従順なので騙しやすい=日本人。 

より

上記文抜粋
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ブラウニング『普通の人びと: ホロコーストと第101警察予備大隊』

クリストファー・R・ブラウニング 『増補 普通の人びと: ホロコーストと第101警察予備大隊』 ちくま学芸文庫(2019)

ごく平凡な市民が無抵抗なユダヤ人を並べ立たせ、ひたすら銃殺する――なぜ彼らは八万人もの大虐殺に荷担したのか。その実態と心理に迫る戦慄の書。
薬剤師や職人、木材商などの一般市民を中心に編成された第101警察予備大隊。ナチス台頭以前に教育を受け、とりたてて狂信的な反ユダヤ主義者というわけでもなかった彼らは、ポーランドにおいて3万8000人ものユダヤ人を殺害し、4万5000人以上の強制移送を実行した。私たちと同じごく平凡な人びとが、無抵抗なユダヤ人を並び立たせ、ひたすら銃殺しつづける―そんなことがなぜ可能だったのか。限られた資料や証言を縒り合わせ、凄惨きわまりないその実態を描き出すとともに、彼らを大量殺戮へと導いた恐るべきメカニズムに迫る戦慄の書。原著最新版より、増補分をあらたに訳出した決定版。
ちくま書房HP

アウシュビッツに代表される強制収容所における大量虐殺が始まったのは、主に1942年後半からだった。

そもそもユダヤ人などの強制収容所が設置されたのは、1942年1月のヴァンゼー会議における決定を受けてのことで、実はそれまではユダヤ人は(抑圧されつつ)街の中で暮らしていた。

しかも、現実のドイツ国内に住むユダヤ人は1933年時点で50万人程度で、その後5~6割が国外に脱出しており、1930年代末にドイツ国内に残っていたのは20万人程度だったとされる。

ところが、1939年にポーランドが征服されると、いきなり200万人からのユダヤ人が「アーリア生存圏」の中に現れてしまう。

さらに1941年6月にソ連侵攻が開始されると、バルト諸国、白ロシア、ウクライナにいたユダヤ人がまた200万人前後も増えてしまう。

こうしたユダヤ人を「取り急ぎ処理」するために編成されたのが、本書のテーマである警察予備大隊だった。

本書は200人以上の元隊員に対する尋問調書をもとに、「普通の人びと」である隊員がユダヤ人を連行し殺害するという任務をルーチンワークとし、自己の中で道徳的免責を獲得していく過程を描いている。

意外なことに、これらの警察大隊における大量殺戮任務は「命令」ではあったものの、「命令を拒否する権利」も保証されており、かつ命令を拒否したからと言って大きな処罰は下されなかった。

この点、特攻を拒否したり逡巡したりした隊員に対し、あからさまに酷い待遇を付与した日本軍と大きな違いがあると同時に、「だからこそ」恐ろしいと感じさせるものがある。

命令を拒否したところで、同じ部隊の仲間たちは子どもを含めて大量虐殺を実行しており、その間は自分だけが後方任務に就くことになる。

例えば、自分は命令拒否してトイレ掃除しているが、隊の仲間たちは大量虐殺を実施中、などという状況に一度は耐えられたとしても、二度は耐えられるだろうか、という話なのだ。

最終的には、ごくごく一部のものを除いて、同調圧力と忖度からみな自主的に大量虐殺に手を染め、それを忘却するために酒や薬に依存していくことになる。

興味深いことに部隊の編成地であるハンブルクは社会民主党の牙城で、ナチスの勢力はむしろ弱い地域だったため、隊員も社会民主党の党員が少なくなかった。

それだけに、「ナチスの狂信者が大量虐殺した」という神話は否定され、「普通の人びとが大量虐殺の道義的免責を獲得していく物語」が恐ろしい説得力を持つことになるのだ。

この話は現代にも通用する。

霞が関では、日々官僚が公文書や検事調書を廃棄したり、改竄したりしているが、彼らは大半の場合、自民党や安倍晋三の極右反共イデオロギーの狂信者というわけではなく、「普通の人びと」であろう。

また、私が先日車を走らせていたところ、正午過ぎに炎天下で小学生たちが野球をしていた。車の温度計は37度を示していた。果たして、その子どもたちは「野球狂」だったのだろうか。

