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(仮)酔い語り①

ここから記すことは全て頭にアルコールが回った状態で書いている。大したことではない。

今日はすすきので飲んだ。たかが2時間バーにいただけで、ハイボールやレモンサワーを少し飲んだだけで、しっかりと酔ってしまった。もう明日なんて仕事に行かなくてもいいだろうと吐き捨てたくなるほどに飲んだ。初めて行くバーで、インターネットで調べていたらなんだか良さげな雰囲気だったので行ってみたのだった。思った通りの居心地に良さで、気分転換にはほどよい場所であった。久しぶりに酔いの席で話した。
札幌に来て人と会話しながら飲んだのは初めてではないだろうか。いつもは自分の家でしっぽり飲むことが多い。一人で飲んで、それなりに気分を紛らわせて、そして寝るのが常であった。飲み屋に行こうにも、一人で行くとなるとどうも萎縮してしまう。常連ばかりの席もなんだか居た堪れないだろうし、あんまりしっぽりしすぎているのもそわそわしてしまいそうだ。
とまあこんな感じで、人見知りがうまいこと行かない理由をでっちあげて一人で閉じこもっていたのだった。気を使いすぎているのはわかっているが、それを自覚したところで何も解消できない。もうとにかく行くか行かないかの二択なのだった。

そして自分は今回のバーに行くことにした。意外と普通に馴染めたものだ。自分の他には、同じような人見知りの人が二人くらいカウンターに座っていて、それなりにコミュニケーションを取ったりした。店のスタッフの方がミスチル歌ってほしいと言ったのでinnocent worldを歌ったりなんかした。人前でカラオケを歌うなんてのも久しぶり、それこそ半年ぶりくらいかもしれない。
最後に誰かと歌ったのはたしか長野県の野辺山でリゾバをしていた去年の冬ごろ。もうあれからそんなに年月が経過しているのかと考えると感慨深い。あの頃を思い返すと、あの頃の良さがしっかりとあったものだ。今の自分にはない環境を得ていた。野辺山にはすすきのも札幌駅もないけれど、山ばかりでコンビニに行くのも徒歩30分かかっていたけれど、たしかにあの時にしか得られない何かがあった。それがなんなのか、言葉にするのも少し難しいくらいで、じゃあ言葉にするなよと思うけれどこれはまた自分の中で気持ちとして整理したいものなのだと思う。そんな気持ちが他の人たちにもわりとあることだと思う。わからんけれど。

それにしても今日は涼しい日だった。札幌はこんなにも夏の涼しさをあっという間に過去に置いていくのかと問いかけたくなるほどだった。外を歩けばだいたい半分くらいの通行人たちが長袖を着ていたり、上着を羽織ったりしていた。半袖短パンは自分だけだった。そんな半袖短パンがオンボロの自転車を漕いでいてまるで田舎の小僧のようだった。
8月上旬といえば、湿度があってじめじめとして、日差しは強く、コンクリートの地面からはジリジリとした熱が込み上げて、クマゼミはとんでもなくうるさく喚き立てる。それが夏ではないのか。ここの夏は、曇り空ひとつが太陽を覆えば涼しくなって、市内に大きな公園がいくつもあるくせにセミの鳴き声は1、2匹程度のアブラゼミくらいで、夜は扇風機もいらないのではないかと思えるくらいに涼しい。9月になればもう衣替えを見越して秋服を買いに行かなければならないのだろうか。それを考えると、先月くらいにZOZOで購入した半袖のシャツや短パンの部類はあまり出番の多いものではなかった。これが北海道ではなかったら、9月末まではこの服たちで持ち堪えることができたのではないか。

もう一度くらい暑い時期がやってきたりするのかもしれない。先週くらいに33度の日があってから一度も30度は超えていないようだ。今日なんかは最高気温が25度くらいで、これまた平穏な日だった。たしかに暑すぎる日が続くのはやってられないが、もう少し夏を感じてみたいというのも正直あったりする。

そして急速な眠気が襲いかかってくる。これも札幌の夜の涼しさの成せる技と言えようか。あと最近のドタバタ感が疲れを蓄積させてもはや何を書いているのかも怪しいくらいに手がおぼつかない。これがタイピングだから不安定なところが出てこないわけだが、手書きだときっとまともな字も書けやしないだろう。
ああ、明日はどうして仕事なのだろうか。嘆かわしくもあり、このまま忙しさに溺れてしまって悩みとかも考えられないくらいに動き回りたくもある。止まっていてはきっと不安は増幅する。健康であるうちは、こうして文章を書いては死ぬことを忘れるようにして、働き続けて死ぬことを忘れてしまいたい。死への恐怖は忘れてしまうことでしか免れない。きっと自分はいつか死ぬのだから、死んでしまうその時をわざわざ確認して想像の外側を見てしまうのだ。

こんなことばかり書いてしまって、いつかどうかなってしまいそうだ。酔っ払った時の文章ほど説得力のないものはない。でも自分は、これからも酒に溺れながら書いていくと思う。こりもせずに。


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