見出し画像

採用を成功させるには、求職者に合わせた“翻訳”が必要だと思う。

コーポレートサイトや会社パンフレットには、その会社が何を目指していて、どんなことをしているかが書かれている。しかし、採用には向いていないんじゃないかと思う。なぜなら、分かっている人向けに書かれているものであり、分かっていない求職者には分かるような分からないような書き方であることが多いからだ。
 

企業研究しても、よく分からない問題

0ライン

就活性だった頃、大学の就職課の人にうながされて、僕も企業研究というものをやった。結論、よく分からなかった

いや、何をやっている会社かは書いてあるので分かる。しかし、生まれて初めて聞くような事業の説明は、知識としては分かるのだけれどもピンとこなかったのだ。

当たり前である。世の中にそういう産業や仕事があることを、企業研究をやって初めてやったのだから。アルバイトで働いたことがあるコンビニの店員や漫画家のアシスタントなら「あー、あんな感じね」と分かる。しかし、プラントメンテナンスとか、不動産売買とか、電気工事士とか、これまでの人生で関わったことがない仕事をイメージしろというのが無理ゲーなのだ。

もちろん、それを知るための会社説明会や面接なのだが、いくら説明を聞いてもモヤモヤが残る。人事の方は一生懸命に説明してくださるのだが、分かったような分からないような。「これが就活というものか」と思い、ピンときていないという本音を隠しつつ就活にのぞんだものだ。

だが、こんな思いがずっとあった。「誰かに“翻訳”してほしいなぁ」「何も知らない人間にもその会社がやっていることを分かりやすく教えてほしい」という思いがあった。
 

会社パンフレット、20年進化していない説

0ライン

月日は流れ、紆余曲折を経て、僕は企業と求職者を結びつけるお手伝いをする、採用コピーライターという仕事を14年くらい続けていた。

採用コピーライターという仕事は、ひと言でいうと翻訳家だ。何も知らない求職者の理解度に合わせて、企業がやっていること、募集している部署や仕事のことを分かりやすく伝える。

自分が就活生だった頃に抱えていたモヤモヤを解消する仕事に、僕は偶然就いてしまい、14年も続けていた。因果である。しかし、就活時代の思いのことは実はすっかり忘れていた。

思い出したのは、まだ世の中がコロナになる前に開催された転職フェアに参加した時だ。

転職フェアに参加した理由は、転職者たちの生の声を聞くためだ。コピーライターは、メッセージを届けるべき人のこと知らなくてはならない。だから僕は定期的にこういった転職フェアに参加し、転職を考えている人たちにインタビューをしている。そのとき、1人の女性の転職者からこんなことを言われた。

「会社パンフレットを読んでも、よく分からないんですよ」

その人がいくつかのブースからもらってきた会社パンフレットを見てみた。襲いかかる既視感。そう、この感じ。キレイに丁寧にまとめられているのに、読んでも頭に入ってこない。そんな会社パンフレットがそこにはあった。途端に就活時代のことを思い出した。

会社パンフレットって20年前から変わっていないんじゃないのか。

いや、会社パンフレットは就活だけに使われるものではなく、取引先への自社紹介として使われるものだからこれでいい。問題は、採用にも使われていて、求職者に「?」と思われていることだ。

やっぱり、“翻訳”は必要なのだ。

では、求職者に分かりやすい“翻訳”は、どのように考えていけばいいのだろうか。

怪獣映画には、電柱や鉄塔が必ず出てくる

0ライン

いきなり話は変わるのだが。

みなさんは怪獣映画を見るだろうか。僕はたしなむ程度に見る。そんな怪獣映画には、「電柱」や「鉄塔」が必ず出てくることをご存じだろうか。出てくるのだ。

なぜ出てくるのか。それは怪獣の大きさを視聴者が瞬時に理解するためである。ビルも出てくるではないかと思うひともいるだろう。ビルでは不完全なのだ。その大きさが一瞬で分かるくらい、視聴者の生活の中に存在している高いものでなければ、怪獣の大きさをアピールことが出来ないからだ。「電柱」や「鉄塔」は、多くの人が知っている高いモノなのだ。

ここに今回の話のヒントがある。

「電柱」や「鉄塔」は怪獣の大きさを分かりやすくするアイテムであるが、虚構のモノを測る現実のモノサシになっているのだ。それはつまり、「電柱」や「鉄塔」を介することで、怪獣と言う虚構のモノが現実――僕たちの日常と地続きになる。それによって分かりやすさが生まれているのだ。
 

翻訳のコツは、日常と地続きにすること

0ライン

話は本題に戻る。

会社パンフレットやコーポレートサイトには“翻訳”が必要なのだと思う。なぜなら、求職者にはピンと来ないから。「あー、そういうことね!」と分かるくらい分かりやすい説明があったほうが、良い企業と求職者の出会いが生まれるはずである。

では、どう“翻訳”すればいいのか。求職者の日常とリンクさせて地続きになる伝え方にすればいいのだ。

例を書こう。

【A】
私たち、〇〇電気工事株式会社は、人々の豊かな生活に欠かせない電気というインフラを支えている会社です。
【B】
停電。想像してほしい。辺りが真っ暗になり、テレビもパソコンもつかない。もちろん暖房も。そんな事態を回復させるのが私たちです。

いかがだろうか。

【B】のほうがイメージが湧きやすく、仕事紹介としても分かりやすいと思う。その理由は、求職者の日常と地続きになっているからだ。はじめて聞く仕事だとしても【A】より親しみが湧くと思う。

「求職者の日常とリンクさせて地続きになる伝え方をする」が、僕がたどり着いた、採用における分かりやすいコミュニケーション翻訳法だ。

こんなふうに伝えてくれる企業が1社でも増えたなら、求職者も分かりやすいし、採用の進むんじゃないかなぁと思う。企業の採用に力を入れたいと思うのなら、採用のために会社パンフレットを翻訳した採用パンフレットがあったほうがいいし、コーポレートサイトを翻訳した採用ホームページがあったほうがいいと思う。

こういったものは新卒採用向けに1年かぎりで作られることが多いけど、中途入社に向けたものもあったほうがいいと僕は思う。

あなたはどう思いますか?(笑)

0ライン

今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!

このnoteでは、これまで4000件以上採用成功させてきた採用コピーライターの僕が考えてきたこと・やってきたことを発信しています。学び・気づきがあると感じた方は、このアカウントをフォローしていただくと、定期的に学び・気づきがある情報が届きますので、ぜひご検討ください。

ツイッター

https://twitter.com/taisk_webwriter

twitterアカウントでは、採用ノウハウや日々の学び、動画の更新、ウェビナー開催なども発信しています。

みなさまの会社に、コミットした人材の入社と定着と活躍が実現できますように!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?