本書を読むと、映画『ヴァンゼー会議』の背景がいっそうクリアになり、強制収容所設置への道筋が理解しやすくなるはずだ。

さらにNetflixでは本書をテーマにしたドキュメンタリーも配信されており、理解を深めてくれる。

要はナチスの教義の深層は現代の帝国日本にも引き継がれており、深く根付いているのである。

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抜粋終わり

日本は「善悪は集団に従属するか否か」しかないところもあったし・・・それだけになっているのが「天皇日本」だからね・・・

集団の悪事に追従する=善 
そうなると、集団ごと滅ぼして消し去るしか、悪を除去できないので、日本人は死滅します。当然の話なのです。


日本人は社会を維持するために悪意ある行動や意地悪な考え方を培ってきた。前近代の村社会において最大の正義は「共同体の維持」だ。手を取り合わなければ生きていけないからこそ、秩序を乱すものには罰を下してきたし、はじき出されれば生きていけない。とすると、日本人の礼儀正しさや親切さは社会から村八分にあわないための同調圧力に起因するものであると言えるのではないか。

まあ「革命」が無かったから、「集団にしがみ付く」がマストだったので、それだけでは社会はまともにならない・・・

簡単に騙して皆殺しにできるよね・・・日本人は。

不安な馬鹿ほど騙しやすい・・

より

上記文抜粋
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米国のあまりに忌まわしい野蛮さ(マイケル・ハドソン)

◾️マイケル・ハドソン「野蛮か文明か」2024年7月26日

Barbarism or Civilization

By Michael Hudson, July 26, 2024


マイケル・ハドソン:

米国からドイツ、その他のヨーロッパ諸国の政治家がウクライナ戦争や現在パレスチナ人に起こっていることについて語るとき、そこには一様に超党派の意見が並んでいる。トランプもバイデンが言っていることを言っている。ロバート・F・ケネディ・ジュニアもそうだ。それはイスラエルを最後まで支持し、ウクライナも支持することだ。


しかし、イスラエルがガザだけでなくヨルダン川西岸で行っているジェノサイドに世界中が衝撃を受けている。彼らの残虐行為、病院への爆撃、記者やジャーナリストの暗殺により世界は何が起こっているのか見えなくなっているが、それが世界の道徳的憤りを刺激し、NATO西側諸国と対立するアイデンティティーを確立している。

Michael Hudson:
When politicians from the United States to Germany and other European countries talk about the Ukrainian war or what is happening to Palestinians right now, there is a uniform a bipartisan alignment. Trump is saying what Biden is saying, and so is Robert F. Kennedy, Jr. That is to support Israel up to the end, and also Ukraine.

Yet the whole world has been shocked by the genocide that the Israelis are waging not only in Gaza but on the West Bank. Their brutality, the bombing of the hospitals, the assassination of reporters and journalists so that the world can’t see what is happening has catalyzed the world’s moral outrage that is setting its identity against that of the NATO West.

パレスチナ人に対する攻撃は、ウクライナやNATOによるロシア語圏への攻撃と同様、アメリカの爆弾によるものだ。したがって、パレスチナを攻撃しているのはイスラエルだけではない。これは主にアメリカの攻撃だ。これは、イラク、リビア、シリアに対するアメリカの攻撃の論理的延長として考えることができる。


共通点は、イスラエルは近東の石油を支配するためのアメリカの陸揚げ空母として機能しているというアメリカの観点だ。アメリカが中東とその石油貿易の支配を維持できれば、石油を遮断することで他の国の力を断つ力も保持できる。先ほど説明したように、石油は過去1世紀にわたってアメリカの力の鍵となってきた。


それが、アメリカがイスラエルを支援してガザにアメリカの爆弾を投下させ、アメリカの諜報スパイ網がイスラエルに爆撃場所を指示している軍事的理由だ。アメリカの戦略家たちは長い間、勝つためにはまず病院を爆撃しなければならないという戦略をとってきた。


その目的は、単に敵の住民を殺すことではなく、対人爆弾でその構成員を無力化し、一生不具になった女性や男性を支えるための経費を永続的に残すことだ。そして最も重要なのは、子供たちを爆撃して、彼らが成長して報復しないようにすることである。


足を吹き飛ばされたり腕を失ったりした不具の子供たちを他のパレスチナ人に世話させるという考えは、あまりにも非人道的で、文明の最も基本的な原則に反しているため、他の国々が離脱するきっかけとなっている。

The attack against Palestinians is with American bombs, just as is the case with Ukraine’s and NATO’s attack on Russian-speaking territories. So it’s not simply Israel that is attacking Palestine. This is primarily an American attack. You can think of it as a logical extension of the U.S. attacks on Iraq, Libya and Syria.

The common denominator is the American view that Israel serves as a U.S. landed aircraft carrier to control Near Eastern oil. If the United States can maintain control of the Middle East and its oil trade, it will retain the power to turn off the power of other countries by cutting them off from oil. As I explained earlier, oil has been a key to American power for the past century.

That is the military reason why the United States is backing Israel in dropping American bombs on Gaza, while the U.S. intelligence spy network is telling them where to bomb. American strategists have long followed the strategy that in order to win, you have to bomb the hospitals first.

