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仕事に「やりがい」って必要?

5年も同じ会社で同じ仕事をしていると、いわゆる「やりがい」を感じられなくなっていく。部署移動をしたり新規性の高い業種でなければ、経験が蓄積されていくたびに、チャレンジがルーチンに変わっていく。最初は目を輝かせて取り掛かった業務も、今は限られた時間の中でポイントを抑えて消化していく。

すると、仕事の捉え方が変わってくる。自身の成長のためのチャレンジだった仕事を、お金を稼ぐ「生きるための」手段として捉えるようになってくる。それは、守るべき存在であったり、副業でチャレンジをするから本業は安定した収入を求めることが理由だったりする。これは個人の価値観によって変わるが、少なくとも私も含め同僚周りでは、価値観が移ろっているように見受けられる。

そんな価値観において、転職も視野にある中で、今日も変わらない業務をしながら、ふと思うのだ。

「やりがいのない仕事に、人生の大半を割いていいのかな?」

働き方によって変わるだろうが、平日の日中は基本的にみんなが仕事をしている。20歳から60歳という、身体機能と経験値上ピークに当たる年齢帯の時間の半分以上を、仕事に割いているのだ。冷静に考えてみると、「お金のため」と割り切るには、かなり無理がある割合だと私は思う。

そこで、アラサーで中堅に迫ってきた会社員として、今一度仕事の「やりがい」について考えていこうと思う。

そもそも「やりがい」とは?


日々当たり前に使っている言葉であり、本記事でも多用している「やりがい」だが、それについて考えるにしては定義が曖昧であるように思う。深く考えず使用していた節があるので、まずは言葉の意味を考えていく。

事に当たる際の充足感や手応え、張り合い。
※実用日本語表現辞典

…実用日本語表現辞典、言語化うま。納得感しかない回答である。つまり”仕事のやりがいがあること”は、”業務に対して充足感や手応え、張り合いを感じられること”といえるだろう。

そう考えると、同じ業種で年次を積んで「やりがい」が減っていくことは、成長に伴って張り合いがなくなってきたことが一因として挙げられそうだ。ポケモンにて、旅の一周目は面白いけど、二週目はそれほど面白くない(でもやっちゃう)のと同じ原理であろう。

上記よりシンプルに考えれば、やりがいがなくなってきたら転職すれば良いように思われる。多様な経験を積むことが成長に繋がるなんて、誰でも考えれば分かることなのだ。常に新鮮な気持ちで仕事に取り組むことができれば、手応えや張り合いを感じやすいと思われる。

では何故、みんなそのようにせず、”やりがいを感じられない”仕事を続けているのか。その一因は、日本の評価制度に存在するのではと考えている。

日本で会社員として働くなら。


前提として私は、他国の企業の評価制度について詳しくない。外資系に勤めてはいるが、あくまで”日本支社”だ。評価者も日本人だし、昇格の推薦をするのも日本人。なので他国については言及せず、日本企業の話として展開する。

「日本で会社員として勤め、きちんと稼いで家族を支える」モデルケースを考えてみると、恐らく以下のような推移で年収を上げることになるだろう。

20代:400 - 600万円
30代:600 - 800万円
40代:800 - 1000万円
50代:1000 - 1200万円

上記は日本人の平均より少し高い水準ではあるが、決して非現実的な金額ではないと思う。事実、ほとんどの企業で、20-30代よりも40-50代の方が高い給料をもらっているはずである。
つまり、日本の会社に勤める以上、生涯賃金を上げるために40-50代で理想の年収を貰えるよう立ち回るのが効率的といえる。

では、40-50代で高年収を狙うにはどうすればよいか。40-50代は、多くの場合プレイヤーではなくマネージャーである。後進の育成やリソースマネージを担当し、50代で経営の一端に関わることが出来れば御の字、というのが大枠だろう。これは自論だが、業務量や生産性に対して高い金額を支払うというよりは、会社の中枢に移行することで責任が大きくなることへの代償として、高い給料が支払われているのだと考える。

つまり、”40-50代でマネージャーを任される”、"中枢に昇格させられる"、人材・キャリアを考えれば、自ずと答えは見えてくるように思える。

日本企業は、どんなキャリアに高い給料を支払うか。


掲題について結論を言うと、以下2点のどちらか/双方に該当する人物・キャリアに対して、マネージャーなどの上級職に置いて、高い給料を支払うと考える。

・その会社に長く貢献した実績
・”マネージャーとして”優秀


・その会社に長く貢献した実績

会社にとって、新卒や中途の若手社員を育成して、ようやく育った段階で出ていかれることは大きなダメージとなる。若手を雇う以上、少しでも長く残って欲しいと考えるのは当然である。
では、どんな会社なら、若手社員が残って仕事に励んでくれるだろう。

環境や待遇などはもちろん、”その会社で長く勤めることにメリットがある”ことが重要となる。例えば、マネージャー陣がみんな中途だったら、その会社で10年勤めても昇格の目はないと思ってしまうだろう。逆に、上層部の半数が15-20年勤めた人たちなら、将来大きく稼ぐためにこの会社で頑張ろうと思う社員も増えるだろう。

