アート鑑賞のよくある思い込み4つ

太陽です。アートに興味があるけれど、どう見たらいいのかわからないなと思う方、こんな思い込みはありませんか?アート鑑賞のよくある思い込みを解消して、アートを楽しむコツを紹介します。


1「作品を理解しないといけない」→「分からなくても大丈夫」

あなたは鑑賞には正しい見方があり、完璧に作品を理解できるようになって初めてアートを楽しめるようになる。と思っていますか?

いいえ、分からなくても大丈夫です。何だこれわかんないなーって言いながら楽しんでください。

作品を理解しないといけないという思いは一度手放して、代わりに、分からないものがこの世にあることは豊かで面白い。と思ってみてはいかがでしょうか。
わかりやすく伝えなければならず、説明を求められるこの社会において、理解できない突き抜けたものが存在することって、本当に素晴らしいです。この世の幅の広さを感じます。

私も分からなくて分かりたいな、と思う作品がたくさんあります。
作品を解説するには、その背景にある時代や思想、歴史、作家の情報などの知識が必要です。知識をつけることでより鑑賞を楽しむことができるのも事実です。
ですが、まずは作品を見ること自体が楽しい体験だと知ってもらえたらと思っています。

ぜひ、正解を求めずに自分の目で見て、心で感じることを楽しんでください。


2「同じ距離で見続ける」→「近づいたり、離れたり」

作品を見るとき、どのくらいの距離で見ますか?作品の大きさに関わらず、近づきっぱなし、離れっぱなしなど、同じ距離で見てることが多いのではないでしょうか。立ち位置を変えることによって、見えてくるものがありますよ。

なぜなら視点が変わることで注目する部分も変わるからです。

私は以前、藤田嗣治の「アッツ島玉砕」を見ました。迫力があり、圧倒されました。
この作品は、戦争の絵です。具象ですが抽象画のように曖昧に見えます。


視界に画面全体と壁が入るくらい離れると、茶色の面にしか捉えられない。この戦争画の中で敵対する両者とも同じものに見えます。
しかし、そこから近づくと個々の人物のアクションが見えました。日本兵とアメリカ兵が左右で描き分けられ、もみくちゃになっています。
さらに、画面から数十センチのところまで近づいて初めて、鮮やかな花が描かれていることに気がつきました。青い花と白い花でした。私はこの花に、何か祈りや、対比、生命感、儚さを見ました。

距離を変えて見ることで、作品の持つ視点を発見できて面白いです。見えなかったものが見えるよろこびを楽しめます。ぜひ、距離を変えながら鑑賞してみてください。

*画像は藤田嗣治「アッツ島玉砕」です。(すみません、拾い物です)
所蔵は東京国立近代美術館です。


3「真剣に見ないといけない」→「笑っていいよ!」

あなたは、作品を見て笑ったことがありますか?私はあります。
あはははは!な時もあれば、ニコニコこれは楽しいな、クスクス、ニヤニヤ、ふふふ、これは笑っていいんだろうか笑、、な時もあります。

アート作品は、ルールの面白さや作品コンセプトを読み解くだけでなく、笑ったり泣いたり怒ったりして、あなたの感情を楽しんでみてください。
そしてもし誰かが自分と違う見方をしていても、間違いではなく多様性の一つだと思って面白がってくださいね。

4「知識をもとにして見なければならない」→「まっさらな目で見よう」

アートは知識がないと見ても分からないものだから、知識がない自分は見ても楽しめない。と思っていませんか?それは半分間違いです。

確かに教養があるとぐっと作品について理解することができて楽しいのですが、どうしても学びが必要です。(私も美術の本をたくさん読みました)知識は、アートが面白いからもっと知りたいなと思ったときに、学んでみてくださいね。

アートの入り口で、もっと気軽に楽しみたいあなたは、できるだけまっさらな目(空っぽの頭、無)で見てみてください。すると作品から様々なイメージを発見できて、面白く鑑賞ができます。

私が初めてバーネット・ニューマンという作家の作品を見たときです。
作品は抽象画です。画面を貫くような線(面)が描かれているのが特徴で、「ジップ」と名付けてられています。
私はなるべくまっさらな目で見ようと思いました。
そして連作「十字架の道行き」をぼうっと見ていたら、イメージを発見しました。

・縦に貫く線が、道や細い壁のように見えた。

・線が天と地を結びつけるイメージ、遠近を持った空間が見えた。

・絵の具のかすれが、破れた布の端、風に舞う砂埃、乾いた空気のように見えた。

・まっすぐなジップは汗や血、キリスト磔刑の十字架そのものに見えた。

・空や地上、土、布の繊維など、映像のようにイメージを発見することができた。

ぜひ、あなたもできるだけまっさらな目で作品を見てみてください。
そしてそこに自分だけのイメージを発見することを楽しんでみてくださいね。

*画像は、バーネット・ニューマン作「十字架の道行き(第一留)」です。全15作品の連作です。所蔵はワシントン・ナショナル・ギャラリーです。


それでは、あなたのアートライフのお役に立てれたら嬉しいです。

いつもありがとう😊