The idea is not simply to kill the enemy population, but to cripple its members with anti-personal bombs to leave a lasting overhead cost in supporting women and men who are maimed for life. And most important is to bomb the children, so that they will not grow up to wreak retaliation.

The idea of making other Palestinians take care of crippled children who had their legs blown off or lost their arms is so inhuman, so against the most basic principle of civilization, that it has acted as a catalyst for other countries breaking away.

2024年7月25日、イスラエルのネタニヤフ大統領は、レバノン攻撃計画とイラン攻撃にアメリカを引きずり込む希望に対する軍事支援を求めるため、米国議会に招かれた。彼は、あなたと私が同意できるような言い方でこの問題を述べた。ガザ地区で18万人ものパレスチナ人を殺害または負傷させ、ヨルダン川西岸地区の入植者による殺害とパレスチナ人とその財産の破壊を加速させた彼は、ローザ・ルクセンブルクを彷彿とさせる言葉で、彼女は「これは文明の衝突ではなく、野蛮と文明の衝突であり、死を賛美する者と生命を神聖視する者の衝突である」と説明した。


まさにこれが問題になっていると私は思う。ネタニヤフ首相と彼を招待した米国議会のネオコン支持者たちは、中東の石油生産国に対する米国とイスラエルの新たな暴力で世界を脅かす軍事的挑戦状を叩きつけた。


今日、このような戦争への準備が進んでいることは、新たな蛮行で世界全体を脅かしている。


On July 25, 2024, Israeli President Netanyahu was invited to the U.S. Congress to ask for its military support for his planned attack on Lebanon and his hope to drag America into an attack on Iran. He put the issue in a way that I think you and I can agree on: Having killed or wounded as many as 180,000 Palestinians in Gaza and accelerated settler murders and destruction of Palestinians and their property on the West Bank, he explained that, in words reminiscent of Rosa Luxemburg: “This is not a clash of civilizations, it’s a clash between barbarism and civilization, between those who glorify death and those who sanctify life.”

I think that this is precisely what is at stake. Netanyahu and his neocon supporters in the U.S. Congress who invited him indeed have thrown down the military gauntlet threatening the world with yet new U.S. and Israeli violence against the Middle Eastern oil-producing countries.

Today’s buildup to such a war threatens the entire world with a new barbarism.

かつては、世界の他の国々、アジアやグローバルサウスには、西洋から知的かつ道徳的に大きく離脱することなく何とかやっていけるだろうと期待する傾向があった。少なくとも短期的には何とかこのすべてを乗り切ることができるだろう、まるで分極化を続けるのではなく、何とかして正常な状態に戻れるかもしれないという感覚だった。


しかし、イスラエルで起きていること、つまりイスラエルとアメリカの共同によるパレスチナ攻撃は、米国が彼らに行うかもしれないこと、米国/NATO諸国がウクライナ人最後の一人まで戦うことで行っていることと全く同じことを、世界の多くの人々に認識させる衝撃を与えた。米国がパレスチナ人を絶滅させることを支持するのは、単にイスラエルを武器として利用し、中東の石油を米国が支配し続けるためだけであり、これはあまりに忌まわしいことだ。


イスラエルがサウジアラビアとその石油、アラブ首長国連邦、クウェートを占領するのを阻止できないものはない。アメリカがチリとアルゼンチンで鉱物資源と土地を奪い、労働組合のリーダー、土地改革者、シカゴ学派の新自由主義に反対する経済学教授を暗殺したのと同じようなことだ。イスラエルとウクライナの共同戦争は、他の国々に、同様の運命を避けるために今すぐ行動しなければならないという切迫感を与えた。


他の国々は単に受け身ではいられない。なぜなら、パレスチナ人に起こっていることは、他の国々すべてに起こり得るからだ。それが、アメリカが世界支配を維持するためにやろうとする行動だ。だからこそ、米国はイスラエルのパレスチナ攻撃やウクライナのロシア語話者攻撃に資金を提供しているのだ。アメリカは爆弾やその他の兵器を提供し、軍隊を補助している。これが切迫感を生み出し、世界の大多数が、本当の決別をするためにはもっと迅速かつ断固とした行動を取らなければならないと認識するきっかけとなっている。

There already was a sort of tendency for the rest of the world, for Asia and the Global South to hope that somehow they could make do without making the enormous intellectual and moral break from the West. The feeling was that somehow they could survive through all this at least for the short run, as if things might somehow go back to some semblance of normal instead of continuing to polarize.

