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琉球銀行への投資を考える。

今、市場に大きな変化が起きている

株式市場の株価はなんらかのカタリスト(触媒)がきっかけで個別銘柄やその銘柄が属している業界に変化が起きたときに動きます。

長く続いた日銀の低金利政策で低迷していた銀行株の株価が今まさに躍動しつつあります。

銀行、特に地方銀行でどのようなカタリスト(触媒)があり、どのような変化が起きようとしているのか?

数ある地方銀行の中でなぜ琉球銀行なのか?

この辺りを詳細に調べ、沖縄と琉球銀行の投資環境について考えていきます。

〇この記事を読んで得する人

  • 地銀に長期投資を検討している人

  • 沖縄の地場産業に密着した企業への投資を検討している人

  • 割安で高配当な銘柄へ投資を検討している人

  • 収益が安定している企業への投資を検討している人

  • 地域密着型の企業への投資を検討している人

今、起きている市場の変化とは?

政府・日銀の政策変更

市場の物価上昇が続く昨今、長くゼロ金利(実質はマイナス金利)政策を続けてきた日銀が利上げへと動こうとしています。

全国の物価の先行指標となる2023年1月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年同月比4.3%上昇となりました。

今後のCPIの伸び率は緩やかになるだろう、と予測する機関もありますが、CPIが高止まりする可能性もあるため、今後も日銀が金融緩和を続けていくことが難しい状況にあります。

2013年度中にもし日銀が利上げに踏み切るとすると、長期金利(国債10年債利回り)は上昇するので、銀行の収益は改善していくことが見込まれます。

今のところ日銀は黒田総裁の後任人事が4月にあるので、それまでは動かないと見込まれますが、2023年度中の利上げを見込んで銀行株、とりわけメガバンクと呼ばれる大手都市銀行株の株価は2倍になり、全国の地銀の株価も軒並み上昇しつつあります。

その銀行株の上昇が始まろうとしていた2022年の11月中旬、zeppyなどで知られるyoutuberで投資家の井村俊哉さんが「これからは地銀が来る」とtwitterでつぶやいていたのを目にしました。

その時は半信半疑でしたが、よく調べてみるとかなり信ぴょう性がある話。

実際、日銀総裁の黒田総裁が長期金利の許容上限を0.5%まで引き上げた時は市場は日銀が利上げへと舵を切った、もしくは切りつつあると判断し、銀行株は軒並み上昇しました。

日銀が一時は金融引き締めへの転換を否定し、金融緩和の継続を発表した2023年2月現在も、井村氏は銀行セクターに対して強気で知られてます。

2月中に次期日銀総裁人事案が国会で提示されると予定されており、今後も銀行セクターは株式市場で注目を集めるのではないでしょうか。

※日銀総裁人事は一時は副総裁の雨宮氏に打診されるも、雨宮氏が辞退したため、経済学者の植田和男氏が指名されることになりました。
日銀初の学者出身の総裁ということで注目されてますが、今後の金融政策はどうなっていくのでしょうか?

琉球銀行の急がない改革

井村氏が昨年11月に投資したのは富山第一銀行でしたが、なぜ投資先として琉球銀行が挙げられるのか?

それはレオスキャピタルワークスの藤野英人さんが書いた著書、「さらば、GG資本主義」でトラリーマンの一人として、琉球銀行の社員、伊禮真さんを挙げていたのが琉球銀行に興味を持ったきっかけでした。

注)トラリーマンとは、会社員でありながら、組織の意向を慮るよりも自分の意志・良心に従い、会社のリソースを使って、顧客の為に働く会社員のこと。

伊禮さんは営業統括部メディア戦略室の室長で琉球銀行のブランド戦略を主に担当している人です。

伊禮さんはブランディングのための宣伝ツールをなんでも自分で作ってしまいます。

会社の地下室に最新の印刷機を置いて、会社のパンフレットや名刺など、デザインから印刷まですべてを自前で賄ってしまうのです。

その調子でふつうは外注するPR動画も自分で作ってしまいます。

PRは外注するより、会社の内部のことを良く分かっている人が作った方が遥に良いものが作れる。

常識に囚われず、自分の頭で考え、スキルを身に着けて自らの手で広告・宣伝を行う。

伊禮さんはそういう人です。

また、伊禮さんのような自由なトラリーマンを輩出する下地には、経営者の柔軟な思想があります。

琉球銀行頭取の川上康さんは昨今はやりのDX(デジタルトランスフォーメーション)にも積極的で、沖縄と沖縄の経済を担う地銀の将来を見据えた幅広い視野を持った人物です。

