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【観劇レポ】エンダァァァァー…ミュージカル「ボディガード」

2022年、2作品目の観劇レポ。ミュージカル「ボディガード」大阪公演です。主演のレイチェルはトリプルキャストですが、今回は新妻聖子さん。

映画「ボディガード」のミュージカル版ということですが、僕は何と原作を見たことはございません。ということで、新作ミュージカルを観る感覚で楽しみにしていました。

*以下ネタバレありです(公演自体は2月19日の東京公演まであります)

歌姫・新妻聖子 爆誕

爆誕…というか元々ですけども・・・ミュージカル界の歌姫と名高い新妻さん、生で拝見するのは初めてだったんですが、うまい人の歌って、歌詞とか曲調とかじゃなくて、体が感動しますね。音に支配される、この感覚が好きなんです。

声量、音域、すべてが桁外れ。TVのカラオケ番組などにも出演されていて、歌がうまいのは周知の事実ですが、うまい人の生歌はやっぱりやんごとないです。今の時代に生きている人は、一度でいいから生で新妻聖子の歌を聴くべきです。

レイチェルは歌手なので、劇中でもステージでの歌唱シーンがありますが、その姿はまさにトップアーティスト。ミュージカルというより、ライヴを見に来たかのような感覚さえ味わえます。観客も一体となってノレるのがいいですね。最後の曲、世間でも有名な「I WILL ALWAYS LOVE YOU」は特に圧巻でした。有名な「エンダァァァァ・・・!!」の強さとのびやかさと言ったら…。
ミュージカルでありながら、レイチェル・マロンのライヴでもあり、ホイットニーのライヴでもあり、新妻聖子のライヴでもある

新妻さんに「ダンス」のイメージはありませんが、めちゃくちゃキレッキレのダンスでした。せ、聖子ちゃん、あなたそんなに踊れたのかい…?今後の出演作品の幅が広がりそうですね。

ミュージカル用の曲は、僕たちが日常的によく聞くようなポピュラーソングとは少し違う印象がありますし、世間のイメージもそうだと思います。今作の楽曲は、映画と同じくホイットニー・ヒューストンの楽曲。もちろんミュージカル用にアレンジはされていますが、元々ミュージカル向けに作られた曲ではありません。

そんな楽曲をストーリーや登場人物の心情に合わせて構成していく。素晴らしい映画の世界観を、ミュージカルの世界に生き写したようなステージでした。

演技と歌

この作品の面白いところの1つは、演技と歌唱が割とはっきり分かれているところです。
歌うメンバーはもちろん演技(ストレートプレイ)もしますが、歌わないキャストもいます。男性陣はフィナーレを除けばほとんど演技メインです。

ミュージカルと言えば「いきなり歌い出す」というイメージを持たれている方も多く、それが苦手という方もいるように思います。

ミュージカルファンの僕からすれば、そのイメージは「違う!!!」と声を大にして言いたいところですが、この作品は歌う人が決まっていて、演技の部分もしっかりあるという点で、ミュージカル初心者の方にもとっつきやすい作品だと思います。ストーリーもわかりやすいですし、そもそも原作が大ヒット映画ですしね。

ちなみに「いきなり歌い出すのが苦手~」という人をここで諭すと、歌と演技を全くの別物に切り分けて考えているところがまずご認識違いです。いきなり歌い出すのではなく、伝えたい感情、想い、考え・・・そうしたものにメロディがついているだけです。ミュージカルにおける歌は演技でもあります。超乱暴に言えば、あなたがスーパーの帰り道に鼻歌歌いながら自転車こぐのと同じです。・・・ちょっと違うか。

アメリカン・ジョーク

突然ですが、さらっとアメリカンジョークを言えるような人間になりたいと思う今日この頃です。

アメリカに限らず、多少笑い話が織り交ぜられた方が会話って面白いもの。日常で常日頃からジョークを準備してしゃべるのはちょっと違う気もしますが、さらっと、自然に、会話にまぜられるとカッコいいですよね。いなせだね。

劇中だと、その話題には触れてほしくないなあ…ということを伝えるジョークとして「話題を変えるなら今の内だけど?」というのがあります。「そんな話やめろ!」じゃなくて、やんわり、かつ明確に伝える感じカッコいいなあと。

このセリフを発する、レイチェルのボディガードであるフランク。ところどころでアメリカンジョークを織り交ぜられていて、不意にキュン…としちゃった20代男性は僕です。レイチェルの姉・ニッキーが同じセリフをフランクに言い返すところも良きでした。すなわち男女問わず、ウィットに富んだ会話ができる人は魅力的。

フィナーレ

過去の観劇レポでも書いてますが、カーテンコールでお米3杯は食べられる人なので、カーテンコールやそれに続くフィナーレには大変弱いです。

本編ラストの後にカーテンコールをして、更にそのあとフィナーレとして「I WANNA DANCE WITH SOMEBODY」が全員でパフォーマンスされました。劇中歌唱シーンのないメンバーにもソロパートが割当たっていて、明るく終わるタイプの舞台はやっぱり元気をもらえるなあと実感したところ。観てきた作品だと、「キンキーブーツ」「ローマの休日」あたりも同系統ですね。
しんみり終わったり、考えさせられるような終わりの舞台も、もちろん好きですが。

あと子役には弱い。レイチェルの息子・フレッチャーは子役なんですが、子役が一生懸命踊ったり歌ったりするのは、20代後半のおじさん、涙が止まりません。「ビリー・エリオット」とか、終始泣いてましたしね。人の親になったことも、なる予定もないのに、この感情は何でしょうね。グーグル先生に聞いても教えてくれませんでした。

この日は新妻レイチェルが初演日だったということで、カーテンコール後に挨拶の時間がありました。

前回公演は2020年、たったの5回きりで他公演が全中止になったこと。そこから2年を経て、パワーアップして戻ってこれたこと。外出しづらい状況の中でルールを守って観劇に来てくれた人への感謝など、新妻さんからお話しされました。カーテンコールで泣いてるのに、もっと泣くやん。
最後全然舌が回ってないところも、キャストの内場さんの持ちギャグを控え目に披露したところも、最後まで何回も元気に手を振ってくれたところも、新妻聖子さん、好きです。

今回こそ完走してほしい

さて、世間の状況は一層過酷ですが、第1回目の緊急事態宣言下で中止となった前回公演。

今回はほとんどのキャストが当時のキャストからの続投ですが、公演パンフレットを見ていても、前回の不完全燃焼、無念さをばねに舞台を創ってこられたことがヒシヒシと伝わりました。そしてその思いは、ステージに、歌に、セリフに、ダンスに表れていたと思います。

他作品では公演中止も相次いでいる現在。ぜひ2月19日の東京千穐楽まで、完走してほしいなと思います。

公演後の新妻さんの言葉通り、どうかみんなが健康で穏やかに過ごせますように。

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