But what is happening in Israel the joint Israel-American attack on Palestine has shocked much of the world into realizing that this is what the United States might to do them, just as it’s what the US/NATO countries are doing to by fighting to the last Ukrainian. U.S. support for exterminating the Palestinians simply in order to use Israel as an arm to keep U.S. control of Middle Eastern oil is what is so abhorrent.

What is not to stop the Israelis from taking over Saudi Arabia and its oil, the Emirates, Kuwait, much as America did in Chile and Argentina to take over their minerals and land while assassinating labor leaders, land reformers and economics professors opposing Chicago School neoliberalism. The joint Israel and Ukraine wars have given a sense of urgency for other countries to realize that they have to act now in order to avoid a similar fate.

Other countries can’t simply be passive, because what is happening to the Palestinians can happen to all of them. That’s the degree to which Americans will go to maintain their global control. That’s why they are funding the Israeli attack on Palestine and the Ukrainian attack on Russian speakers. The Americans are providing the bombs and other weaponry, subsidizing their armies. This is what is creating the sense of urgency that is catalyzing the World Majority to realize that they can’t must act more rapidly and decisively to make a real break.

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・・・・・・・・・・・
抜粋終わり


より

上記文抜粋
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軍事占領による植民地帝国主義より効率的な金融新植民地主義(マイケル・ハドソン)


前回引用したマイケル・ハドソンの「野蛮か文明か」は、長いインタビュー記事の末尾箇所であり、今回は前段の発言をいくらか抜き出す。むしろこちらのほうが重要かもしれない。なお小段落名は私が付け加えたものである。


◾️マイケル・ハドソン「野蛮か文明か」2024年7月26日

Barbarism or Civilization

By Michael Hudson, July 26, 2024


軍事占領による植民地帝国主義より効率的な金融新植民地主義


NATO 西側諸国は、過去 70 年間、南半球や多くのアジア諸国にドル建て債務を負わせることで金融支配を行ってきた。ドル建て債務は、これらの国々を金融新植民地主義、国際債務奴隷状態に陥れている。それに加えて、米国と欧州は、他国が独自の道を歩み自らの利益を追求するのを阻止し、一極支配を維持するために持つ究極の力は、他国を爆撃し、テロを動員することである。
The NATO West does financial control by having loaded down the global South and even many Asian countries with dollarized debt for the last 70 years. That dollarized debt holds them in a financial neocolonialism, an international debt peonage. Besides that, the ultimate power that the United States and Europe have to maintain their unipolar control to prevent other countries from going their own way and pursuing their own interests is to bomb them and mobilize terrorism.
〔・・・〕
第二次世界大戦後の秩序は、新しい種類の帝国主義だった。基本的には金融帝国主義であり、軍事占領によって強制されたヨーロッパ式の植民地帝国主義ではない。金融統制は、コストがかからず、したがって新自由主義的な国際搾取様式にとってより効率的であることが証明された。非同盟の犠牲国は、1954年以降もここから離脱できなかった。というのはキューバ、インドネシア、その他の非同盟諸国は「単独で行動」できるほど大きくなかったためだ。もし非同盟諸国が単独で行動しようとしたら、ここ数年のベネズエラのような姿、あるいは革命後のキューバのような姿になっていただろう。米国と欧州がそのような制裁を課していたら、この体制に抵抗する国々は、経済混乱を避けるために西側に屈服せざるを得なかっただろう。しかし、当時は米国式の「自由市場」帝国主義の下では制裁は必要さえなかった。
The post-World War II order has been a new kind of imperialism. It basically is a financial imperialism, not the European-style colonial imperialism enforced by a military occupation. Financial control has proved less costly and hence more efficient for the neoliberal mode of international exploitation. Non-aligned victim countries couldn’t break away in 1954 or since because Cuba, Indonesia and the other non-aligned nations were not large enough to “go it alone.” If they tried to go it alone, they would have ended up looking like Venezuela has looked like in the last few years, or like Cuba looked like after its revolution. If the United Sates and Europe had imposed such sanctions, countries resisting this system would have been obliged to surrender to the West to avoid economic disruption. But sanctions were not even necessary at that time under “free market” imperialism U.S.-style.


