見出し画像

職人や生産者にとっての、卸問屋のメリット・デメリットについて

卸とは、「職人・生産者」と「小売り」を繋ぐ役目を担っています。

具体的な商品の流れは、卸業者は生産者・メーカーなどから仕入れた商品を、小売店に販売します。そして、小売店は消費者に販売します。

また小売業の各店舗に商品を安定供給するために、卸問屋が一定の在庫を抱えています。それにより、小売業者が必要な量の商品をすぐに提供できるという物流の役目があります。

つまり、「卸」とは商流と物流の両方があると言えます。職人・メーカー・生産者目線での、メリット・デメリットについて書いていきます。


メリット① 販売面

まず定期的に、一定の量を買い取ってもらえることにあります。それにより、安定的に収益を上げることができ、経営的にも安定します。

そして卸問屋は生産者・メーカーから一度にまとまった数の商品を安く仕入れ、小売店に営業し少量で卸すことで利益を得ます。そして生産者側は、新規開拓の営業もすることなく、少ない手間で商品は色々な小売店に置いてもらうことができます。

また卸業から、こういう商品が欲しいという企画提案もしてくれることあり、その商品を作ることで新商品開発もでき、企画も担ってくれます。

つまり、卸問屋は生産者の「販売」業務の手間とリスクを請け負っていると言えます。


メリット② 物流面

さらに、販売までの物流も卸業が担ってくれます。卸業が在庫を抱えてくれることにより、少量多品種という現在のニーズに答えることができるようになります。

注文を受けてから生産するのでは、商機を逃すことも少なくありません。在庫があることで小売店が欲しい時に、すぐに必要な量を発送できます。

生産者・メーカーが直接ユーザーを商品を運ぶのは手間もコストもかかります。つまり同様に、卸問屋は生産者の「物流」業務の手間とリスクを請け負っている形になります。


メリット③ 製造面

さらに、卸業が販売・物流を担ってくれることで、生産者は作ることに専念でき、より質の高い成果物を作れるようになります。より効率的にもできるので、多く作ることでコスト的にも抑えることができるようなります。

所謂、「作る」と「売る」を分業することでのメリットが得られるようになると言えます。


デメリット① 中間マージンが取られる

卸業や商社を通すことで、中間マージンというものが発生します。それにより上記のメリットが得られますが、その中間マージンの割合というものが生産者にとって負担になる場合もあります。

卸を入れた場合は、承認さんの利益を加えた仕入れ値に対して、卸への中間マージン、小売店への中間マージンなどこの中間マージンが2つ以上発生します。それを踏まえた価格がエンドユーザーである消費者に販売されます。

多く作っても利益が薄ければ、薄利多売の商売になってしまいます。また、卸したとしても結果売れなければ、次回からの安定的な買取も見込めません。


デメリット② 消費者との距離ができる 

職人さんやメーカーの悩み、課題なのですが消費者の顔が見えないということが良く言われています。なぜこれが起きるかという、前述通り、ユーザーと直接やり取りをする機会である「販売業務」を卸業に任せてしまっているからです。

どういう商品が売れるのか、どんな人が買っているのかなど、ものづくりにとって一番大切な視点が欠けてしまうこともあります。

企画も卸業に任せてしまっている場合、次に何を作れば良いかも自分たちで判断が難しくなってしまう場合もあります。


デメリット③ 問屋に依存してしまう

職人さんや生産者の卸先が問屋さんだけだと、結果パワーバランス的にも弱くなってしまいます。つまり問屋一社だけに卸している場合、立場にも交渉もできず、依存してしまいます。

基本的に問屋の方が強い立場にあることもあり、同じ商品を直販をしたり、他の問屋に卸すことはあまりありません。その問屋が不況になったり、潰れてしまった場合は、運命共同体で、連帯で自分もピンチになります。


最後に

いかがでしたでしょうか?

オリジナルブランドを自社で運営しつつ、定番品や既存品などは問屋に商品を卸しているというのも行うという企業も多くあります。

認知度を上げ消費者視点を得る「自社ブランド」と、安定的に利益を上げ経営を支える「小売販売」の両方が、今後の生産者にとって欠かせない時代なのかもしれません。

こちらでサポートして頂いたものは、日本の伝統工芸・モノづくりのために使わせて頂きます。