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【YouTubeチャンネル】運用の参考になる12の企業アカウント #神運用

スマートフォンが人々の生活に入り込むデジタルデバイスになり、電車の中でも、食事中でも、日常のありとあらゆる体験をスマートフォンで行う時代がやってきました。

時代の変化に先立ち、オウンドメディアや広告配信だけでなく、定常的なSNS運用を起点にユーザーとの接点をつくる企業が増えてきています。なかでも昨今、注目されつつあるのが、動画共有サイト「YouTube」です。

セレブリティモデルのローラさんがチャンネルを開設し、江頭2:50さんのチャンネル「エガちゃんねる EGA-CHANNEL」が日本人歴代2位で登録者100万人を達成するなど、YouTubeは日に日に盛り上がりをみせています。

今後はこの勢いがますます増加し、TwitterやFacebookといったSNSのように、日常的にYouTubeを利用する人が増加していくでしょう。企業のマーケティング担当者は、黎明期である今このタイミングで、YouTubeの運用に本腰をいれたほうがよさそうです。

しかし現状、YouTubeの運用ノウハウはそれほど公開されていません。特に企業単位での運用ノウハウは、事例がまだまだ少ないために、情報を手に入れるのが難しい。

また「企業はYouTuberではない」ので、再生数を稼ぐことが大事なわけではありません。あくまでサービスへの集客や採用広報など、本業の発展に寄与するブランディング施作として機能するかが重要。そうした観点でチャンネルを育てていくのは、簡単なことではありません。

そこで、早期からYouTubeによるマーケティングに「張り」、YouTubeマーケティングを成功させている企業アカウントをピックアップ・解説してみることにしました。

*チャンネルの解説は「YouTubeの視聴傾向を分析し、企業・ブランドにとって役に立つであろう3つの方向性」を整理した「3Hコンテンツストラテジー」をベースに行います。「3Hコンテンツストラテジー」についてご存知でない方は、先に以下のnoteをご覧ください。

これがSNSマーケティングの「真髄」。SNS運用が上手い企業アカウントを解説します

YouTubeチャンネル運用が上手い12の企業アカウント

「3Hコンテンツストラテジー」について理解したところで、早速解説に移ります。紹介するのは、企業の公式チャンネルから、店舗独自のチャンネルまで、僕が「優れた運用をしている」と感じたチャンネルのみ。

今後YouTubeチャンネルを開設される企業の広報・マーケティング担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

ハードオフ筑後店ハードオフ久留米国分店

直近公開した「ハードオフ店員が壊れた楽器でT.M.RevolutionのWHITE BREATHを演奏」が話題になり、再生回が約180万回を記録しています。動画を見つけて、思わず「天才だ」と呟いてしまいました。

配信店舗はハードオフ筑後店・ハードオフ久留米国分店とエリアが区切られているため、店舗への直接的な売上向上には結びつきづらいですが、ハードオフの認知度アップや新しい来店動機獲得につながるコンテンツになっています。働く社員の様子を生で見ることができるため、採用活動にもプラスに働く可能性がある。

また、鉄板企画にエッジを効かせるのは、爆伸びするYouTube動画の王道パターン。誰もが知ってるT.M.Revolutionを選曲するあたり、秀逸です。

美容室LIPPS【リップス】

原宿、表参道、銀座、吉祥寺、二子玉川、大宮の美容室LIPPS(リップス)のYouTubeチャンネルです。

視聴者がすぐにでも使えるお役たち情報を積極的に配信しており、特に「【リアル5分スタイリング】アイロンなしガチセット!!」シリーズは、Helpコンテンツとして優れています。

また、ところどころでリップスのカルチャーが伝わる「内輪ネタ」を投稿しているのもポイント。リップスを知らない人を集客し、彼らをファンにする要素が散りばめられています。

燦鳥ノム - SUNTORY NOMU -

酒類や清涼飲料を中心に幅広い事業をグローバルに展開する老舗飲料メーカー・サントリーが面白いチャンネルを運用しています。

Vtuber・燦鳥ノムをフロントに立て、「歌ってみた」シリーズで認知を獲得。その後、YouTubeで人気企画のASMRを活用した「利き炭酸シリーズ」などHubコンテンツで、視聴者を商品・企業のファン化につなげています。