その辺りについては下記リンクの記事をお読みください。

銀行ほどDXの恩恵を受ける産業はないのではないか、と思うのですが、AWSやRPAの導入でコスト削減と効率化を図ると同時に、伊禮さんのように自由な発想を持った社員を起用し、大胆な企業戦略を行っていく。

多くの地銀もまた、同じようにDXを行い、社内改革を行っていますが、琉球銀行は沖縄という地理的に台湾や中国に近いという優位性と、「りゅうぎんロボ」などユニークなブランドイメージもあり、地銀の中ではひときわ輝いている存在です。

アフターコロナの観光業の逆襲

政府は5月8日から現在2類の新型コロナの感染症法上の位置づけについて、季節性インフルエンザと同等の5類へ移行する方針を決定しました。

現在、観光業はかなり持ち直してきており、5類への移行で観光業の復活が加速していくと予想されます。

書くまでもなく、沖縄にとって観光業は大きな柱です。

あらゆる経済活動が、観光客の集客の増加で動意付いていきます。

また、2013年2月現在、1ドル130円近辺で値動きしていて、ドルに対して円安と呼ばれる水準で通貨安のため、インバウンドは確実に増えており、沖縄経済は将来的に大きく飛躍する可能性を秘めています。

円安とインバウンドのセットで観光業を振興するのは政府の基本政策ですから、将来を決定づける長期潮流と言えるのではないでしょうか。

地銀はなぜ厳しい?

人口減少

人口が減り続けると言われて久しい日本ですが、人口減は地銀にとって預金減、手数料収入減、貸出し減に繋がり、長期的にみると大変大きな課題です。

とくに地方における人口減少は顕著で、そのため、地銀セクターは株式市場で長らく低迷していました。

しかし、沖縄の合計出生率は日本最高でコロナ以前は人口増加が続き、盛り上がりを見せていました。

沖縄は郷土愛が強く、雇用さえ安定すれば若者の地域離れを防げます。

沖縄は温暖な気候で過ごしやすいので健康寿命が長く、比較的、人口減少の影響を受けにくい地域でもあります。

人口減少は日本全体のことなので観光客数への影響など、沖縄にまったく影響がないとは言えないですが、インバウンドの増加や外国人の流入など追い風もあり、比較的影響は受けにくいのではないでしょうか。

低金利

現在、日銀は実質的にマイナス金利と呼ばれる低金利政策を行っており、地銀の収益源である、企業への貸出金利収入が思うように入りません。

貸出金利が低ければ、預金利息を支払えないため、預金減につながり、預金減は企業への貸出減に繋がります。

反対に貸出金利が上がれば、預金利息をより多く支払えるため、預金増、そして貸出増の好循環が生まれます。

長期金利(10年物国債の利回り)が低いと、住宅ローンやマイカーローンが安く借りられるので、消費者にとっては恩恵があるのですが、あまりに低すぎる金利は銀行の収益を圧迫してしまうため、金融が滞り、景気に影響が出てしまうのです。

現在は日銀が金融緩和を行い、低金利政策をとっているため金利は低い状態ですが、金融正常化を行い、適正な金利水準に金利を引き上げるのは銀行、引いては日本経済全体にとってメリットが大きいのです。

デジタル化

たとえば昨今流行りの暗号通貨や、PAYPAYなどのキャッシュレス決済。
デジタル化の波はとめどなく流れていきます。

銀行、とりわけ地銀はDX(デジタルトランスフォーメーション)が遅れている業界だと言われていますが、スマートフォンのアプリで口座残高確認や振り込みを行うことが出来るようにしたりと各地銀も真剣にDXに取り組んでいます。

しかし、大手メガバンクに比べて地銀のDXの速度はまだ遅いと言わざるを得ませんし、実際利用者として利用してみて、地銀の業務の効率化は改善の余地がまだ大きいと感じます。

