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研究者は転勤族?

研究者が転勤族だということは博士課程に進学した時点で何となく感じ取っていましたが、いざ自分が学位取得し、就職活動が目の前に迫ってくるとそのことをひしひしと実感しました。

ただ、「転勤」というのは同じ会社内で勤務地が変わることを指すので厳密には研究者はあてはまりません。
強いて言うなら職場が変わるので「転職族」でしょうか?「異動族」?ワタリドリ?
ここでは勤務地が変わるという点でわかりやすい「転勤族」という言葉を使わせてもらいます。

もちろん研究者みんながみんな転勤族と言うわけではないでしょう。
学位取得後すぐに任期なしの大学教員や研究所職員、企業研究者に就くことができればそこにしばらくいることができます。
何らかの理由で自分から離れなければ転勤する必要はありません。

しかし国内の研究者が就くポストはそのほとんどが「任期つき」のもの(3年だったり5年だったり)なので、せっかく職にありつけてもまた数年後には別の仕事を探さなければなりません。
中には任期満了時に審査があってそこから延長があったり、任期無しポストに変更があったりしますが数はそこまで多くないのではないかと思っています。

ここでは特に研究者をめぐるこの現状を嘆いて政治批判などをするつもりはありません。
こういった環境の中で私が思ったことをつらつらと書いていければと思います。

私の少し具体的な状況をお話しすると、D3の時に日本学術振興会特別研究員DC2(いわゆる学振)に採用されたのでD3で学位取得後、1年間はDC2をPDに資格変更してポスドクをしています。
そして、このポスドクの1年の間に就活をしなければなりません。

正直、自分1人なら安月給だろうがどこだろうが研究ができればそれでいいやくらいで考えていたのでしょうが、私には妻と子どもがいますのでそういうわけにはいきません。
今の居住区域から離れるのであればなおさらです。
家族一緒に行くのであれば妻は仕事を辞めざるを得ませんので、安月給では生活ができないかもしれません。

さらに問題なのは仮に就職先が決まって、家族でそこに行ったとしても、数年後には任期切れでまた転勤となる可能性があるということです。
この制限によって妻が思うように仕事が見つけられない可能性があります。
子どもが小学生になっていれば転校させなければなりません。

人生設計が非常にしづらい...
というのをひしひしと感じています。

そんな中で私がどんな選択をとったかというと、年度初めに学振PDの申請書を出していたので、これに採用されればその予算をもって受入研究機関へ行く、落ちればそこから研究所や企業の研究員、大学教員の公募を探して応募しまくる、ことにしました。

結果的には、ありがたいことに9月末に学振PDへの採用が内定したので受入研究機関へ行くことにしました。3年という任期はありますが...
というわけで晴れて転勤族の仲間入りということです。

また3年後にはどうなっているのか、どこで何をしているのか、誰にも分かりません。

ただ、この時期に行き先が決まってよかったのはよかったというのもあります。子どもの幼稚園の願書〆切がどこもだいたい11月初旬だからです。
学振PD落ちて、そこから就活だったら行き先もわからないので幼稚園も決めようがありません。
幼稚園をあきらめざるを得なかったかもしれません。

問題をひとまず3年後に先送りにした感は否めませんが、それでもきっと前には進んでいるでしょう。そう信じています。
いつかどこかに定住できる日を夢見て、木から木へ、島から島へ、家族とともに渡っていきます。

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