動画のコメントにも「ノムちゃんが好きだから、サントリーの水を飲むか」といったコメントも見受けられ、施策がしっかりワークしています。

ギズモード・ジャパン

最新のガジェット情報から、テクノロジー、サイエンス、ビジネス、エンターテイメントの情報まで、幅広く発信するメディア、ギズモード・ジャパンも秀逸です。

「使ってみた」「体験してみた」系の動画に、視聴者が商品の魅力をリアルに感じられる工夫が見られます。「さすがメディアだな」と思ったのは、思わず動画を見たくなるタイトリング。「具体的な効果」「活用シーン」が分かりやすくまとめられています。

テレ朝公式

テレ朝公式チャンネルは、テレビ局の「裏番組的」立ち位置を取っているのが上手い。ポジショニング勝ちです。

また動画のバズを目的とせず、テレ朝そのものにファンをつけていく親近感のある運用が好印象。SNSマーケティングの勘所を押さえていらっしゃる。

チャンネル名の「動画始めました」も、テレビ局が運営しているという背景から考えて、良いネーミングだと思います。

PopteenTV

「裏番組的」立ち位置でいえば、ティーンエイジャーの女性向けファッション雑誌『Popteen』も人気。POPモデルたちのオフショット動画や誌面連動企画を毎月配信し、100万再生を記録した動画も複数あります。

ちゃおチャンネル【公式】CIAO

講談社発行の『なかよし』、集英社発行の『りぼん』と並ぶ、三大小中学生向け少女漫画雑誌の一つ『ちゃお』のYouTubeチャンネルも秀逸です。

雑誌コンテンツに紐づけた形での「やってみた企画」、漫画の内容を「ボイスコミック化」して発信するなど、ファンの興味をそそる取り組みが多数配信されています。

動画の説明欄で“ちゃおガール”にやってほしいことを募るなど、読者エンゲージメントを高める施策も随所に見られます。雑誌と連動したチャンネルとしては、非常にレベルが高い。

読売ジャイアンツ

球団のチャンネルはファンクラブ的要素が大きく、どのチームも軒並み上手くいっている印象があります。中でもジャイアンツは、どのチャンネルよりも動画のサムネイル設定、動画タイトルが分かりやすい。ファンのツボを押さえているので、「次の動画を繰り返し見てしまう」設計がうまくできていると思います。

足つぼ Yutaka

「寝る足つぼ」「痛がる足つぼ」など、リラクゼーションテクニックを丁寧に解説しているマッサージ師のチャンネル。繰り返し読まれるHelpコンテンツで視聴者を集め、公式ページ(予約ページ)へとつなげています。

公式ページに遷移すると、Yutakaさんの思想が詰まったブログも見れる。マッサージに興味がある人と相性が良さそうな「ととのう手法」なるものも。視聴者をファン化していく導線が強く設計されているなと思います。

再生回数からも一定のニーズがあることは明確なので、クラシルがやっているように「Help」動画を大量投稿する体制が整えば、総再生数が増加して認知が一気に拡大していくでしょう。

片付けトントン

「掃除のプロ」の視点でから、ゴミ屋敷・ゴミ部屋の片付けプロセスを解説してくれる、とある清掃業者のチャンネルです。ゴミ屋敷がどんどん綺麗になっていく様子が爽快で、なおかつ掃除の勉強にもなる。

注目したいのが、かつてTVで流行っていた「ゴミ屋敷片付け系番」を彷彿させるようなコンテンツになっていること。芸能人がYouTubeに参画し、テレビ世代の視聴者がYouTubeを利用するようになっているので、今後テレビで人気だったコンテンツフォーマットを踏襲したチャンネルは伸びていくと思われます。

上記の動画は200万再生超え。「営業の高橋さん」による丁寧な片付け実況も分かりやすい。

お客さんとスタッフの対話を中心とした、Hubコンテンツよりの動画をアップしているのもポイント。

また、仕事終わりのスタッフが「今年の振り返りをする」ゆるいコンテンツも投稿されています。ゴミ屋敷コンテンツで興味を持った視聴者に親近感を持ってもらい、会社の濃いファンになってもらう工夫もGoodです。

いやー、このチャンネルはファンになりそう。

L’OPERAIO channel

最近発見したなかで注目しているのが、輸入中古車販売専門店大手・ロペライオが運営するチャンネル「L’OPERAIO channel」。

ほとんどの高級中古車の試乗動画のコンテンツですが、登録者数・再生数ともに伸びています。”高級車オタク”の知人にチャンネルの魅力をヒアリングしたところ、「正規ディーラーは基本的に、いいことしか言わない。しかしこのチャンネルは輸入中古車の販売業者なので、複数のメーカーを比較した上で、いいところも悪いところも解説してくれる。視聴者として信頼できる」とのことでした。

