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ケガとの闘いと黒字化経営~琉球ゴールデンキングスの歴史2009-2010~

どうもTaiyoです。

琉球ゴールデンキングスの歴史を振り返る。今回は2009-10シーズンです。


bjリーグ初優勝の翌シーズン、連覇を期待されましたが数々の困難があったシーズンでした。

看板選手の澤岻直人を放出、新キャプテン与那嶺翼

キングス初優勝後の2009年6月12日、翌シーズンよりbjリーグに新規参入する京都に対するエクスパンションドラフト。

そのプロテクト対象選手が発表されましたが、当時看板選手だった澤岻直人はプロテクト対象選手に名前がありませんでした

そして2009年6月15日、エクスパンションドラフトにて澤岻直人は京都ハンナリーズから指名。

チームの看板選手だった澤岻が初優勝直後に移籍するという驚きのニュースから始まったシーズンでした。

澤岻に代わるポイントガードとして、大分ヒートデビルズから地元北中城高校出身の #8  与那嶺翼が新加入します。

2008-09シーズンのリーグアシストランキング4位。周りを活かすタイプのガードでキャプテンシーもある素晴らしい選手でした。新加入にもかかわらずこのシーズンよりキャプテンを任されます

キングスは与那嶺を中心とした「超高速バスケット」を標榜してレギュラーシーズンに挑みました。


レギュラーシーズン成績

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プレーオフ成績

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エース金城茂之の大ケガ

10月のシーズン開幕から10勝2敗と好調だったキングスは数々のケガに襲われます。

2009年12月3日(木)の練習中、チームのエースへと成長した#6 金城茂之が負傷した事がクラブ公式サイトに掲載されました。まだ負傷の詳細は分からず。

2009年11月には週間MVPに選ばれるほど好調だった金城、bj全体でも日本人トップクラスの平均得点をたたき出していました。

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その後12月9日、金城は右ひざ前十字靭帯損傷の大ケガである事が発表され、ファンにも衝撃が走ります。

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クラブにとって大きな存在に成長した金城。クラブも応援メッセージを募集する等最大限の支援をしていました。

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手術とリハビリを経て何とか5月のプレーオフ復帰を目指していましたが、シーズン中の復帰は叶いませんでした。ここから金城のキャリアはケガとの闘い、そして「Mr.キングス」と呼ばれる存在になっていきます


大黒柱ジェフニュートンもケガで離脱

#50 ジェフ・ニュートンもこのシーズンに大ケガを負います。

まず2010年1月9日(土)大阪戦で右足 第1指(親指)靭帯損傷

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さらにケガを押して出場した2010年1月23日(土)京都戦で左肩脱臼の大ケガを負います

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この左肩脱臼の大ケガでニュートンはbjオールスターを辞退、長期離脱となります。


小淵、ケビンスティンバージを緊急補強するもケガ

エース金城と大黒柱ジェフを失ったキングスは緊急補強を行います。

2010年02月02日 小淵 雅(オブチ マサシ)がJBLより加入。加入後スターターも務めるなど主力として活躍を見せ始めます。

そして2007-08シーズンにキングスに在籍したケビン・スティンバージの再加入も発表されます。

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しかしその小淵も2010年4月4日(日)滋賀戦で右肩負傷で全治3週間(しかし4月17日京都戦には復帰)

ケビン・スティンバージも2010年4月4日(日)滋賀戦で顎を負傷して全治1週間

さらに重要な3Pシューターだった澤岻安史も2010年4月10日(土)福岡戦との試合中に右足腓骨の重症でシーズン絶望の大ケガ

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そんなケガ人続出のなか、ニュートンが2010年4月10日(土)福岡戦から強硬復帰ニュートンの左肩脱臼の状況は深刻で手術は不可避にも関わらず、シーズン優勝を目指すニュートンの強い意志での戦列復帰でした。


激戦の西地区上位争い、有明での敗北

このシーズンbj西地区上位争いは激戦で、2位以上に与えられるプレーオフ開催権は微妙な状況でした。

実際にプレーオフ沖縄開催が決定したのは、最終節2010年5月8日(土)アウェー大分戦でした。

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2010年5月15日(土)、16日(日)のプレーオフ福岡戦はホーム那覇市民体育館で2連勝。2年連続で有明のファイナル4進出を決めます。

