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中国発ニューリテールの基本とデータサイエンス活用法

中国発の新しい小売文化であるニューリテールについて、現状の取り組みを具体的に紹介しつつ、今後の展開について考察していきます。(少し前に書きためていた内容を、今さらではありますがアップロードします。)

ニューリテールとは

ニューリテール(新零售)とは、中国の企業アリババ(阿里巴巴集団)が提案している商業形態のことで、インターネットを活用し、オンラインとオフラインを融合させスマート化した新しい小売の形として中国で注目されています。このアリババの提案に対抗し、テンセント(騰訊)や京東、蘇寧易購などの競合他社でも同様のテーマで商品やサービスを提供しています。そのため中国メディアでは競合他社によるインターネットを活用した新たな商業形態への取り組みのこともニューリテールと呼んでおり、広い意味ではアリババ以外の企業が提供する新しい小売文化のこともニューリテールに含まれます。

ここまで来たニューリテール

中国国内にはニューリテール型の店舗が数多くあり、ライフスタイルのスマート化を提案する様々な取り組みを行っています。

例えば「盒馬鮮生」というスーパーでは、専用のアプリでバーコードをスキャンすると商品情報を確認でき、そのままアプリ内のカートに入れることで配達してもらうことが可能です。また、配達範囲内であれば30分以内という早さで配送してくれることも魅力です。この配達速度を実現するため、店内の天井に注文を受けた商品を運ぶためのレールを設置するなどの工夫があります。基本的には電子マネーAlipayで決済しますが、一部端末では中国人限定で顔認証決済の利用ができます。

また、アパレルや化粧品ブランドのショップとアリババがコラボレーションした店舗である「天猫智慧門店」では、大型タッチパネルモニターを利用したスマートなショッピング体験が可能です。このモニターでは自分のアバターを使ったデジタル試着や、商品一覧の閲覧、簡単なゲーム等が可能で、従来のショッピングの概念とは異なった楽しみ方が実現できます。

アリババ以外にも様々な企業がニューリテール型の店舗運営に参入しており、これからもニューリテール化へ向け新しい技術や取り組みが登場してくると考えられるでしょう。

小売へのデータサイエンス活用法

ターゲットとなる顧客個人の興味や行動のデータを活用したサービスも注目されています。多くの企業が顧客の購買行動や表情、眼球運動などをリアルタイムに分析し、それぞれのニーズに最適な商品を提案する技術を開発しています。今回はこのような分析技術を活用している事例について紹介していきます。

アメリカのヘアケアブランドFunction of Beautyは、ユーザーの髪質を把握するために短いクイズを利用し、その結果から独自のシャンプー、コンディショナーの組合せを作成します。その組合せは最大120億種類にものぼります。そして、顧客は製品の色や好みの香り、ボトルのサイズを選択し、自分の名前をボトルに付けることができます。顧客はヘアケア製品を購入する他、サブスクリプションサービスに申し込むこともできます。

中国の500以上の都市で8,000店舗を展開するBestseller Fashion Groupは、オンラインとオフラインのロイヤルティプログラムを組み合わせて詳細な顧客情報のプロファイルを構築しています。SNSや中国最大のECモールであるTaobao(淘宝網)とTmall(天猫)、自社Webサイト等オンライン上の消費者行動情報と実店舗訪問から得られた消費者情報の統合、3000万人以上のロイヤルティ会員のデータ利用などによって、消費者行動に基づいて差別化されたコンテンツの提供が可能となっています。オンラインとオフライン間での在庫の同期を行うことで、オンラインでの注文や店頭での受け取りなどの物流コストの削減にも繋がりました。平均配送時間も3日から1日半に短縮され、顧客はより早く商品を受け取ることが可能になりました。こうした流通の変化によって同社のような大手ブランドはSKU(Stock Keeping Unit 最小管理単位)の生産性を向上させながら通信コストを削減する小売フォーマットを導入することが可能になり、消費者データを活用して特定の消費者向けにターゲットを絞った小売店を作ることができるようになりました。また、店内の製品ポートフォリオを最適化するためにデータから得た消費者の目線を取り入れており、店舗は消費者データを集める収集センターにもなっています。

未来の小売とは

これまで、ニューリテールに関する様々な取り組みを紹介してきました。
ニューリテールは発展途上の小売文化であり、今後も発展していくためには新しいフォーマットや新しいアイデアを着実に生み出すために絶えず成長していくことが求められます。そのため多くの企業は、現状では新しいとされる機能や技術、オペレーティングモデルが1年後に必ず使われているという保証はないと認識しています。

そして、顧客はもはや消費者として見られるだけではありません。企業は消費者にCo-プロデューサー(共同生産者)としての役割を持たせています。消費者のニーズを刺激する方法、似たような消費者を特定する方法、消費者を効果的にブランドの宣伝をしてくれるブランドアンバサダーにする方法など、企業には今までになかった新たなミッションがあり、ビジネスの可能性を開拓するため消費者の情報は不可欠なのです。例えば、研究開発プロセスの参加者として消費者に製品開発の早い段階で関わってもらい、生産前には消費者テストを行い、製品発売前に頻繁に連絡するといった取り組みを行うことで企業は消費者のニーズを製品に取り入れつつ、同時に消費者情報を得ることもできます。また、オンライン上でも同様で、購入、支払い、配送、その他すべての顧客との接点からデジタルマーケティングを行う必要があります。こうしたオンラインとオフラインの複合的な取引からパーソナライズされたマーケティングメッセージを読み取り、開発や販売方法を改善していくことが大切です。

これからも消費者のニーズは多様化していくと考えられるため、パーソナライズされた製品やサービスを提供する技術やシステムの登場に期待しています。

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