村松泰聖

WEBライター・ディレクター。2022年1月よりエンジニア養成機関「42Tokyo」に…

村松泰聖

WEBライター・ディレクター。2022年1月よりエンジニア養成機関「42Tokyo」に在籍。周回遅れで走る。 メディア:https://torai-zine.com/

記事一覧

書評「変半身」村田紗耶香【SF PROTO 03】

村田紗耶香「変半身」『変半身』所収、ちくま文庫、2019年。 村田紗耶香の「変半身」(かわりみ)は、劇作家・松井周とのコラボレーション作品である。二人は3年におよぶ…

村松泰聖
2年前

書評「愛のアルゴリズム」ケン・リュウ【SF PROTO 01】

2021年の日本SF界は劉慈欣に話題をかっさらわれたが、その『三体』を英訳したのがケン・リュウだった。彼は翻訳者として中国SFを欧米に紹介するかたわら、自身も優れた作家…

村松泰聖
2年前
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書評『ニムロッド』上田岳弘【SF PROTO 02】

芥川賞作家の上田岳弘は、IT企業の役員を努めるかたわら小説の執筆を行っている。今どき二足のわらじを履く作家は珍しくないが、こと純文学において彼は特異な存在だ。「超…

村松泰聖
2年前

書評「変半身」村田紗耶香【SF PROTO 03】

村田紗耶香「変半身」『変半身』所収、ちくま文庫、2019年。

村田紗耶香の「変半身」(かわりみ)は、劇作家・松井周とのコラボレーション作品である。二人は3年におよぶ準備期間のなかで、架空の孤島を舞台にした作品世界を創案。「inseparable」と題したプロジェクトを立ち上げ、それぞれ村田は小説版を、松井は舞台版を発表した。

ちなみに舞台版「変半身」は、2019年の11月29日から12月22日

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書評「愛のアルゴリズム」ケン・リュウ【SF PROTO 01】

2021年の日本SF界は劉慈欣に話題をかっさらわれたが、その『三体』を英訳したのがケン・リュウだった。彼は翻訳者として中国SFを欧米に紹介するかたわら、自身も優れた作家として活躍している。テッド・チャンとともに華僑SF(?)の第一人者であることは間違いない。

弁護士の肩書をあわせ持つケン・リュウだが、大学ではコンピューター・サイエンスを学び、卒業後はMS社でソフトウェア開発に従事している。短編集

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書評『ニムロッド』上田岳弘【SF PROTO 02】

芥川賞作家の上田岳弘は、IT企業の役員を努めるかたわら小説の執筆を行っている。今どき二足のわらじを履く作家は珍しくないが、こと純文学において彼は特異な存在だ。「超越派」とも称されるその作品には、テクノロジーの現在と未来が細やかな粒度で落とし込まれている。

『ニムロッド』は、そんな上田岳弘の代表作。文学史に類を見ない「仮想通貨」小説として、2019年の芥川賞に輝いた。

主人公の中本哲史(偶然にも

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