●米国が中露との貿易投資関係から引き離そうとして開始したウクライナ戦争

2022年に米国がドイツとヨーロッパをロシアや中国との貿易・投資関係から引き離そうとウクライナで戦争を開始して以来、米国はヨーロッパやその他の英語圏の従属国を動員して経済制裁を課し、こうした政策に従う国々の経済を壊滅させてきた。
ドイツの産業空洞化と、米国が武器供給国としてフランスを押しのけたこと(例えば、AUKUSへの潜水艦販売や、旧アフリカ領土でフランスに代わる国にしようとしたこと)による反発が、他の国々を追い払っている。米国とヨーロッパはグローバル・マジョリティから孤立し、ロシアや中国との繁栄した貿易と投資を、石油やその他の高価格輸入品に対する米国への経済的依存に置き換えてきた。

驚くべきことは、米国の外交が自らの世界帝国をいかに自己破壊させてきたかということだ。米国の外交は、欧州、オーストラリア、日本、韓国に反ロシア、反中国の制裁に参加させることで、これらの国々に対する米国の支配を固めることに重点が置かれており、その結果、これらの米国指定の敵国は、西側諸国への貿易依存を相互の自立に置き換えることを余儀なくされている。

Ever since the war in Ukraine by the United States to break Germany and Europe away from their trade and investment relations with Russia and China began in 2022, the United States has mobilized its European and other English-speaking dependencies to impose economic sanctions that has devastated economies obeying these policies.
The backlash resulting from German de-industrialization and America’s elbowing aside France as an arms supplier (e.g., for submarine sales to AUKUS and in trying to replace France in its former African possessions) is driving other countries away. America and Europe have isolated themselves from the Global Majority, replacing its prosperous trade and investment with Russia and China with economic dependency on the United States for oil and other higher-priced imports.
What’s so amazing is how self-destructive of its own global empire U.S. diplomacy has been. The focus of U.S. diplomacy on locking in its control over Europe, Australia, Japan and South Korea by obliging them to join its anti-Russian and anti-Chinese sanctions has obliged these designated U.S. enemies to replacing trade dependency on the West with their own mutual self-dependency.

●自らの首を絞める米国の滑稽さ

貿易制裁を課して国々を脅迫するという米国の政策は、いわば自らの経済的首を絞めている。米国の外交政策が、以前の世代が世界の他の国々に押し付けようと懸命に努力した自由貿易帝国主義とドル依存を解体するのを見るのは、ほとんど滑稽だ。

今年ロシア主導で開かれるBRICS+諸国の会議、そして来年中国が開く会議は、西側諸国への依存から独立するための軌道をどう計画するかということに終始している。米国外交自体が彼らにそうするように駆り立てているのだ。
The U.S. policy of bullying countries by imposing trade sanctions has cut its own economic throat, so to speak. It’s almost humorous to see it dismantle the free-trade imperialism and dollar dependency that earlier generations of U.S. diplomacy tried so hard to impose on the rest of the world.

The meetings this year by the BRICS+ countries under Russian leadership this year and China next year are all about how to plan a trajectory for becoming independent from reliance on the West. That is what U.S. diplomacy itself has driven them to do.

●ウクライナ戦争はヨーロッパに対する米国の戦争

2022年以来のウクライナ戦争は、ヨーロッパに対する米国の戦争と呼べると思う。なぜなら、ドイツ、イタリア、フランス、その他のヨーロッパ諸国が大きな敗者となったからだ。アメリカは前兆を見て、アジアに目を向けてアメリカに奪われるのではなく、収益性の高い市場であり債務者であるヨーロッパに対する支配を強固にすることから始めた方がいいと判断したのだ。

基本的に、アメリカの戦略家たちは、アメリカがもはや本当の産業剰余(利益)を生み出せないことを認めている。アメリカの新自由主義貿易政策は、産業をアジアにアウトソーシングした。

グローバル・マジョリティが離脱した場合にアメリカが確保できる唯一の新しい市場はヨーロッパだ。それが、アメリカがノルドストリームパイプラインを爆破するよう手配し、ヨーロッパが安価なロシアのガス、石油、原材料を買わないよう説得した理由だ。これによりヨーロッパは自発的に経済的自滅をすることが確定した。さらにロシアと中国はアジアの近隣諸国と団結することになったが、敗者はヨーロッパ諸国となったのである。
I think that you could call the war in Ukraine since 2022 an American war against Europe, because the great loser has been Germany, Italy, France and the rest of Europe. The United States has seen the writing on the wall and decided that if there’s going to be a fight between North America along with NATO against the rest of the world, it had better start by solidifying its control over Europe as a profitable market and debtor instead of its turning to Asia and being lost by the United States.

Essentially, U.S. strategists are acknowledging that they know that America is not able to produce a real industrial surplus anymore. Its neoliberal trade policy has outsourced its industry to Asia.

