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好きな作品や美術展について勝手に語ろう【田中一村について】

今回は私が「熱愛」「偏愛」する日本画家、田中一村(たなかいっそん)について語りたいと思います。

田中一村 (1908-1977)

明治41(1908)年、栃木県に生まれる。幼少の頃から画才を発揮し、若くして南画家として知られる。18歳、東京美術学校に入学するが2ケ月で中退。以後、中央画壇と一線を画し、50歳を過ぎて独り奄美へ移住。紬工場で染色工として働きながら絵を描き続けた。東京、千葉を経て、この奄美の地で亜熱帯の鳥や自然を描き日本画の新境地を開いたが、作品を発表することなく69歳の生涯を終えた。

田中一村記念美術館HPより引用


思い起こせば私が一村の作品を知ったのは、数10年前に地元に巡回した「NHK日曜美術館30年展」の時でした。奄美の風景を描いた不思議な日本画に心惹かれ、一村の伝記を読み、その孤高な生き方に大変な感銘を受けたのです。

それ以来もう一度観たいと熱望していた一村の作品に再会したのは一村生誕110年の記念の年であった2018年で、箱根の岡田美術館と滋賀県の佐川美術館で開催された「田中一村展」の時でした。

①岡田美術館

箱根にある岡田美術館。


箱根にある岡田美術館は一度行ってみたい美術館だったので、この一村の展示を観るためGWに家族旅行として箱根に行き、時間をもらって1人でじっくりと観覧しました。
岡田美術館は数点の一村の絵を所有しており、私が観た時は所有作品ばかりの展示でしたが、一村以外にも日本美術の名品が多数展示されていて半日居ても時間が足りないくらいでした。中でも、上の写真で垂れ幕に使われている「白花とアカショウビン」と手前のポスターに使われている「熱帯魚三種」は素晴らしかったですね。

*岡田美術館のX投稿より「熱帯魚三種」。



②佐川美術館

滋賀県守山市にある佐川美術館。


ポスターの作品は「初夏の海に赤翡翠」


滋賀県守山市にある佐川美術館は、九州からはとにかく遠かった印象があります。しかもこの時は日帰りで関西の3館を巡るというハードスケジュールの遠征(笑)。堅田駅から美術館までタクシーに乗りましたが、九州から来たというと運転手さんが驚きながらも「田中一村って人気があるんですね。この間も関東からのお客様を乗せました。絵に興味ないけど、自分も行ってみようかな。」と仰っていたのを覚えています。

この時観た中でやはり圧巻だったのは「アダンの海辺」。有名な作品ですが、展示期間の関係で岡田美術館では観ることができず、佐川美術館で観ました。

*新美の巨人たちのX投稿より「アダンの海辺」。


作品を前にして足元が震えるような感動を覚えた私でした。
この展示の感想をFacebookグループ”Art倶楽部”に書いていたので、以下引用したいと思います。

佐川美術館での展示は一村7才の時に描いた南画にはじまり、千葉時代、一村への改名、奄美時代と、その生涯を振り返り画風の変遷をたどる構成でした。

もともと南画はあまり好みではなく、やはり一村と号してからの絵が心惹かれました。何点か観音図などの仏画もありましたが、風景や花鳥を描いた作品と比べるとあまりパッとせず(失礼)この方は人物よりも風景や自然を愛し描いたのだなぁ…と思いました。

捲土重来を期して奄美に移住したのが一村50才の時ときいて、今の自分に近い年齢と知り、足元が震えるような感動が…まだ気力、体力があるうちに納得できる絵を描こうと、背水の陣で奄美に渡った画家の気持ちが実感として理解でき、あぁ、私は今、自分に納得できる生き方をしてるのだろうか?と己を揺さぶられたような気がしました。

「アダンの海辺」=灰色の空を風景にアダンの実を正面に置く大胆な構図、幹の力強さとアダンの存在感、そして南の海の静かな波…圧巻でした。遠いところを観に行って良かったです

(2018年7月29日 Facebookグループ”Art倶楽部”への投稿より一部抜粋引用)


コロナ下の2021年、千葉市美術館で開催された田中一村展は諸事情につき断念(>_<)
奄美大島にある「田中一村記念美術館」もまだ訪問できていませんが、今年(2024年)9月19日(木)から12月1日(日)に東京都美術館で開催される「田中一村展 奄美の光と魂の絵画」展は、必ず行こうと思います。

2018年から6年の時を経て「アダンの海辺」に再会する私。今回はどのような気持ちになるのか、今から楽しみにしています。


*東京都美術館で開催される田中一村展、公式サイトはこちら。


*田中一村記念美術館のHPはこちら。


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