ベテランの意地、ルーキーの意地(EULCS編)

WCS2018の感想。今回はEULCS編です。

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EULCSはNALCSとならんで評価される運命なのだろうか。
今大会ではEULCS地域の活躍が目覚ましかった。

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EUのesportsシーンにおいて、Fnaticを知らない人はいないだろう。

LOLを含め、10種類以上のタイトルでチームを、世界でもしっかりと結果を残しているチームは少ない。

LOLにおいても、初代WCS王者という称号を持っている。しかし、「WCS王者」の称号は持っていても彼らは「サモナーズカップ」を掲げたことはない。サモナーズカップが出てきたのがシーズン2からだからだ。

彼らはシーズン1以来、サモナーズカップを獲得するために4回WCSに挑んだ。しかし、彼らはサモナーズカップを掲げることはなかった。

史上最強とも言われたシーズン5ですらベスト4止まり…
多くのFnaticファンが悲しみや絶望に包まれただろう。

しかし、今年のFnaticは一味違った。シーズン5を超えるロースターとも呼ばれるメンバーを引き下げ再びWCSの舞台へ帰ってきた。

シーズン1からのベテランsOAZとLCLで活躍していたルーキーBwipoの2top体制を作り、2部チームからjgとしてBroxahを昇格させた。そしてmidには昨年のWCSから素晴らしいパフォーマンスを発揮し、Baby Fakerとも呼ばれるcaps、ボットレーンにはEU No.1 adcといっても過言ではないベテランRekkles、そしてRekklesの強い要望のもとUnicorns of Loveから引き抜いたsupportのHylissang

特にmidのCapsはMSI2018から急激に存在感を出してきた。ルーキーらしく危なっかしい点もまだまだあるが爆発力は世界でも通用するということを示してくれた。多くのファンから期待もされている。

このFnaticの歴史の中でも最強とも呼ばれるメンバーで果たしてどこまでに結果を残せるのか…

FnaticはグループDに振り分けられた。WCSが終わるまで、決勝で戦う2チームが同じグループにいるとは思わなかっただろう。
グループステージ1週目は2-1で終えた。グループDの中でも山場となるvs iG戦は負けてしまったが、互角に戦えるというところを示してくれた。続く2週目はiGに勝利。そしてタイブレークでも勝利し見事グループを1位で通過した。

続くノックアウトステージでは準々決勝のEDGを3-1で、準決勝のC9を3-0で倒し念願のWCS決勝へ駒を進めた。

決勝の相手はグループステージでも戦ったiG。多くのファンが「今年こそはEUにサモナーズカップを」と期待しただろう。
しかし現実は非情なものだ。0-3の敗北。iGの圧倒的な試合展開。Fnaticにゲームテンポを渡すことなく優勝をもぎ取った。

あと一歩のところで届かなかったサモナーズカップ。PCの前で打ちひしがれるCapsの肩を抱き励ましたのはRekklesだった。
一年前のWCSでRekklesは準々決勝で負け、PCの前から動くことができなかった。その光景を覚えていると、今回の決勝で負けた後のRekklesの行動はいろいろ考えさせられるところがある…

Fnaticの挑戦は終わったわけではない。あと一歩のところまで来た。頂に手をかけるところまで来ていた。ルーキーのCapsも今年の敗北で得たものがあるはずだ。来年またFnaticが王者の称号を手にするために「Rise」してくるのを楽しみに待つばかりだ。


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Fnaticというチームを見た後だと、どうしてもほかのチームの歴史が浅く感じてしまう。Team Vitalityは2016年からEULCSに参戦しているチームだ。正確には、Gambit Gamingの参加資格を購入する形でEULCSに参戦した。

過去のEULCSでの結果を見ると、決して下位のチームというわけではないが、トップチームに入るにはあと一歩足らないという印象だった。
しかし今シーズンは春に4位、夏に3位という結果を残し、championship pointでWCSに出場した。
といっても、夏の決勝の結果次第では出場できなかった可能性があったため、かなりギリギリでの出場となった。(NukeduckをWCSで見たかったという個人的願望があったが今回は春にも安定して結果を残したVitalityをほめるべきだろう。)

Team Vitality結成当初から支える安定的なtopレーナーCabochard。今年の夏にPLEのIlluminar Gamingから獲得し、瞬く間にスターターとなったjgのKikis。SLOのVodafone Giants.Spainから獲得したmidのJizuke、adcのAttila、そしてsupportのJactroll。top以外を全く新しいメンバーでそろえてWCSへ挑戦した。
※PLEはポーランド国内の大会でSLOはスペイン国内の大会である。ヨーロッパは他の地域と違い、いくつもの国にまたがった地域なので各国で小さな国内リーグや大会がたくさん存在する。

とはいえ、このTeam Vitalityが振り分けられたのはグループB。前評判としては地獄のグループといわれていた。だれもこのチームがこの後ジャイアントキリングを起こすことになるとは知る由もなかっただろう…