The only new market that it can secure if the Global Majority breaks away is that of Europe. That explains why the United States arranged for the Nord Stream pipeline to be blown up, and convinced Europe voluntarily to commit economic self-destruction by not buying low-priced Russian gas, oil and raw materials. While this has driven Russia and China together with their Asian neighbors, the losers have been European.
〔・・・〕
エネルギーこそが鍵だ。だからこそ、1945年以来、アメリカの外交政策の中心的目的は、石油から始まる2つの方法で他国を支配することだった。アメリカは、イギリスやオランダとともに世界の石油貿易を支配し、離脱して自国の利益のために行動しようとする国々の電気や光熱を止められるようにしてきた。

石油とともに、アメリカが用いてきた2番目の戦術は、穀物と食糧を支配することだ。独立国を暗闇の中で飢えさせるのである。しかし、ここでも、制裁は主にヨーロッパを苦しめるためのものだった。
Energy is really the key. That’s why a central aim of American foreign policy since 1945 has been to control other countries in two ways, starting with oil. The United States, along with Britain and Holland, have controlled the world oil trade so that they can turn off the electricity, turn off the lights of countries that try to break away and act in their own self-interest.

Along with oil, the second tactic that America has used is to control grain and food. Let independent countries starve in the dark. But here once again, the sanctions have mainly been to make Europe suffer.
〔・・・〕
これまでのところ、この第三次冷戦の影響は、ヨーロッパをアメリカの軌道に引き戻すことだった。アメリカは、この新自由主義の地政学に代わるものはないと主張している。西側の教科書は、新自由主義こそが経済を効率的に運営する最良の方法であると学生に教え込んでいる。つまり、自立と生活水準を守る政府を持たず、略奪的独占と金融利権追求を規制しないということだ。その狙いは、資本主義を独占資本主義へと進化させることだ。独占は金融部門によって「信託の母」として組織化されるため、実際には金融資本主義である。
The effect of this Cold War III so far has been to drive Europe back into the American orbit. The United States insists that there’s no alternative to this neoliberal geopolitics. Western textbooks indoctrinate students to believe that neoliberalism is the best way to run an economy efficiently – by not having a government to protect self-reliance and living standards, not to regulate against predatory monopoly and financial rent seeking. The aim is to let capitalism evolve into monopoly capitalism, which is really finance capitalism, because monopolies are organized by the financial sector as “the mother of trusts.”

これを全面的に受け入れ必要は毛頭ない。そうであっても、呆れ返るほど経済音痴の日本の国際政治学者等からはほとんど「決して」生じない視点であるだろう。その意味ですこぶる貴重である。

なおマイケル・ハドソンは既に同様のことを言って来ている。


例えばーー、

ウクライナでの戦争はロシアに対する戦争ではなかった。 NATOに対する戦争だった。 米国には悪夢があった。それは、ドイツや他のヨーロッパ諸国が繁栄への道をロシアとの貿易や投資の増加に求めるというものだった。The war in Ukraine wasn’t a war against Russia. It was a war against NATO. The United States had a nightmare and that was that Germany and other European countries were going to see their road to prosperity, to lie with increasing trade and investment with Russia.(Michael Hudson, WAR Against NATO Not Russia, November 23, 2023 )

ヨーロッパの植民地主義の軍事帝国主義は、金融帝国主義に取って代わられた[The European military imperialism of colonialism has given way to financial imperialism] (MICHAEL HUDSON, All Of Our Wealth Has Been Coming From You、July 12 2024

ーーこの金融帝国主義[financial imperialism]の別名が冒頭の金融新植民地主義[financial neocolonialism]である。なお駐米ロシア大使はごく最近、これを債務新植民地主義[debt neocolonialism]と呼んだ[参照]。


ハドソンのような視点は、少し前までは陰謀論と片付けられてきたことが多い。特に金融資本に支えられたディープステートの存在を主張する言説に対して。


ところで、これまた国際経済学者ジェフリー・サックスは次のように言っている。

さて、陰謀論者や陰謀論を信じる人は頭がおかしいという考えを広めたのは誰でしょうか? そうです、陰謀を企てる人たちです[Now, who peddled in the idea that conspiracy theorists or believers in conspiracy theory are nuts? Well, people who commit conspiracies.]( Jeffrey Sachs: JFK, Conspiracy Theories, Israel-Palestine, and Ending the War in Gaza, April 7, 2024

私はすべてが「経済」というつもりはないが、とはいえこの2年半のあいだ陰謀論用語を使ってアンチ米ネオコンの立場にあるものを難詰してきた連中は、「重度経済音痴」の症状を抱えている人物が多いのではないかと睨んでいる。とくに金融資本主義音痴の輩が。

……………………

※附記

なお、同年代の同じマルキストであるマイケル・ハドソンと柄谷行人は金融資本主義に対して強い批判があるのは同じだが、ハドソンは産業資本主義については肯定的である一方、柄谷は産業資本主義についても金融資本主義と同じ穴の狢だと批判している。

◾️Finance Capitalism's Self-Destructive Nature By Michael Hudson July 18, 2022

金融資本主義は本質的に自己破壊的であるのに対し、産業資本主義は自己拡張的である。金融資本主義は自己破壊的であり、それがまさに今日起こっていることであり、中国は基本的にかつて産業資本主義と呼ばれていたものの論理に従うことでそれを避けようとしている。
finance capitalism is intrinsically self-destructive whereas industrial capitalism is self-expansive. Finance capitalism is self-destructive and that's exactly what's happening today and that's what China wants to avoid by basically following the logic of what used to be called industrial capitalism.