ただ商品が高級車のため、片付けサービスや足ツボマッサージのように「動画を見て、すぐ購入」とはならない。なので、同社のYouTubeを通した定常コンテンツコミュニケーションは、将来への種蒔きです。

「今は買えないけど、いつか高級車を買いたい」と思っている視聴者は、まずロペライオを想起するでしょう。ビジネスモデルによって、設定巣ゴールが変化してくるのも、企業チャンネルと個人チャンネルの違いです。

北欧、暮らしの道具店

ここまでnoteを読んでくれたみなさんはきっと、本気でYouTubeに挑戦しようと思われている方だと思います。みなさんに本当に紹介したいのが、「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムさんです。

クラシコムさんは定常的なコンテンツコミュニケーションがとても得意な会社で、公式インスタグラムアカウントのフォロワーは、およそ90万人。SNS運用が非常に上手で、YouTubも、#神運用 と表現するにふさわしい運用をされています。

定常のコンテンツコミュニケーションで認知を広げるときと、新規ファンを増やすとき、既存ファンのエンゲージを高めるときと、それぞれにシリーズが確立されていて、文句のつけようがないです。

基本的にファッションや雑貨のECサービスは「空気を売る商売」です。なので、商品そのものを紹介するのではなく、ターゲットに刺さるライフスタイル(世界観)を、“丸ごと提案する”コンテンツコミュニケーションが大事になる。「北欧、暮らしの道具店」の動画を「3Hコンテンツストラテジー」の観点から分析すると、以下のようになります。

・ショートドラマ(Heroコンテンツ寄り)

料理ドラマを通じて「北欧、暮らしの道具店」のライフスタイルを自然に提案しています。ドラマ形式だと、がっつり商品は紹介できない代わりに、生活提案を軸に、まだ大きな興味をもってないユーザーにも見てもらうことができます。

・ルーティーン動画(Hubコンテンツ寄り)

女性のルーティーンの紹介を通じて、こちらも「北欧、暮らしの道具店」のライフスタイルを自然に提案しています。 主人公となる女性は、主婦やキャリアウーマンやフリーランスなど様々。主人公の生活を丁寧に表現しているため、ドラマ形式よりも直接的に商品の紹介を自然に行えます。視聴者を新規ファンにするのに有効です。

・ラジオ番組(Helpコンテンツ)

視聴者から寄せられたお悩みに対し、解決策のHOWtoを伝授していく形式を用い、既存ファンのエンゲージを高めています。単なるHOWto動画ではなく、「お客さんから募集したお悩みを解決していく」のがポイント。極めて優れたアプローチだと思います。

ブランドの店長がMCを務めるなど、社員をアンバサダー化しているのも賢いなと(YouTubeは“ヒト・メディア”なので、フロントにキャラクターを立たせるのは必須です)

しみねぇのWelcome エン・ジャパン(おまけ)

最後に、人材業界大手のエン・ジャパンのチャンネル「しみねぇのWelcome エン・ジャパン」を紹介します。

再生回数が伸びているわけではありませんが、社内向け広報ツールとしてYouTubeチャンネルを運用している珍しい事例です。簡単に表現すれば、動画番組版・社内報。

今後、社内エンゲージメント強化の手法として、YouTube動画を公開する企業が増えるかもしれません。内容が内輪ノリだとしても、就職を本気で考えている人にとっては、会社の文化や雰囲気を知るためのツールにもなります。採用広報の効果もあるので、一石二鳥です。個人的に面白い取り組みだなと思っています。

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以上、YouTubeチャンネル運用の参考になる12の企業アカウント+αをご紹介しました。それぞれのチャンネルを徹底的に分析すれば、共通点が見えてきて、運用のコツがつかめます。ぜひ参考にしてみてください。

NewsPiksさんでは、年始の「大予測」特集にて、「人間らしさ」を基軸とするSNSマーケ(YouTube運用)の本質についてもお話ししています。本記事に併せ、チェックしてみてください。

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編集協力:オバラ ミツフミ(@ObaraMitsufumi

Misfitsの森泰輝です!誰もがSNSのパワーを享受できる未来に向けて事業を創っています。書いてほしい記事のリクエストがあれば教えてください!