しかし、それは裏を返せば、DX化によって地銀セクターに良い変化が起き、業界が好転する可能性もまたあるということです。

沖縄の地方としての可能性

観光業に特化した地域

沖縄は2018年にハワイを超える1000万人の観光客数(入域客数)を達成しました。沖縄のGDP(県内総生産)の観光収入が占める割合は20.9%で、これは2位の山梨県の10.1%と比べても突出しています。

コロナ禍で一時的に観光客数は減りましたが、沖縄の観光客数は徐々に回復してきています。

円安による恩恵でインバウンドが戻ってきてますし、この分だと、目標として掲げられた観光客数1200万人は近い将来、達成できそうな予感がします。

日本には目立った資源がありません。

そのため、戦後、資源を外国から輸入し、製造業で物を作り外国に輸出することでどうにか経済を潤していたのですが、昨今は韓国・台湾・シンガポール・香港といった「アジアの虎」と呼ばれる国々に追いつき、追い越されつつあります。

これはしかし、経済が発展していくため、どのような国も通っていく道であり、日本だけではなく、アジアの多くの国がそうやって力を付けて発展していっています。

そのような状況の中で日本はどのような分野で存在感を示していくのか?

答えは「観光」にあります。

なぜ、多くの外国人たちが今、日本を目指して来ているのか?

それは通貨が安いからと、日本に良いものがあるからです。

インターネットで何でも買える時代ですが、その国に来ることで得られる「体験」や「サービス」の価値はむしろ高まっています。

沖縄は本島から離れた小島で製造業に適した地域ではなかったため、戦後、観光業に注力してきました。

その為、どのような「体験」や「サービス」を武器にして戦えば良いかを沖縄の人は熟知しているのです。

人口減少が緩やか

沖縄の人口の推移については下記のリンクより。

沖縄はコロナ以前は転入超過が続いており、日本に希少な人口増加していた地域だったのですが、その沖縄でも人口減を止めるのは少々厳しいようです。

しかし、今後の取り組み次第ではむしろ人口は増加するかもしれないし、米軍基地の存在や、日本で突出した観光客数により沖縄は外国人に対して免疫が高い地域なので外国人の受け入れもスムーズにいくのではないでしょうか。

世代間のギャップを埋める独自の文化がある

このことは僕が以前から沖縄に対して感じていたことですが、NHKの連ドラや沖縄を舞台にした映画などの影響もあり、沖縄には世代間のギャップを埋める文化があると思うのです。

まず、「世代間のギャップ」ですが、変化の時代には付き物だと思います。

きっと江戸時代から明治時代に変わる頃にもあったんじゃないかなぁ、と思うのですが、あの時代もやはり「変化」の時代でした。

古い考え方を持つ人間と新しい考え方を持つ人間は考え方の違いにより、ときに摩擦を生みます。

その一つの顕著な例が「世代間ギャップ」ですが、沖縄の伝統文化である、三線や太鼓に合わせて踊るエイサー、舞踊などの伝統芸能や音楽、沖縄そばやゴーヤーチャンプルーなどの食文化はその世代間のギャップを埋めるための潤滑油になりうると思うのです。

沖縄は亜熱帯気候で、いわゆるミックスカルチャーですし、本島とは少し違った独自の文化があります。

その沖縄の伝統文化に触れたくて、沖縄を訪れる人も多いでしょうし、奄美や石垣島といった島々の伝統文化にもそういった独自の魅力があります。

琉球銀行への投資を考える

琉球銀行の企業概要

貸出、預金シェアは沖縄県トップ。従業員数は1405名。
総資産は2兆9571億円、預金残高は2兆6908億円。
(2022年9月30日現在)
沖縄県内企業のメインバンク率は42.2%で首位。2位は沖縄銀行で38.75%,
3位は沖縄海邦銀行で12.89%。

愛称は「りゅうぎん」バンクカラーは赤と青。
りゅうぎんレッドはふるさと沖縄の太陽の色であり、りゅうぎんのハートの色でもある。
りゅうぎんブルーは沖縄の空と海の色であり、りゅうぎんの誠実さ、清らかさを強調している。

りゅうぎんカードによるキャッシュレス決済に注力。
りゅうぎんvisaデビットカードも沖縄県内で広まりを見せている。

日本最大の広告賞のACCブロンズ賞に輝いた琉球銀行のブランドCMはトラリーマンの伊禮真さんが社内で自作したCM。

外注という人まかせにせずに自分で作ってしまうところがカッコイイですね。

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