◾️柄谷行人『トランスクリティーク』2001年

資本とは自己増殖する貨幣である。マルクスはそれを、まずG - W - G'(貨幣―商品―貨幣)という範式に見いだす。それは商人資本である。それとともに、金貸し資本 G - G' が可能になる。マルクスはこれらを「大洪水以前からある」 資本の形態だといっている。だが、商人資本に見出される範式は産業資本にも妥当する。 産業資本においては、Wの部分が異なるだけだからである。それはマルクスの言い方でいえば、 G - (Pm+A) - G' である (Pmは生産手段、Aは労働力)。 産業資本が支配的になった段階では、商人資本はたんに商業資本となり、金貸し資本は銀行あるいは金融資本となる。だが、資本を考えるためには、 G -W - G'という過程を見ることからはじめるべきである。資本とはたんに貨幣ではなく、こうした変態の過程全体である。(柄谷行人『トランスクリティーク』第二部第1章「移動と批判」)

産業資本のイデオローグは「資本主義」という言葉を嫌って 「市場経済」という言葉を使う。 彼らはそれによって、あたかも人々が市場で貨幣を通して物を交換しあっているかのように表象する。この概念は、市場での交換が同時に資本の蓄積運動であることを隠蔽するものである。そして、彼らは市場経済が混乱するとき、それをもたらしたものとして投機的な金融資本を糾弾したりさえする、まるで市場経済が資本の蓄積運動の場ではないかのように。
しかし、財の生産と消費として見える経済現象には、その裏面において、根本的にそれとは異質な或る倒錯した志向がある。 G′(G+⊿G) を求めること、それがマルクスのいう貨幣のフェティシズムにほかならない。マルクスはそれを商品のフェティシズムとして見た。それは、すでに古典経済学者が重商主義者の抱いた貨幣のフェティシズムを批判していたからであり、さらに、各商品に価値が内在するという古典経済学の見方にこそ、貨幣のフェティシズムが暗黙に生き延びていたからである。(柄谷行人『トランスクリティーク』第二部 第2章「綜合の危機」2001年)

柄谷のこの捉え方は近著『力と交換様式』(2022年)に至るまで同様である。

ハドソンの捉え方についてのもういくらか詳しくは、➡︎「金融資本主義と産業資本主義」を参照。

なお金融資本主義については両者とも次のようにほぼ同じことを言っている。

金融資本主義とは、上位1%に属する人がいかにしてタダ飯を手に入れるかということだ[finance capitalism is all about how to get a free lunch if you're a member of the one percent. ]
(マイケル・ハドソンMichael Hudson, Finance Capitalism's Self-Destructive Nature, July 18, 2022)


貨幣-貨幣'[M - M' (G - G′)]において、われわれは資本の非合理的形態をもつ。そこでは資本自体の再生産過程に論理的に先行した形態がある。つまり、再生産とは独立して己の価値を設定する資本あるいは商品の力能がある、ーー《最もまばゆい形態での資本の神秘化》(マルクス『資本論』第三巻第二十四節)である。株式資本あるいは金融資本の場合、産業資本と異なり、蓄積は、労働者の直接的搾取を通してではなく、投機を通して獲得される。しかしこの過程において、資本は間接的に、より下位レベルの産業資本から剰余価値を絞り取る。この理由で金融資本の蓄積は、人々が気づかないままに、階級格差を生み出す。これが現在、世界的規模の新自由主義の猖獗にともなって起こっていることである。
In M-M' we have the irrational form of capital, in which it is taken as logically anterior to its own reproduction process; the ability of money or a commodity to valorize its own value independent of reproduction―the capital mystification in the most flagrant form”. In the case of joint-stock capital or financial capital, unlike industrial capital, accumulation is realized not through exploiting workers directly. It is realized through speculative trades. But in this process, capital indirectly sucks up the surplus value from industrial capital of the lower level. This is why accumulation of financial capital creates class disparities, without people's awareness. That is currently happening with the spread of neo-liberalism on the global scale.
(柄谷行人、Capital as Spirit“ by Kojin Karatani、2016, 私訳ーー英論文であり邦訳されているのかもしれないが私は知らない)