Team VitalityといえばmidのJizukeの超アグレッシブプレイが印象に残っている。ハイリスクハイリターンは動きは時にひやひやすることもあるが、そのアグレッシブなプレイがチームに勝利をもたらすこともある。
また、得意チャンピオンであってもメタから外れたチャンピオンをピックするのは勇気がいることだ。しかしVitalityはそれを平然とやってのける。
その結果、ジャイアントキリングを達成したのがこの試合だ。

はっきりと言ってしまえば期待されていなかったチーム。WCSの試合を見る上で、時間がなければ見るのを流してしまうであろう消化試合のように思った人もいるはずだ。
実際、私もそうだった。どうせGenGが勝つだろうと思っていた。
しかし彼らはやってのけたのだ。

もちろんGenGのチームとしての調子が良くなかった点や、Crownがシーズン中から不調だったということもある。
しかし、チームの半分以上が今年からLCSに参戦したルーキーのチームがこんな結果を残すと誰が思っただろうか。

失うものは何もない。最高のチャレンジャーが見せた最高の試合に世界が熱狂したことは間違いのない事実だ。

Team Vitalityは結果として3-3でグループステージ敗退となってしまった。
しかし、彼らの名はWCSの歴史に刻まれたことは間違いないだろう。

彼らは最高の舞台でジャイアントキリングという最高の快感を知った。
きっと彼らはさらなる快感を手に入れるため。グループステージ突破、しいてはWCS優勝を目指してさらなる成長をしてくれるだろう。


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EULCSにおいて最も強いチームはどこだと聞かれれば真っ先に名前が挙がるのはFnaticだろう。では、EUという地域はFnatic一強の地域なのか?

答えはNoだ。

今年のEULCSではFnaticの存在感が強かったが、Fnaticが最強というわけではない。彼らと双璧をなすであろうチームといえばG2 esportsである。

今年がEUにとってFnaticの年だとするのであれば、G2 esportsが最も輝いていたのは2017年のMSIだろう。
この年、彼らはMSIの決勝まで進んだ。惜しくもSKTに1-3というスコアで負けてしまったが。世界で結果を残せないというジンクスを破ってみせたといえよう。そのおかげか、WCS2017でのG2 esportsへの期待はとても高かった。

しかし勝負の世界は非情である。どれだけファンが期待しようとも、必ず結果がついてくるわけではない。
結果はグループステージ敗退。その後、G2 esportsはmidのPerkz以外の選手を放出し、2018年はどうなるのかと心配された。

2018年のG2 esportsのロースターは、topにsplyceから獲得したWunder。jgにファーストブラットキングの異名を持つJankos。midは2017年から変わらずにPerkz。botにはTeam ROCCATから獲得したHjarnanとWadid

メンバーだけ見れば決して弱くはない。
しかし、2017年ほどの期待を持てるかといわれると少し難しいのが実際のところだ。

しかし、そこはさすが名門である。メンバーが4人変わってもしっかりとチームとしての強さはあった。しかし、どうしてもひとつ前の年と比べてしまうと少し物足りない部分はあった。
春は惜しくも決勝でFnaticに負けてしまう。夏はシーズンを4位で終えるもプレイオフでMisfitsに敗北。続くRegional Finalで勝ち上がり何とかWCSへの切符を手に入れた。

EU三枠目ということもあり、プレイインステージからの出場。
しかしそこはさすがのG2 esports。SuperMussiveに負けてしまう試合はあったものの、無事に本選出場を決めた。

割り振られたのはグループA。AFsとFWがいるためグループ突破は難しいかと思ったが、タイブレークでFWに勝利し、見事ノックアウトステージ進出を決めた。

G2 esportsとしてはここからは未知の世界。そして準々決勝の相手はRNG。誰もがRNGが勝つと思っていただろう…

まさか第5戦までもつれ込むと誰が思っただろうか。そして5戦目でG2 esportsが勝利すると誰が思っただろうか。
G2 esportsが勝利した瞬間、会場は悲鳴と歓喜の渦に包まれてた。

続く準決勝ではiGに0-3で負けてしまったが、それは決して彼らがRNG戦で燃え尽きたわけではなくiGが強かったからだろう。

彼らはWCSベスト4まで足を進めた。残るは決勝の舞台のみだ。彼らはさらに強くなって来年またWCSの舞台に戻ってくることを期待しよう。

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露骨にFnaticの文章が長くなってしまった気がするがきっと気のせいだ。

EUの試合は本当に面白い。EUのチームは毎回「なにかやってくれる」という期待がある。いい意味でも悪い意味でも…

今年のVIT vs GenG、G2 vs RNG。去年のMSF vs SKT、FNC vs GAM。
シーズン4のA vs KaBuM…
後ろ二つは悪いほうだが…

EUはNAに様々な選手をとられていってしまうが、一方で新たな選手もどんどん出てくる。

来年からEUもフランチャイズ化される。それに伴って新規参入するチームや、解体されるチームがあるだろう。その中でどのような選手が出てくるのか。サモナーズカップを持ち帰ることのできるチームは現れるのか。

これからもEULCSから目が離せない。


また拙い文章になってしまったが、今回はこんなところで。

次回はLMSの予定。(変わる可能性あり)

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