京都大学 法科大学院に飛び級で3年次生出願枠と5年一貫型教育選抜(法曹コース)にW上位合格した体験談と合格のための戦略的勉強法
1. はじめに
この記事では、京都大学 法科大学院 (京大ロー)に飛び級で3年次生出願枠と5年一貫型教育選抜(法曹コース)にW上位合格した地平線さんの体験談と合格のための戦略的勉強について記事を書きます。
京都大学法科大学院に飛び級で上位合格するために必要な勉強量や教材から成績維持のための時間マネジメント術まで様々な合格のための戦略を立てるのに役立つ情報について記事を書きます。
また記事の最後では成績開示の結果も掲載しますので、得点計画の参考にしてもらえたらと思います。
特に、以下のような方々の役に立てればと思い書いております。
・法科大学院を受験したいと考えている
・法曹に興味がある
・飛び級制度については情報が少なくどう対策したらいいかわからない
・司法試験や予備試験の受験を考えている
・法科大学院合格に必要な素点のラインが知りたい
2. プロフィール
読者の方がこの記事を読んで役に立つかを判断してもらえるように、まず地平線さんの簡単なプロフィールについて紹介します。
地平線さんのプロフィール
実績
京都大学 法科大学院 法学部3年次生出願枠 2 位で合格 (合格者 30名)
京都大学 法科大学院 5年一貫型教育選抜 (法曹コース) 3 位で合格
詳細な点数開示結果については記事の後半で掲載します。
経歴
東京の中高一貫校 → 京都大学法学部です。
法科大学院や予備試験対策の予備校には通わずに勉強されてました。
京大に来た理由は、
・下宿をしたかったから
・東京大学を実際に見に行って魅力を感じなかったから
所属団体
・文科系のサークル (週 3 回 練習があるガチなサークルです)
・法学部の勉強団体
3. 法科大学院の入試制度と飛び級制度
ここでは法科大学院の入試制度と飛び級制度の概要について書きます。ご存じの方は読みとばして頂いて構いません。
法科大学院とその入試制度
法科大学院(ロースクール)とは、「法曹養成に特化した教育を行うプロフェッショナル・スクール」です。法科大学院課程の修了者には司法試験の受験資格(5年間)が与えられます。
法科大学院には以下の2つのコースがありそれぞれのコースごとに入試が行われます。
法学既修者コース(2年コース)
入学前に法律の学習をしている必要がある
「法律科目試験」で法律の知識が試される
大学の法学部を卒業していなくても、既修者として2年コースに入学することが可能
法学未修者コース(3年コース)
入学前に法律学習の有無は問われない
法科大学院入学後に法律を学習していく
大学の法学部を卒業していても、未修者として3年コースに入学することが可能
法科大学院の飛び級制度
飛び級制度とは、大学3年生が終了した後、大学4年生を経由せずに法科大学院へ入学するものです。京大では一般の枠 (法学既修者枠)とは別枠で入試が行われおり「法学部3年次生出願枠」と呼ばれています。
京大のように大学に早期卒業制度がある場合には大学を3年生で卒業したうえで法科大学院へ進学できますが、大学に早期卒業制度がない場合には、大学を3年生で退学したうえで法科大学院へ進学することになります。
また、内部のきわめて成績が優秀な者向けに、「5年一貫型教育選抜」があります。以下の法曹基礎プログラムを非常に優秀な成績で修める人のみが応募できます。
出願要件
ここでは飛び級入試への出願に必要な要件を簡単にまとめて説明していきます。出願には以下の要件をすべて満たす必要があります。
1. 大学の法学部の3年次に在学する者であって、学業成績優秀であると本研究科が認めたもの 。
2.「3年次前期」までに卒業に必要な単位数のうち90 単位以上を修得しており、かつ、そのうち40 単位以上を法律学の科目により修得し、その法律学の科目の単位のうち少なくとも20 単位については法律基本科目(憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法に関する分野の科目をいう。ただし、入門科目を除く。以下同じ。)によって修得していること。
3. 令和3 年度の学年末までに卒業に必要な単位数のうち100 単位以上を修得見込みであること。
成績については素点が重要となっているようです。
また、5年一貫型教育選抜は内部生のみが出願可能(法曹基礎プログラムを非常に優秀な成績で修めるもの)で、素点の基準がかなり厳しくなっていて、今年は応募者が全員合格だったみたいです。
要するに単位を多めに集めながら成績もかなり上位であればいいということです。この要件からも法科大学院飛び級合格のためには戦略的に勉強していく必要があることがわかります。