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しかし、2010年5月22日(土)ウエスタンカンファレンスファイナル大阪戦、前シーズン大逆転勝ちをした大阪に完敗しました。その後3位決定戦で新潟に勝利、シーズンを3位で終えます

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キングスの歴史上、もっともケガに泣かされたシーズンとなりました。


経営面での躍進、球団創設3年目で黒字化を達成

チーム成績では連覇の夢を果たせなかったキングスですが、経営面は初優勝の追い風を受けて躍進します。

1試合平均観客数も2,397人→2,511人と増加。球団創設わずか3年目にして黒字化を達成します。

ここからは黒字化を達成した2009-10シーズンの経営面についてです。


レギュラーシーズン チケット価格

2009-10シーズン レギュラーシーズン チケット価格一覧

1階指定席 コートサイドS ¥4,500(¥4,500)
1階指定席 コートサイドA ¥4,000(¥4,000)
1階指定席 ビジター応援席  ¥4,500(¥4,500)
1階指定席 アリーナ指定席  ¥2,800(新設)
1階自由席 大人 ¥2,300(¥2,300)
1階自由席 子ども ¥1,700(¥1,700)
2階自由席 大人 ¥1,800(¥2,000)
2階自由席 子ども ¥900(¥900)
※全て前売り価格
※カッコ内は前シーズン価格

1階アリーナ指定席を新設、初優勝で人気が高まった事でより付加価値の高い座席を増やしてきました。

前シーズンから登場した観戦回数を増やす為の回数券
「PICK-5 / 8(コートサイド)」
「ゆい回数券5(1階自由席)」
これらも継続販売。


高額ランク推しに変化したファンクラブ

顧客分析に活用したファンクラブ「クラブキングス」

このシーズンから高額ランクであるゴールド会員の付加価値を高めて積極的に販売します。

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チケット購入方法

【販売窓口】
・ファミリーマート
・琉球ジャスコ
・スポーツデポ
・ステップバイステップ
・さくらトラベル/さくらチケット
・HOT沖縄

※指定席の取扱いはファミリーマート、チケットぴあ(インターネット) のみ

指定席が増えた事により販売チャネルを少しずつ限定、チケット管理をクラブ自身で行おうとし始めた様子が伺えます。


パートナー企業との連携

オフィシャルパートナー
全48社(全保連株式会社 / 琉球新報社 / 沖縄タイムス社 / 琉球ジャスコ株式会社 / 株式会社サンシャイン等)

悩みの種の駐車場問題。今も続くパートナー企業との連携もこの頃から。

当時のメインホーム会場だった那覇市民体育館の開催時には、オフィシャルパートナーであるイオン南風原ショッピングセンターを臨時駐車場として利用、無料シャトルバスを数多く運行。


ホームゲーム冠パートナー・テレビ放送の増加

創設3年目からの黒字化において特筆すべき点はホームゲーム冠試合(特別なスポンサー協賛のつく試合)の増加です。

プレーオフ含む全28試合中、17試合が冠試合。

冠パートナー企業はそのゲームをPR活動や社員招待などに活用、クラブには大きな協賛金がもたらされます。

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また、沖縄の地元ローカルTV局が独自枠でキングスの試合を生中継。

プレーオフ含む4試合が生中継されました。ローカルTV局の試合放映権料はそのままクラブの直収入になります。

冠試合とローカルTV局の試合中継は、このシーズン以降さらに増加していきます。


チケット販売開始時期を早めにまとめて

チケット販売時期の設定、地味ですがキャッシュフローにおいて大事な要素です。

このシーズンは後半戦の2010年2月~4月までのチケットを2009年12月12日にまとめて販売しました。

こうする事でクラブには早めにキャッシュが入る事になり、安定的な経営につがなります。これも現在まで続くキングスの経営戦略です。


アウェーゲーム詳細をクラブが発信

当時のクラブ公式サイトを見ていると、今と明らかに違う点があります。アウェーゲームの戦評です。

当時はクォーター毎の得点推移と選手の活躍を事細かに記載、大事なのは試合当日に公式サイトへ戦評をアップしていた点です。

bjリーグ初期は試合結果がTVニュースで報じられる事はほとんど無くSNSもまだ普及していなかったので、アウェーゲームの情報を得る事は難しい時代でした。アウェーゲーム当日は公式サイトの更新が頼りでした。


