見出し画像

Life Size Cribe / 東京でいちばん優しいラテ

『おいしい』
そう感じられるのって幸せですよね。
きっとそのカップやグラスにはいろいろな想いが注がれているはず。
聴いてみたいと思いませんか?

OUR STUFFは
"想い" をもって『美味しい一杯』をつくる人たちに、会いにいきます。


画像1

“Life Size Cribe”と書かれたピッチャーから、左手のカップにミルクが注がれる。描かれたアートを崩してしまうのは少し後ろめたいけれど、「いただきます」とまず一口。美味い。うん、優しい味がする。

確かな技術と世界観に裏打ちされたその一杯。
そこに注がれた想いを聴いてみた。

画像2

常に疑い、理解したものを良いとするっていうスタンスなんだよね。

たとえば、俺はコーヒーに温度は必要ないと思っていて。抽出時に熱を使う、その結果できたものが温かいだけで、熱いものが美味しいとかっていうのは人それぞれなの。素材的に美味しいものに温度ってそんなに必要ない。だから口当たり滑らかに、一番甘さを感じる温度帯で飲んでもらう。俺の場合だと60度ちょっと。そうすればこのミルクがたくさん飲めるこのカップが活きてくる。

あと、飲むときの「口にあたったときの質感」もすごく大切にしている。ティーカップなんかは薄くてフレーバーを感じやすくなっている反面熱く感じちゃう。けれど、このカップは肉厚で口元がふっくらしていて、口当たりが優しくて心地がいい。マロって飲めるっていう感じかな。つまり適材適所の量と質感っていうのが大事。

画像3

最近はいろいろな場所で美味しいシングルオリジンが飲めるけれど、やっぱりブレンドが持つ一期一会の面白さっていうのを俺は体現したい。

店のブレンドをつくるときの目標は「魅惑的で官能的な女性の味をつくる」だった。イメージは、俺がコーヒーを始めるきっかけになった、Paul Bassettの忘れられないダークチョコレートの味。それを自分なりの不思議な甘さに落とし込む。味をつくるときは、具体的な味については何も考えてない、例えば、ベリー感を出しつつシトラス系の、みたいな。

それよりも大事なのはイメージ。「ここに行くとなんか妙に酔っちゃうよね」みたいな体験を想像したときに、男がセクシーな女性を見たときのドキっとする感覚に近いなと思って。それで出来たのが”Lady Brown”。「人も空間も全部含めて、ああすごく美味しいな」って感じられるものをつくりたくて、官能的でセクシーといった意味での素敵さを大事にしているかな。

それと対になるのが”Green Continent”っていう「アダルティーな男性」をイメージしたブレンド。両方飲み比べたときに、”Cribe”の良さが初めてわかるっていうストーリーになっている。

画像4

“Crib to Live”つまり「生きるための場所、秘密基地・溜まり場」っていう言葉がある。それを短くして作った造語が”Cribe”で、もともとダンスや服作りをしている仲間でつくった団体の名前なの。その中で俺はコーヒー屋をやっているわけで、”Cribe Clothing”ってのもある。だから俺はオーナーじゃなくてクルーの一人。で、この秘密基地・溜まり場では、自分のサイズ感は大事にしようぜっていうね。

”Life Style”ってすごく綺麗なんだけど、どこかで背伸びをしている、それって理想なんだよ。さらに良いところを目指すことも大事だけど、もっと自分自身に優しくする、それを共有したいって思っているから、俺はいつも等身大でいる。いま大切にしているものをもっと大事にして、そこからゆっくり成長していきたいっていう想いから、「Life Sizeの秘密基地・溜まり場」。

画像5

俺はいま国分寺っていう街で、都心部のコーヒー屋さんでは絶対体感できないことを経験しているんだよね。売上を伸ばすとか、お客さんを集めるぞ!っていうよりも、地域をもっと良くしていこうよっていう人たちが集まって、国分寺っていう大きなパズルのピースをつくっていく中で、俺は「朝をつくる人」になりたい。

日本人ってさ、朝起きて身支度して、嫌な電車に揺られて会社に着いて、デスクに向かって「はい、仕事します」っていうネガティブな気持ちで始めるから、1日が面白くないわけよ。そのときに俺は言うね、「ちゃんと笑ったか?誰かと喋ったか?」って。朝、ちょっとでも誰かと会話してからスタートするだけで、その人のなにかが変わるんだよね。俺はその良いエッセンスを一方通行の「あげたい」じゃなくて「共有したい」。面白い会話と、そこにたまたまコーヒーがあるだけ。紅茶でもよかったのかも。っていうくらい俺はコーヒー自体に執着してない。

けど大丈夫、「美味しさ」はずっとつくっていくから。

画像6

Life Size Cribe吉田 一毅さん(東京都国分寺市本町3-5-5)

国分寺駅から徒歩3分の路地裏に佇むコーヒーショップ、Life Size Cribe。オーナー吉田一毅さんが、新宿のPaul Bassett (※1) から独立し、この街でお店を始めたのが2015年の3月。もうすぐ2年。ふらっと立ち寄る友人やベビーカーを押した近所のママさん、地域の人にとってなくてはならない存在に。おじいちゃん、おばあちゃんから小学生まで、誰とでも話ができるように日々の情報収集は欠かせない。コーヒーを注文して終わり。じゃなくて、そのあとの会話まで美味しい。そんなお店。
(※1) 2003年のバリスタ世界チャンピオンのポール・バセットが、日本にオープンしたエスプレッソカフェ

画像7

Text by Naoki Yasuda, Taiga Kato
Photo by Taiga Kato
All credits go to OUR STUFF.


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?