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茅葺職人見習のはじまり 第11話

22.04.15(金)天気:くもり
雨明けの仕事。昨日は雨で休日になったので、十分に休息が取れた中での仕事。現場は、雨の影響でジメジメとしていた。
今日は、5段目を葺いていった。親方の仕事前の計画では、この段は、裏茅→3尺→4尺→裏茅→4尺の流れで葺いていくと話されていた。それを聞いて「これは親方と茅葺屋根との対話なんやな」と思った。屋根を葺いていく際に作る茅は、3尺や4尺の長さで整えていくが、その際に、裏茅と呼ばれる長さの茅が端材として生まれる。(Fig1)裏茅は、もちろん屋根の勾配調整などで屋根の一部を担う存在である。そんな裏茅を5段目では、2回登場させる親方の判断は、屋根との対話の賜物である。現場ごとの思考。その場限りの対処。まさに職人的思考である。親方の技術と経験をしっかりと観察し、吸収していこう。

Fig.1 裏茅

今日の記事のサムネイル画像に選んだ画像は、古茅を積んでいる茅くず置き場の写真である。サムネイルには、その日の印象的だった写真を選ぶようにしているのだが、この茅くずを見て施主の方が「ええ畑の肥料になる」と言っていたのがとても記憶に残った。改めて、循環する素材の実態を目の当たりした。このフローを現代的な普遍性を伴ったシステムの上で再解釈したい。そのためにも、古の技術体系を身体的に学ぶ必要がある。この基礎がないと新しいものは生まれないとも思う。もちろん仕事は、雑用もたくさんあって(あたりまえだが)毎日少しでも生産的な作業に携われることに喜びを感じる。その一つ一つの積み重ねで少しずつ成長していきたい。まさに、毎日少しずつ成長していく茅葺屋根のように。(Fig2)

Fig.2 5段目まで葺いた屋根

明日は、茅葺体験のワークショップがあるそう。どんな人たちがくるのか楽しみ。まあ明日も変わらず頑張ろう。

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