簡単に言えば、両者の相違はマルクスのM–C–M′ (貨幣―商品―貨幣')とM–M′(貨幣―貨幣')の捉え方の相違に収斂する。

産業資本主義では、製品を開発し、マーケティング計画を立て、競合他社より安く売り続けるための研究開発に着手するための長期計画が必要である。基本的な力学は M-C-M′ である。資本 (マネーM) は、工場やその他の生産手段の建設に投資され、労働者を雇用して製品 (商品C) を利益 (M′) を出して販売する。
金融資本主義では、これを M-M′ に省略し、利子を課してキャピタルゲインを得ることで、純粋に金融的にマネーを稼ぐ。金融による富の創出方法は、不動産、株式、債券の評価によって測定される。この評価は長い間、収益の流れ (賃貸料または利益) を現在の金利で資本化することに基づいていたが、現在では、総収益の主な源泉として、ほぼ完全にキャピタルゲインに基づいている。

Industrial capitalism requires long-term planning to develop a product, make a marketing plan, and undertake research and development to keep undercutting competitors. The basic dynamic is M–C–M′: capital (money, M) is invested in building factories and other means of production and employing labor to sell its products (commodities, C) at a profit (M′). Finance capitalism abbreviates this to a M–M′, making money purely financially by charging interest and making capital gains. The financial mode of wealth creation is measured by the valu-ations of real estate, stocks, and bonds. This valuation was long based on capitalizing their flow of revenue (rents or profits) at the going rate of interest but is now based almost entirely on capi-tal gains as the major source of total returns.
ーーFinance Capitalism versus Industrial Capitalism: The Rentier Resurgence and Takeover
Michael Hudson, 2021

先に見たように柄谷にとってこのハドソンが記述している産業資本主義側のM–C–M′ (貨幣―商品―貨幣')自体も結局、《資本の蓄積運動の場》に過ぎず、貨幣のフェティシズム(貨幣物神)を免れ得ない、と。

あるいはーー、

資本とは本質的に、商人資本・金貸資本であると、彼(マルクス)は考えたのです。重商主義・重金主義が示すのは、資本を駆り立てるのは、物質への欲望ではなく、貨幣への欲望、すなわち、物質を交換によって手に入れることを可能にする「力」を蓄積しようとする欲動だということです。そして、この力の蓄積は、交換によって差額(剰余価値)を得ることによってのみ果たされる。(注3)
問題は、この「力」 (交換価値)がどこから来るのか、ということです。マルクスはそれを、商品に付着する霊的な力として見出した。つまり、物神(フェティシュ)として。このことは、たんに冒頭で述べられた認識にとどまるものではありません。彼は『資本論』で、この商品物神が貨幣物神、資本物神に発展し、社会構成体を全面的に再編成するにいたる歴史的過程をとらえようとしたのです。(柄谷行人『交換様式論入門』 2017年、PDF

この点に関しては、柄谷行人のほうがマルクスをはるかにラディカルに読んでいる、と私は思う。特に最晩年のマルクスが言った「氏族社会の高次元での回復」ーー《氏族社会の自由・平等・友愛のーーより高次元でのーー回復[Wiederbelebung sein – aber in höherer Form – der Freiheit, Gleichheit und Brüderlichkeit der alten Gentes.]》(マルクス『民族学ノート』Marx, Ethnologische Notizbücher. 1880/81)(参照)ーーに執着する柄谷は根源的マルキストと呼ぶほかない。


とはいえ、現在の戦況分析がほとんどまったくなく、次のように言い放つだけの柄谷にいくらか寂しく思うのも事実である。

◾️人生を振り返ることについて:私の謎 柄谷行人回想録① 2023/2/20(火)

――「戦争の時代が来る」と指摘されていましたが、ウクライナにロシアが侵攻する事態になっています。

柄谷 1989年のベルリンの崩壊以来、新聞も含め、「歴史の終焉」だとか、くだらないことを言ってきたんだからね。それが壊れたからって騒ぐなよ、と。初めからわかり切ってるじゃない。……などとまた言う気もしない。

それに比べて、ハドソンは柄谷より二歳年上の今年85歳だが、なんという精力的な戦争分析をし続けていることか!

(ところで、ーーここでの文脈とは関係なく言うがーー先の『交換様式論入門』を見ての通り、柄谷にとって「力」とはフェティッシュのことであり、近著『力と交換様式』の別名は「フェティッシュと交換様式」(物神と交換様式)なのである。)

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抜粋終わり

軍事力よりも狡猾な「情報」と「金融」の植民地主義の支配下が、帝政日本。

天皇と米英の「植民地」が、日本列島ですからね・・・で日本人は家畜・・・・

天皇の無い 蒼い空を取り戻す

慈悲と憐みの富む社会になりますように。


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