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基礎編30.5* 「2つ取り出すの分母⑤」【研究】取り出して,戻さずもう1回。だけど取り出す順序は実は関係ない

 箱の中に1,2,3,4,5と書かれたカードが1枚ずつ,合計5枚入っている。この箱から1枚のカードを取り出し,箱にもどさずにもう1枚のカードを取り出す。
 このとき,取り出した2枚のカードに書かれている数が,どちらも奇数である確率を求めよ。ただし,それぞれのカードの取り出し方は同様に確からしいとする。(福井県2005)

問題を解く前に・・・

 問題の構造としては基礎編14と同じです。まずは基礎編14と同じように解いてみましょう。

分母は・・・

 例によって1枚目は「Aさん」に、2枚目は「Bさん」にひいてもらいます。1枚目のAさんにとっての「1をひく」「2をひく」「3をひく」「4をひく」「5をひく」の5通り。2枚目をひくBさんにとっても,「1をひく」「2をひく」「3をひく」「4をひく」「5をひく」の5通り。

 「取り出して戻さない」ので、基礎編14と同じように対角線に×をつけておきましょう。2人のとり出し方はA→Bの順序がありますので、C型ではなくP型。左下は残しておきます。

 表の中で×のついていないマスを数えると,20通り。この20通りが、同様に確からしく起こることがら、ということになります。

分子は・・・

 取り出した2枚のカードに書かれている数が,どちらも奇数である確率は、表のように6通り。

 ですから、確率を求めると $${\dfrac{6}{20}=\bm{\dfrac{3}{10}}}$$ となります。

答えは・・・

$${\bm{\dfrac{3}{10}}}$$

【研究】でも実は、取り出す順序は・・・

 ここまでオーソドックスに解いてきましたが、上で書いた「2人のとり出し方はA→Bの順序がありますので、C型ではなくP型」という説明、実はC型でもいいのですよ、というのがこの【研究】です。
 だって、A→Bって取り出したとしても、B→Aって取り出したとしても、「どちらも奇数であるかどうか」を判定するのには影響しないですよね。ということなんです。
 順序が関係ない・・・ということは,この問題は基礎編15のようにC型で考えてもよいのです。C型で考えると、表は

のようになります。全ての場合は15通り。奇数になるのは表のように、3通り。

ですからその確率は、$${\bm{\dfrac{3}{10}}}$$。先ほどP型で求めた確率と同じになります。P型の表とC型の表を並べてみましょう。×をつけた対角線と対象に●印がついてるのがわかるでしょうか。表の右上と左下は同じパターンが生じるので、2でわったのがC型、ということになります。

 順番に取り出すけれども,分子判定のときには、取り出した順番はどうでもいい、というときも,はじめからC型で考えてよい、ということになります。「取り出し方」だけではなく、取り出した後の条件にも目を配っておいた方がよい,ということですね。
 このようにあらかじめ考えておくことは、計算が簡単になるだけではなく、「どうせ同じことが起こるので,最初からわっておいて考える」という考え方は、高校に入ってからとても重要になります。

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問題一覧

※23.2.19 基礎編30.5のカテゴリーを新設して、もと[基礎編14]として採録していた例題をこの項に移動。(基礎編14の問題は新しいものに差し替え)

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