KAC アストロバイオロジーキャンプの感想
KACとは、Keio Astrobiology Campの略で、
慶應大学が主催する「アストロバイオロジー」を学べる合宿イベントだ。
対象は高校生~大学院生。
今回は、3日間オンラインで行われた。
そもそもアストロバイオロジーとは、NASAが作り出した
「宇宙における生命の起源、進化、伝播、および未来」を研究する学問のことだ。(超簡単説明)
Astrobiology、つまり日本語に訳すと宇宙生物学となる。
今回のオンライン合宿では、予め課題としてePsoterの作成が課せられていて、ePsoter発表で優秀賞をもらった人は、東京工業大学の研究施設ELSI(アストロバイオロジーにまつわる分野の研究を行う)へインターンする権利が与えられる。
他にも、大学や研究所で活躍されている先生方が講師として講義を行ったり、バーチャルラボツアーを行ったり、実際に過去のこのキャンプを通じてアストロバイオロジーの世界に足を踏み入れた人たちの話を聞けたり、みんなで研究計画を立てるグループワークを行ったり、参加者同士で懇親会を行ったり…
内容が実に充実していて、本当に最高だった…
しかも、こんなに魅力が詰まったコンテンツが無料なのだ!!!!!!
アストロバイオロジーに興味ある人は何としてでも参加した方がいいと個人的には思う。
今回のイベントを通して得た学びを大きく2つに分けてみた。(雑感)
①アストロバイオロジーという分野の奥深さ
アストロバイオロジーとは、よく聞いたことがある人でもなんかふんわりとしていて、「それは一体何なの?」と聞かれても返答に困ってしまうのが正直なところ
この合宿を通して、アストロバイオロジーの分野の奥深さが良く分かった。つまり、よりよく分からなくなった。(笑)
アストロバイオロジーは「生命の起源、分布、未来」について学ぶ学問だ。
*生命の起源に含まれる課題:生命はどこで生まれたのか、原始の生命はどのような構造・仕組みだったのか、そもそも無機物から有機物、そして生命に至るにはどういう過程がったのか、その環境はどのようなものだったのか
*生命の分布:生命は地球上のどこまで生息しているのか、生命の限界はどこまでか、生命は地球以外にもいるのか、いるとすればどこにいるのか、地球から外へ/外から地球へもあり得るのか
*生命の未来:今後人類の宇宙進出はどのようなものになっていくのか、そこで必要になってくるものは何か、地球・宇宙の環境はどのように変わっていくのか、生命は環境にどのような適応(進化)をしていくのか
これでもまだざっくりしているが、これだけの多くの課題があり、分野も多岐にわたっている。
天文学や、生物学、遺伝子学、地質学、気象学、倫理学、経済学…さまざまな領域が複雑に絡み合う学際領域-それがアストロバイオロジーである。
上記を考えるうえで、そもそもの前提として、「生命とは何か」という問いがある。
これらに答えるために、
たとえば生命のようなもの(高分子化合物)を実験室でつくってみたり、深海や温泉を調査したり、隕石を分析してみたり、惑星へ探査機を送ったりしている。
何と答えていいか分からない気持ちが分かってくれただろうか?笑
まぁでも結局はその人が知りたい謎が何なのかに依存するのだと思う。
宇宙(地球以外)に生命を見つけることだったり、生命の起源を探ることだったり、人工的な生命を作り出すことだったり、火星移住だったり…
アストロバイオロジーとは、結局、「生命とは何か」という根源的な問いに対して色んなアプローチから答えを探していく学問なのかもしれない。
生命を生み出したのは宇宙はなので、宇宙は切っても切り離せない。(地球も然り)
生命と宇宙、その二つを少しづつ理解していくことがアストロバイオロジーを研究する人たちに課せられた使命?なのかもしれない。
と、そんなことを感じることができた。
②この世界で何かをするときに年齢を考えるナンセンスさ
今回、高校生も数多く参加していたが、
彼ら彼女らの発想力の高さ(おもしろさ)たるや!!
こういうところに参加してくる方たちなので賢いのはもちろんそうだろうが、それだけではなく、この機会に積極的に何かを学び取ろうとする姿勢、何より、自分の知りたいことに対する圧倒的な熱量を感じた。
個人的には、自分たち大学・院生組より上回っていたように思う。
まわりに普段、アストロバイオロジーに関する専門的なことを聞くことができないということもあるだろうが、
ただただ圧倒的におもしろいことをしたい、知りたいんだろうなと思った。
実際に大学院生として研究を始める前に彼ら彼女らと接することができて本当に良かった。
”年齢”という見えない枷を、頭の中から今まで以上に取り外せた。
これから色々色々あると思うが、こと切れるその時まで「おもしろいことをしたい」「知りたい」という情熱の火をずっと絶やさないような行動(どんなに小さく見えても)をとり続けたい。
そう思わせてくれた。普段、高校生などの世代と関わることがほとんどないので、こういった世代を超えたイベントは本当にありがたい。
最後に、慶應大学 鶴岡キャンパスで研究室を持ち、そこからベンチャー企業をいくつも生み出しているユニークな先生 冨田先生がおっしゃっていた言葉が印象的だった。
「今皆さんは、アストロバイオロジーという沼に足がはまっている状態。
それぞれの分野に足を置いて、片足を何かにこぎつければアストロバイオロジーになる。
引き続き二歩目、三歩目を踏み出していってほしい」
今度届く修了証が楽しみだな。
3月までは会社員の身分だけど、ダメもとで参加したいという意思を伝えてよかった。
これからも、不安な雲のなかで一歩一歩踏み出して、つまらない世界をおもしろくしていこう。その一歩一歩が世界を変えていく。
まずは今回の合宿で興味を持った先生に連絡するぞ!!🔥