また、素点の基準が非常に厳しい5年一貫型教育選抜での合格を目指す場合はより一層戦略的に勉強して素点を稼ぐ必要があります。
試験科目と配点
京大法科大学院の飛び級入試で必要な科目は、憲法、民法、刑法、商法となっており、行政法、民事訴訟法、刑事訴訟法が一般の枠 (法学既修者枠)とは違って範囲外になっています。詳しくは募集要項をご覧ください。
なお、配点としては以下の通りです。
法学部3年次生出願枠
・筆記試験 (350点): 憲法・民法・刑法'(100点ずつ), 商法(50点)
・出願書類 (400 点満点)
の計 750 点満点となっています。
5年一貫型教育選抜
・出願書類 (400 点満点)
・口述試験の成績(50 点満点)
の計450 点満点となっています。
筆記が550 点である一般の枠 (法学既修者枠)に比べて出願書類の配点が占める割合が高いので、学部成績が高い方が有利(書類の点数は学部成績の平均点に大きく依存するといわれており、内部生は専門科目の素点平均×4)となっています。
したがって、そもそも成績優秀者しか出願しない飛び級枠(法学部3年次生出願枠)では、筆記や論述試験で高い点数を取ることはもちろん、好成績を修めておくことも必須であるといえます。
法学部3年次生出願枠の倍率と難易度
倍率自体は3倍程度で一般の枠 (法学既修者枠)とほとんど変わりませんが、競争相手が学部の成績優秀者であることをふまえると合格の難易度は非常に高いと言えます。
また、上で説明したように学部の成績をかなり高い水準に保つことはかなり困難であり、このことも法科大学院飛び級合格を非常に難しくしています。
5年一貫型教育選抜の難易度
今年が初めての制度で出願要件が厳しすぎたために、出願者は全員合格したみたいです。
なお、繰り返しになりますが5年一貫型教育選抜(法曹コース)での応募には、非常に優秀な成績を取り続ける必要があり、長期の努力を要しますので難易度は非常に高いと言えます。
3. 飛び級のメリット
飛び級のメリットは主に以下に挙げられるものがあります。
就職面
・優秀だという証明になるため法律事務所や裁判官・検察官への就活で有利になる
・一年早く法科大学院に入ることで実務に早く携わることができる
金銭面
・大学1年分の学費+生活費が節約できる。
・生涯年収が1年分増える
試験の対策面
・試験科目が少ない(特に、5年一貫型教育選抜)
・受験機会が多くなる
以上をふまえると飛び級入試は合格が狙えるならば是非とも検討すべきかなり魅力的な選択肢であるといえます。
4. 法曹界をめざしたきっかけと将来の進路の展望
ここでは地平線さんが法曹界を目指したきっかけや将来の進路の展望について書きます。
法曹界を目指したきっかけとしては、
・小学生のころ小説やドラマであこがれたのがきっかけ
・中学生の裁判傍聴でより興味が深まった
があります。
また、現在考えている進路の展望としては
・裁判官が第一志望
・弁護士も視野には入れている
弁護士事務所のインターンシップにも参加されています。
5. 法科大学院飛び級合格のための戦略 - 必要な勉強量・勉強内容から成績維持のためのマネジメント術まで
ここからは地平線さんが法科大学院飛び級合格のためにした勉強から、必要な勉強量・勉強内容から成績維持のためのマネジメント術までを含めた合格のための戦略を考えていきます。また、実際の時間割や使った教科書についても紹介していきます。
法科大学院飛び級合格のための戦略を考えるため以下のような順番で詳しくみていきます。
(a)大学3回生までの生活と好成績維持のためのマネジメント術
(b)役立った教科書や勉強法
(c)法科大学院入試のための勉強とスケジュール
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(a)大学3回生までの生活と好成績維持のためのマネジメント術
好成績維持のためのマネジメント
授業の前後には、授業の内容が"きちんと理解できる"まで授業の予習・復習をしっかりと行い、授業が最大限身になるようにしていました。
また、生活リズムは一定に保つこと (6時起き 23時30分 就寝)にすることで、学習ペースを保ちパフォーマンスを最大化しました。
特にサークルなどの予定がない日には、図書館の開館から閉館まで勉強することで勉強を習慣化していました。
また、アルバイトは試験前に休めるなどシフトの融通が利く職場を選んでいました。
履修戦略と時間割
履修の際には、履修可能な科目はなるべく早く取りきることを注意しました。特に入門科目と一般教養は1回生で取りきり、2回生以降は配当下限で取るようにしていました。
