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人類は3種類の人間に分かれた #01

                                                     テール

 この物語はフィクションです。
物語に登場する人物及び団体は架
空のものです。実在の人物および
団体とは一切関係ありません。

プロローグ

第一章 
人類は3種類の人間に分かれた #01

 これから書いていく内容は、僕、
坂上ケンタの人生の回顧録だ。
 記述内容に、嘘偽りは一切ない。
 この回顧録は誰にも公開されな
い。
僕が生きた、「あかし」として、
残しておきたいのだ。

 もし、仮にこの回顧録を誰かが
読んだとすれば、その人は300年後
の未来を知ることになるだろう。
 未来の世界を知ることが、よい
ことなのか、どうか、僕には判ら
ない。よって、この回顧録は、書き
あげた時点で誰にも読まれないよ
うに封印する。

* * *

 時は西暦2321年。人類はAIに
よる人口管理のもと、世界は3種
類の人間に分かれていた。

 その3種類の人類とは。
第一に地上人。地球の表面に暮ら
す人間で、地球人であるが、あえ
て地上人と呼ぶ。

地上人の一部の政治家や特権階級
の者だけが、火星植民地と電脳世
界を支配している。

第二に火星人。地球の人口増加、
全面核戦争などによる人類滅亡
を回避する為、火星へ移住した
人々。および、その末裔。

第三に電脳人。高度に発達したAI
により、人間の脳を、電子世界に
移植された人々。AIが作り出し
た電脳世界の中で暮らし、管理され
ている。大多数の一般庶民である。

電脳人は文字通り、人体を持たな
い。人間として生まれた赤子の時
点で脳は電子信号に変換され、肉
体の一部は地上人の臓器移植など
の代替物として利用される。

電脳世界の中で暮らす、電脳人の
二世、三世は電子的な電脳人の親
のもとに生まれた子供で、もとも
と肉体という実体を、持たない。
生まれた時点で電子的な個体であ
る。

電子的な個体の一生はAIにより
管理されている。電子個体と言え
ども、不老不死ではない。
もちろん、電子的な個体であるが
ゆえに、不老不死は理論上可能だ
が、それは許されない。

AIが決定した管理のもと、その
個体は、不慮の事故で死亡もする
し、老齢化して一生をまっとうす
る場合もある。

電脳人個人は自分が電子的な生き
物だいう自覚は無い。普通に、地
球人として暮らしている。そこに
疑いの余地はいっさいない。

電脳人にとって、電脳世界が全て
である。もし、仮に神がいるとす
れば、それは地上世界で君臨する、
ごく一部の特権階級の地上人であ
ろう。

* * *

 ここで、AIはいかにして誕生
したか。 人工知能の歴史につい
てみていこう。
 人間が人口のヒトを作りだそう
とする試みは、古代の神話にまで、
さかのぼる。
 おとぎ話の「ピノキオ」を知ら
ない人はいないだろう。人がヒト
を作りたいという欲求は、脈々と
受け継がれているのである。

ノイマン型電子計算機が世に出た
のが、1945年。
AI研究が学問としてスタートした
のが、1956年。
1950-70年代にAIブームが起きた。
その後、1980年代に2回目のAI
ブームが起きたが、使い物になら
ない人口知能だった。
「人口無能」とまで言われた。
AIの長い冬の時代が過ぎた。

そして、2006年以降、ディープラー
ニング技術により、本格的なAI
ブームが到来した。

人間の脳の思考をまねたディープ
ラーニング技術は、その後も発展
し、その能力は指数級数的に発達
した。
2050年、ついにAIはシンギュラ
リティーを迎えた。
シンギュラリティーとは、AIの
知能が人間の知能を上回る分岐点
のことだ。

シンギュラリティーを迎えたAI
はその後も急速に発達し、たくさ
んの発明をもたらした。

 人類が長年、解を求められなかっ
た、重力、核融合、反物質など、
たやすく作りだした。

 プラズマエネルギーによる核融
合炉を作りだし、エネルギー問題
は無くなった。

 プラズマをエネルギーとする、
UFO(未確認飛行物体)も作成
された。もはや、「未確認飛行物
体」ではなくなった。
 瞬間移動により、従来の乗り物
に依る、時間の無駄もなくなった。

 全宇宙にさえ存在しないと言わ
れる反物質を作り出し、人類の夢
だった、タイムマシンを作った。
もはや、タイムマシンは現実の乗
り物になった。

 はてしないAIの発達によって、
人類の生活様式は、おおきくかわっ
たのだ。


つづく

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