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【観劇レポ】愛のショー再び ミュージカル「ムーラン・ルージュ!」

観劇レポ遠征編。2023年に日本初演を迎えたのち、はやくも再び帝国劇場で再演されているミュージカル「ムーラン・ルージュ!」。 

初演と同じカンパニーで2年連続の公演。何から何まで贅沢で、力の入った作品というのが客席にも伝わってくる圧倒的エンターテイメントが帰ってきました。

今年は関西(大阪)でも公演があるのですが、やはり帝劇で観たい!ということで東京さ行くだ遠征。キャストはこちら。

ちなみにキャストビジュアルは新しくなっています。より実際の舞台上の姿に近い?どことなくファンタジー感が増したような。

2024/6/22ソワレ

パワーアップ!!

初演と同じカンパニーということで、より如実に感じるのがカンパニーの熱量がパワーアップしていること。それぞれのキャラクターがよりイキイキとしているようにも思いますし、洗練されるところはより洗練されています。

セリフも一部記憶と違っていて、たぶんブラッシュアップされている。ニニがサンディアゴに(愛してると言われた返しで)「当たり前でしょ、バカ!」ってセリフだった気がするけど、再演では「当たり前でしょ、ブタっ!」でした。ブタ…!わお。でもニニっぽい。

初演のときの「初演感」、皆が後先考えずとにかくこの公演をやりきろう!みたいな空気感も独特で好きですし、少し名残惜しい気もしますが、再演(しかもキャスト変更なし)によるパワーアップした雰囲気も、再演でしか味わえないもの。キャスト全く変更なしで再演すること自体もそれほど多いことではないので、なおさらです。

そして客席のパワーアップも異常で、ミュージカル観劇というよりはまさに「ムーラン・ルージュ」のショーを観ているかのような盛り上がり。
客席を巻き込んだり、客席と一体で楽しむミュージカルも多数ありますが、ムーラン・ルージュはずば抜けて別格だと思います。

僕は静かに世界に浸る方が好きで、拍手や手拍子をするくらいがせいぜいですが、不思議とこの客席の盛り上がりにモヤモヤすることもなく、エンターテインメントショーとしての頂点を体感することができました。

燃えよキャスト!

昨年観たときは芳雄さんクリスチャンだったのですが、今回は甲斐翔真氏。大型犬のようなクリスチャン。

この役を射止めたのはホンマに運命だと思う。今の(比較的ミュージカル界で若い)甲斐翔真くんだからこそのエネルギーやスタンスがよく表れているように思いました。僕にはクリスチャンのように、愛や夢に身を焦がすほど熱くなった経験はないので、少し憧れるような気持ちすらもありました。
カイショーマ氏には、もはや僕にないはずの母性すら感じる。かつてあっきー(中川晃教さん)が「甲斐くんかわいいですよねぇ…かわいい…」と呟かれたのも頷ける。


昨年に引き続きあーや(平原綾香)のサティーン。望海さんのサティーンも観たいのですが、僕の中ではどうしてもあーやを観たい熱が勝ってしまって。

あーやは存在がファンタジーで、歌声はドラマチック。ムーラン・ルージュカンパニーは中々に大勢なのですが、その中でもまさにダイヤモンドのように常に輝き、目を惹き続ける。
この作品はサティーンが中心になっているわけですが、フィナーレで彼女が姿を消してなお、舞台には彼女の真実が、美しさが、自由が、そして愛がある。あーやの舞台、もっと観たいですねぇ。


デュークは伊礼閣下からK閣下に。伊礼閣下はまさにダークな、裏世界の住人感があったのですが、K閣下はどこかさっぱりしていて、どこかねちっこい。飄々とした雰囲気がより強く感じられて、いい意味で小物感もある。そして伊礼閣下ももちろん整ったお顔立ちですが、Kさんマジでルックスも声も色気が堪らんですね。堪らん。んん、けしからん!!(褒めてますよ)
ヒール役ですが、カテコではみんなと仲良くノッてるのがとても微笑ましい。


あとは昨年も同じこと書きましたが、やっぱりこの作品のストーリーは、ニニの存在がとても良いスパイスとして効いている。さとしさんのハロルドも昨年に続き、自由でコメディアンで、親心も感じる。ハードなカムフロムアウェイからハードなムーラン・ルージュに、大変だぁ。

あとベイビードールちゃん(シュート・チェンさん)がかわゆいです。サティーンを慕う末っ子感があります。そしてカンパニー全体的にダンスの勢いと、どこか酔い狂った感じが増したような気がします。

愛があいになる

愛ってなんでしょうね。

ムーラン・ルージュというミュージカルは、ストーリーももちろん練られていますが、ダンスに音楽、派手な舞台装置と、エンタメの髄を極めた作品でもあり、カーテンコールの派手さもあって、基本楽しい!エキサイティング!と熱狂のうちに終わる。

ただ、ストーリーに注目すると、テーマとして「真実、美しさ、自由、愛」と語られるように、人類が太古の昔から考え続けてきた普遍の命題を取り扱っています。

とりわけ愛とは複雑怪奇なラビリンスで、思いやりであり、真心であり、憎しみであり、絶望でもある。
舞台で繰り広げられる音とダンスの洪水は、人々が愛を求め、探し、もがき、渇き、潤すその様を表しているようで、あっという間の2時間半を通してじんわりと観た人の頭に響いてくる。

今回、昨年に続いて2回目の観劇ということもあって、ストーリーや筋書きを理解したうえで観ると、愛を知った気になって感想を述べることが憚られるように感じ、「愛の理解」から遠のいたような気がします。
でも理解から遠のくことはマイナスではなく、そもそも愛とは、頭で理解しようと、考えようとするものではない、ということを悟ったような感覚に近い。

観劇後の自分の感覚として、面白い感覚を知ることができました。愛を知った気になることが、一番愛から遠いのかも。

総括

個人的なことで言うと、この日はマチネで劇団四季「ゴースト&レディ」を観てからのソワレ公演でした。それも影響してか、このムーラン・ルージュという世界が、「クリスチャンの描くサティーンの物語」という風に感じました。

この感想をしたためている時点では、大阪公演のチケットは持っていないのですが、梅田に顕現するムーラン・ルージュも、ぜひ観たいなぁ…。

そして帝劇。なんと前回(昨年)のレポで、改修前最後の観劇かもと書いていましたが、んなこたぁなかった。過去の僕よ、ミュージカルオタクを見縊るんじゃない。
いよいよ改修目前、フィナーレを飾るレミゼのチケットを入手できればもう一度訪れることができそうですか、果たして…チケット当たってください。

チケット運ばかりは天の定めなので、帝劇の名物・豚まんもいただきました(写真撮り忘れ)。もう一回来れますようにと願いを込めて。

余談でしたが、とにかくムーラン・ルージュ。ミュージカルはちょっと…と遠慮しているそこのあなたも、年がら年中ミュージカルに虜なそちらのあなたも、一度はぜひご覧遊ばせ。

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