バーカウンターやキッズエリア

キングスのホームゲームには当時から他には無い色々な仕掛けがありました。

コートサイドにバーカウンター

1階ゴール裏には那覇市内のバー「Trunq」が出張バーカウンターを設置。1階のお客様はカクテルを飲みながら試合観戦も可能。(2020年現在は設置無し)

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無料キッズエリアも完備

パートナー企業である沖縄中央学園の協力によりキッズエリアを設置。無料で子どもを預かってくれます。(2020年現在も各ホームゲームで設置。無料です)

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2回目の沖縄開催プレーオフで万全の準備

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2010年4月12日、まだプレーオフ沖縄開催が確定していない状況でしたがチケット優先販売を告知します。これは前年の初プレーオフ沖縄開催時のチケット販売の反省から、払い戻しリスクがあったとしても優先販売を先行させたと思われます。

万一沖縄開催を逃していた場合、かなりの払い戻し金が発生するリスクを冒していたわけです。

<ステータス優先販売>
日程:4月19日(月)よりご案内
対象:Club Kingsのサービスステータスが「MVP」と「ALL STAR」の会員
販売方法:球団よりお客様へ直接ご連絡いたします。
<一次優先販売>
日程:4月29日(木・祝)
対象:Club Kings法人会員、ゴールド会員
販売方法:チケットぴあ特電
<二次優先販売>
日程:4月30日(金)
対象:Club Kingsキング会員
販売方法:チケットぴあ特電
<一般販売>
日程:5月10日(月)
対象:一般ご購入者
販売方法:ファミリーマート各店・チケットぴあ
■カンファレンス セミファイナル開催予定日(※1)
日時:5月15日(土) 試合開始13:00
    5月16日(日) 試合開始13:00
会場:那覇市民体育館


プレーオフ沖縄開催 チケット価格

プレーオフ2010 チケット価格 (会場 那覇市民体育館)

 券種 (前売価格)
1階指定席
コートサイド S  一般発売の予定はありません。
コートサイド A 一般発売の予定はありません。
アリーナ メイン 3,800円
アリーナ ベンチ 3,800円
エンド指定席 大人 3,300円
エンド指定席 子ども 1,800円
2階指定席
メインB 2,800円
ベンチB 2,800円
メインC 2,500円
ベンチC 2,500円
2階自由 大人 2,000円
子ども 1,000円

レギュラーシーズンと比較して1,000円前後の値上げ。


プレーオフ マーケティング

プレーオフ2010専用ユニフォームを着用、プレーオフ期間中にユニフォームに新しくロゴを掲載

2010年4月にはプレーオフ限定応援タンクを販売。完全予約制でプレーオフ試合当日に会場受取でした。これもプレーオフ地元開催が決まらない中ギリギリの判断でした。

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コラボイベントやフリーペーパー、YouTubeチャンネル開始

琉球海炎祭 & 琉球キングス! 【4月10日】

日本一早い花火大会「琉球海炎祭」とキングスがコラボ企画として「琉球ゴールデンキングス2F席券×琉球海炎祭コラボチケット(大人3,000円)」を販売。

キングス観戦の後にそのままビーチでビールと一緒に花火観戦。ビールが美味かった。


フリーマガジン「KINGS MAGAZINE」発行

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県内ファミリーマート等で無料配布されていました。記事の充実度はフリーマガジンとは思えないものでした。ちゃんと全部保管しておけばよかった…


YouTubeチャンネル開設

2009年09月14日、YouTubeに公式チャンネル「キングスチャンネル」を解説(現在はアカウント削除)

選手インタビューなどクラブ独自で動画作成、かなり積極的に更新していました。今もアカウントがあれば貴重な資料だったのに…(収益も)

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自然発生した「GO GO KINGS!」コール

今ではホームの定番となった「GO GO KINGS!」コール

これはクラブが先導して出来たものではなく、キングスブースターの熱から自分たちで作り上げてきたものです

さばにさんのブログ「Kings Hysteria」によると、初優勝の有明でこのコールが起き、そしてこの2009-10シーズンのホーム開幕戦の大阪エヴェッサ戦でも「GO GO KINGS!」というコールが自然発生的に起きたそうです。そこからはホームゲームの定番になりました。

自分たちで作り上げてきたホームの雰囲気とその歴史、イイですね!


おまけ

桶さん当時32歳なんですが…

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