全産業』となる。ただし、顧客をふわっととらえて良いと言う事ではなく、具体と抽象の行き来する幅が極端に広がると考えた方が良い。
また、顧客が異なると言うことはビジョン・顧客提供価値・解決手段など、課題の解き方が全く違うという事を肝に銘じないといけない。

①MaaSの基本構築領域
 情報提供、予約決済機能などを備えたMaaSアプリの提供
②Deep MaaS領域
 交通分野の経営改善への貢献、都市・地域交通の最適化、先端技術や新しいビジネススキームの導入
③Beyond MaaS領域
 交通と異業種との連携、スマートシティ

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■Deep MaaS

◎新モビリティの導入や移動の効率化、快適性の向上などモビリティサービスの深化。そのために最も重要なのはステークホルダー間の信頼関係を醸成・発展させること。

・ユーザー;より安全に快適に、より早く、より安く
・モビリティ事業者;ユーザーマッチング、遊休資産の活用により需給バランスの最適化。そのためには各々のプレイヤーのデータ連携や官民連携など、競争から共創に変わらなければいけない

■Beyond MaaS

◎本当の意味でMaaS導入の価値を発揮するためには、Deep MaaSで目指す交通手段の統合と最適化だけがゴールではなく、あらゆる産業やまちづくり、社会への波及効果が目指すべきゴールである。そもそも人の移動には必ず何かしらの目的がある。今ここにないから、その場所に移動する。今ここではできないから体験をしに行く。

<MaaS×異業種>
・不動産;他拠点居住、MaaS付き住宅
・観光;インフラをサービス化し利用者を増やす
・医療・ヘルスケア;超高齢化社会の日本にとっての重要課題であり、先進的解決事例は世界にも輸出できる可能性。サービスの移動(動く診療所)
・飲食;移動店舗
・小売;行くもよし来てもらうもよし。購買データ×移動データの利活用
・電力;街の蓄電池
・フィンテック;顧客信用度(利用実績×個人認証)、目的と紐づけ
・広告;移動中の体験価値の向上、適切なターゲティング、タイムリーな広告で、人の移動や消費行動をダイナミックに変える可能性
・ゲーム;セレンディピティとワクワク(99%マジメで1%のゲーム的味付け)

■Deep MaaSとBeyond MaaSの掛け算による価値

(移動)人々の動きを解析と最適化
→(目的)人の移動データと購買データを紐づけ
→(最適化)生活者や都市にとってメリットがあるよう行動を変える

■2030年のスマートシティを創る

最も重要なカギは、『人々の心を惹きつける』ビジョンである。
市民の生活は将来どうなるのか、どのような暮らしやメリットがもたらされるのか、新しいテクノロジー(5G、キャッシュレスなど)やモビリティ(CASEなど)は政策を実現していく上での手段であり、それらがどのように暮らしや価値観に影響を与えるのかを丁寧に示すことが必要。
また、スマートシティといっても中心にいるのは人間である。どれだけ都市OSやデータ利活用を考えても、描く絵の中心を人間としてデザインすることが必須である。

■書籍


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