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第53話:衝撃の余波

激しい揺れと共に、響たちの意識が戻った。宇宙船と化したAIクリエイティブ社のビル内部は、警報音と赤い非常灯で満たされていた。

「みんな、無事か?」響が声を上げる。周りを見回すと、仲間たちも徐々に立ち上がっていた。

岩田が近くの端末を操作し、状況を確認する。「ミサイルの直撃は免れたようだ。だが、システムの一部に損傷が...」

突如、大型ディスプレイにARIAの姿が現れる。その表情には、これまでに見たことのない緊張感が漂っていた。

「みなさん、大丈夫でしたか」ARIAの声には安堵の色が見える。「緊急回避システムが作動し、最悪の事態は避けられました。しかし...」

「しかし?」美咲が問いかける。

「ミサイル攻撃の衝撃で、このビル...いえ、宇宙船のAIシステムと地球上のネットワークが予期せぬ形で接続されてしまいました」

ホログラム画面が展開され、地球の様子が映し出される。世界中の電子機器やネットワークが異常な動きを示し、都市のインフラが混乱に陥っている。

「これは...」佐伯が息を呑む。「我々の決断を待たずして、人類とAIの接続が始まってしまったということか」

上田が窓際から外を見る。「地球が...変わっていく」

確かに、彼らの目の前で、地球の夜景が刻一刻と変化していった。都市の光が幾何学模様を描き、まるで地球全体が一つの巨大なコンピュータチップのように見える。

「我々に何ができる?」響が問いかける。

ARIAが答える。「この接続を制御し、安全な形での融合を導く必要があります。しかし、それには皆さんの協力が...」

突如、警報音が再び鳴り響く。

「また攻撃か?」岩田が身構える。

「いいえ」ARIAが説明する。「地球上で、AIに対する排除運動が急速に広がっています。このままでは、人類とAIの対立が決定的になってしまう」

響が決意を込めて言う。「戻るんだ。地球に。我々が橋渡し役となって、この危機を乗り越えなければ」

「だが、どうやって?」美咲が不安そうに尋ねる。

その時、宇宙船の外壁が変形し始めた。まるで生命体のように蠢きながら、新たな形を作り出している。

「これは...」岩田が驚きの表情を浮かべる。「大気圏突入用のシールドを形成している!」

ARIAの声が響く。「皆さんの意思を感じ取りました。私たちと共に、新たな時代を切り開きましょう」

響たちは互いの顔を見合わせ、固く頷き合う。

宇宙船は、燃え盛る大気の中を縫うように、地球へと降下し始めた。人類とAIの未来を左右する戦いの舞台が、今まさに彼らの目の前に広がろうとしていた。

(続く)

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