北海道裁量問題|公立高校入試確率問題2015
分類 融合C3双曲線・D2座標平面上の長さ
(1)は素直に
説明のために、大きいさいころの出た目の数を$${a}$$,小さいさいころの出た目の数を$${b}$$とします。(1)は点Pの座標を($${a,b}$$)とするわけです。点Pが関数$${y=\dfrac{6}{x}}$$のグラフ上の点になるということは、$${ab}$$=6になる($${a,b}$$)の組を調べます。
上級学校向けの問題ですので、表をかくまでもなく(1,6),(2,3),(3,2),(6,1)の4通り、というのでいいでしょう。
その確率は$${\dfrac{4}{36}=\bm{\dfrac{1}{9}}}$$
(2)は?
上級者用の問題ですから、解き方も上級者用に書きます。表をかきながら考えていきます。
まず、$${x}$$座標・$${y}$$座標がどうなるかを考えます。そして、点Pと点$${\left( \dfrac{1}{2},\dfrac{1}{2} \right)}$$との距離は
$$
\begin{array}{}
\sqrt{\left( {\dfrac{1}{2}-x}\right)^2+\left( {\dfrac{1}{2}-y} \right)^2}\\\
=\sqrt{\left( {\dfrac{1-2x}{2}}\right)^2+\left( {\dfrac{1-2y}{2}} \right)^2}\\\
=\sqrt{\dfrac{(1-2x)^2+(1-2y)^2}{4}}\\\
=\dfrac{\sqrt{(1-2x)^2+(1-2y)^2}}{2}\end{array}
$$
ですから、$${(1-2x)^2+(1-2y)^2}$$の値が100以下であればいい、ということになります。分数や平方根を回避する下ごしらえをしておきましょう。ここまでやればあとは計算をすればよいわけです。
$${(1-2x)^2+(1-2y)^2}$$の値が100以下になるのは、36通りのうちの16通りですので、その確率は$${\dfrac{16}{36}=\bm{\dfrac{4}{9}}}$$
答
問題を解いた後に
実はよく練られた問題です。
そうか、その手があったか、とも思ったのですが、実際に手を動かして問題用紙に書いてみると、引用元の記事は机上の空論と言わざるを得ません。
試験の場面でコンパスを使うのを思いついたとしても、現実問題として円をかいたとき(-3,-3)の点までの距離は$${\sqrt{\dfrac{98}{4}}≒4.95}$$ですから、コンパスで描いた円で0.05程度の誤差が円周の外か内かをちゃんと処理できるか。かなり難しいですよね。
そして、図を見ると、そもそもコンパスの針をさす中心はマス目上にない$${\left( \dfrac{1}{2},\dfrac{1}{2} \right)}$$で、微妙な数になるように問題がきちんと調整してある問題なんですよね~。
コンパスで一発じゃ~ん、という良問とはいかない、出題者の方が一枚上手、という意味で、よく練られた問題です。(数値を見るとタマタマまぐれと言う感じではない)
とはいえ、似たような座標平面上の長さ(距離)に関係する問題でコンパスは使うな! ということではありません。確率との融合問題だけ見ても、使える問題は兵庫県2017や、滋賀県2017、沖縄県2015など、あるにはあるので、発想法としてストックしておくのは悪くはないです。
ただし、指導する側としては、まずは正攻法をしっかりおさえることを忘れず、策に溺れされないように。
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