以下時間割です。
1回前期
1回後期
2回前期
2回後期
3回前期
3回後期
(b)役立った教科書や勉強法
役立った教科書や勉強法について書いていきます。
勉強の進め方
授業のノートやレジュメを大切にし、基本書は指定教科書を主に使いました。どうしても合わないものは個別に選んで使いました。
勉強の進め方としては、しっかりとした内容のある基本書をわからない部分があっても良いから通しで読み、他の内容を学んだあとなどに繰り返し読み返すことで理解を深めていくようにしました。
予備校にはいかないのはもちろん、予備校本などは使いませんでした。
また、演習問題を進める際には、論点のみをまとめて、実際の論述練習は過去問のみで行うことで時間を節約しました。
その理由としては、
・わからない部分は未修の部分とつながる部分が多くある
・他の部分とつながったときに理解して骨太の体系ができた方が良い
・最終的にはしっかりした本で読む必要があるため効率的
というものがあります。
基本書
ほとんどは京都大学法学部の指定教科書を購入して使いました。
下記二つはいずれも指定教科書がかなり簡潔にまとめられていて個人的に不足だったので詳しいものを買い直しました。
・刑法
指定教科書:中森喜彦『刑法各論 第4版』(有斐閣)
→大塚裕史ほか『基本刑法Ⅱ各論 第2版』(日本評論社)
・会社法
指定教科書:神田秀樹『会社法 第23版』(法律学講座双書)
→田中亘『会社法 第3版』(東京大学出版会)
演習教材
民法:民法演習サブノート、Law Practice民法I・Ⅱ
刑法:刑法事例演習教材(事例のクセがなかなか強くて面白い)
憲法:憲法ガールRemake Edition・Ⅱ(最初は読み物として読むのも楽しい。解答例がついているので答案作成の参考になる)
会社法:Law Practice商法
以上に加えて、過去問5年分を解き、4年分はワードでの実際の答案作成を行い、去年の問題は実際の試験形式で演習しました。
電子書籍化のすすめ
法学の勉強はどうしても本が多くなりがちで荷物が多くなるので、kindle 版を買うか、裁断機とスキャナーを使って電子書籍化をすることをお勧めします。
(c)法科大学院入試のための勉強とスケジュール
春休み
履修済みの入試科目のうち、2回前期以前に学んだものを復習しました。
具体的には以下の内容の復習を行いました. 復習には、過去のノート、レジュメ、基本書、演習教材、憲法判例のまとめを用いました。
・民法総則
・物権
・債権総論
・家族法
・刑法総論
・憲法総論
・統治
前期
履修科目の予復習を優先しました。 ゼミの予習も重かったので本格的にはロー対策できずロー入試の勉強に集中できたのは前期期末試験終了後でした。
8月
民法(総則、物権法、債権総論)の復習に重点を置きました。
基本書→演習の流れで復習を進めていきました。
9月以降
夏休みと後期は授業数かなり少なかったので院試勉強にかなり力を注ぐことができました。授業は試験勉強の息抜きも兼ねて全部出ました。
具体的には以下のようなスケジュールで学習を進めました。
<9月1週目>
・刑法(総論、各論)
基本書→演習、構成要件のまとめ
<9月2,3週目>
・憲法
基本書、レジュメ→演習(※基本権のみ。総論・統治のアウトプットは過去問中心)
判例確認
<9月3,4週目>
・会社法
基本書→演習
<9月末~10月頭>
・民法(債権各論、不法行為、家族法)
基本書→演習
<10月~11月1週目>
・過去問
1週間で4科目1年分ずつ解きました。掲載されている5年分は全て解きました。
やり方としては以下の流れで行いました。
解答作成→自己添削→不明確な点洗い出し+復習
あやしい部分は友人と議論して、まとめの作成を行いました。
特に、会社法と憲法については、主要な論点や判例について、いわゆる論証集の簡易版的なものを自作しながら確認・記憶していく感じで進めました。
試験1週間前はまとめ・過去問の復習、演習書マーカー部分の見直しを中心に行いました。
6. 成績開示の結果
最後に、参考のため成績開示の結果も載せておきます。
7.まとめ
この記事では、京都大学 法科大学院に飛び級で合格した 地平線 さんの体験談と合格のための戦略的勉強についてをまとめて記事にました。
特に京都大学法科大学院に飛び級で合格するために必要な勉強量や教材から成績維持のための時間マネジメント術まで様々な合格のための戦略を立てるのに役立つ情報について書きました.
この記事を読んだ方の法科大学院受験の役に立てれれば幸いです。
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