上記よりほとんどの会社では、マネージャー以上の役職には一定数、”その会社に長く貢献した人物”のポストを意識的に用意している。これが極端になったものが年功序列である。それを肯定するわけではないが、事実として「継続」を評価する土壌が作られているのだ。

・”マネージャーとして”優秀

「優秀な野球選手が、必ずしも優秀な監督になるとは限らない」という言葉があるように、スタープレイヤーが引退して監督になっても、成績を残せずバッシングを浴びながら辞めさせられる……なんてよくある話だ。逆も然りで、現役時代に無名だった選手が名監督になった例も多い。

ここまで極端ではないが、企業においても同様である。バリバリ働いていたエース社員が昇進したが、部下にも同じクオリティを求めてしまい、ほとんどが辞めてしまった……なんてことは、どの会社でも存在する。あくまで、”マネージャーとして”優秀であることが重要なのである。

マネージャー以上の職には、社会人として基本的な能力はもちろんのこと、先見性や育成力、本質を見抜く力が要される。プレイヤーとして優秀で昇格しても長続きしなければ稼げないし、プレイヤーとしてそこそこでもマネージャーとして評価されれば更なる昇格も目指せるため、これらの要素を備えていることが、長期的には有用となる。

ただ、先見性や育成力や本質を見抜く力、いわゆる人間力は、1時間程度の面接からは評価が難しい。前述した通り、他社でマネージャー職を経験していても、有能プレイヤーだっただけで名マネージャーだったかは完全には把握することができない。それに比べて、自社のプレイヤーを昇格させる場合、年単位で人間力を確認することができる。長期間にわたって取り繕うのは難しいので、結果的に失敗(=無能に多額の給料を支払う)のリスクが少ないのである。

上記2点より、「若手を長期間育成して上位職に昇格させる」ことが、会社にとって合理的であることが多いのである。

”やりがい”を取るか、”安定した高収入”を取るか。


長々と回り道をしてしまったが、結局のところ「同じ会社・業種・業界内でキャリアを積み上げて、上位職を狙う」のが生涯賃金を上げるテンプレと考えられる。つまり、高い給料を稼いで家族に満足な生活を送らせようと考えると、未経験の職種を転々とするのは、このテンプレに反するのである。

先ほど述べたように、仕事にやりがいを見出し継続するには、よっぽどな天職でもない限り、多様な経験を求め動くことが妥当であり、慣れた業務の繰り返しに対してモチベーションを維持するのは難しい。
「仕事やりがいないから辞めたい」と言っている人たちがその仕事を辞めないのは、無意識下かもしれないが、このテンプレを知ってのことである。

「労働力を提供して、対価としてお金を受け取る」というシンプルなシステムに色々を求めるのがそもそもおかしいのかもしれないが、人生でも大半を占めるからこそ、”やりがい”を取るか”安定した高収入”を取るかの精査は必要である。

”やりがい”と”安定した高収入”、どちらも取る方法


ただ、それでも抜け道として、”やりがい”と”安定した高収入”のどちらも取る方法は存在するので、以下3つを紹介したい。
補足しておくと、独立して成功すれば”やりがい”と”お金”を得ることはできそうであるが、期待値が高い方法ではないので割愛する。あくまで、会社という看板に守られながら、人生を豊かにする方法として提示したい。

①同一職種での転職をする

一番オーソドックスであろう。
業務が似偏るので新規性は薄いが、環境を変えることで心機一転できるし、会社ごとの違いに刺激を受けることもできる。職種を変えると「キャリアチェンジ=未経験中途」と捉えられてしまい給料が下がることが多いが、同一の職種であればキャリアを積み上げることができる。
上位職への昇格ルートも確保したまま、”やりがい”を維持することができるので、堅実な方法といえる。

②会社内で他職種に挑戦する

他職種に挑戦する場合、同一の会社内で手を挙げるのが無難である。
会社や職種にもよるが、職種を変えても前職の評価が反映された状態で移動できるため、きちんと評価されていればそれをある程度引き継いだ状態で異動することができる。
何より、会社に貢献し続けたという事実が大きく、前述したポストに入る権利を保持し続けることができるというメリットがある。

③副業や趣味で”やりたいこと”を突き詰める

本業にはやりがいを求めない、という考え方もある。
今のご時世、プライベートの時間を使って副業に精を出すという方法はメジャーになりつつある。結局のところ、自分のやりたいことを突き詰めることが最もやりがいを感じられるので、本業を「お金を稼ぐ手段」と割り切って、副業や趣味での成功を目指してもよいであろう。

その他、子供がいればその存在がやりがいになるかもしれないし、安定した収入がない方が人生を楽しめる人もいると思う。大切なことは、自分の価値観に合わせた選択を考え、実行することである。

仕事に「やりがい」って必要?


最後に。
仕事がつまらなくなってきた方は、そもそも仕事に「やりがい」が必要かどうか、そこから考える機会を設けてもいいと思う。自分の人生をどう生きたいのか、将来どうなりたいのかから逆算して、仕事を「目的」と「手段」のどちらに重点を置くかを決めれば、自ずと歩む道が見えてくるであろう。

かくいう私も転職活動中で、同一職種でのキャリアアップを狙っている。今の会社での仕事を楽しみつつ、給料upを狙えればと思う。転職に関する記事も書くので、機会があればぜひ見て欲しい。


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