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初心者が1年間で短編小説100作品を書けた理由。



想像もつかなかった。

小説を書いた記憶といえば、今から15年くらい前に少し通っていた芥川賞作家の小説教室で提出した数作品だけ。そんな数えるほどしか書いたことのない小説初心者の自分が、1年間で100作品もの短編を書くことになるなんて。

これから書く話は、何年も書き続けている手練れの書き手や文学賞を目指すレベルの方の参考にはなりませんが、僕のような駆け出しの人が続けていく上ではちょっとだけ参考になるかもしれません。


初めてnoteに小説を投稿したのは、2019年4月23日。ちょうど約1年前です。noteでのデビュー作は『烏の色』という約670字の超短編。久々にその作品を開いてみると、スキは2つしか付いていませんでした。

これまでに投稿した100作品の総文字数は、おそらく30万字くらい。500字ほどの短い作品もあれば、12000字以上の長めの作品もあります。平均すると1作品あたりおよそ3000字くらいではないかと思います。

30万です、30万。文字数が多ければいいという話ではありませんが、個人的な感覚ではなかなかの迫力です。エッセイも足したらもっといくかも。PCのモニタ上では1文字あたり4mmくらいのサイズなので、計算すると4mm×30万=120万mm。120万mm=1.2km=1200m。1200mといえば、東京スカイツリーを縦に2本重ねたくらいの高さです。うおー。

1年前の自分が知ったら、そんなのありえないと腰を抜かすでしょう。僕の場合はコピーライターとしての下地がありましたが、短い文章ばっかり書いてきたので長文への苦手意識が結構あったんです。2000字ですら途方もない高みだと思って見上げていたんですよ。


小説を書き慣れている人や、何百冊何千冊と小説を読んできた目の肥えた人からすれば、僕の書く作品は「?」と思われる部分も多々あるかもしれません。語彙の貧困さ、描写の稚拙さなどが見受けられるかもしれません。

そのへんは自覚しているつもりです。僕がいくら背伸びしても、どれだけ書き直しても、粗が出てしまいます。コピーライターとして長くやってきた自分が、素人のコピーを見せられて「そういうんじゃないから」って思っちゃうのとたぶん同じことです。

誰かと同じ土俵で誰かの背中を追うような書き方はしないでおこうと思い、小説の書き方系のノウハウ本などは読みませんでした。「書き方」の基本に忠実であろうとすると、何かの型にはまろうとすると、途端に「書く」のがつまらなくなるのです。

基本が大事なのは百も承知です。とはいえ、そういうこともあって、ただただ自由に、自分の書きたいふうに、いい加減な文章を書き殴ってきました。最初の段階で好き勝手やると変な癖がついてしまうという見方もありますが、そのやり方だと結果的に自分らしい書き方っていうのが見えてきやすいかもしれません。


書く上で軸にあったのは、自分なりの「おもしろい」を追求することでした。

ただ、自分がおもしろいと思っても、読み手がおもしろいと思わなければ、独りよがりの駄文でしかありません。もしそう思われたら仕方ないと開き直りつつも、主人公に自分を投影したような作品はなるべく書かないこと、そして読みやすさだけは意識しました。

僕が書いてきた100作品の中には、もはや小説と呼んでいいのかわからない謎の文章も多数混ざっています(笑)。例えばコレとかコレとか・・・。

独自のスタイルなんて大仰なものではありませんが、“自由に楽しんで書くやり方”でなければ、こんなに続けることができなかったし、100作品も書けなかったでしょう。それは、1年経った今だからこそ言い切れます。そのほとんどが、「書かなきゃいけない」ではなく「書きたい」で書いていたような気がします。

このnoteというプラットフォームも、自分にとってはなくてはならないものでした。広告もなく、要素も少なく、自分の書く言葉一つひとつに集中できるシンプルなインターフェース。継続して書くモチベーションを支えてくれていると感じます。

なによりも、こんな僕のつたない作品を、おもしろがってくれる人たちがいました。いつもありがとうございます。うれしいコメントを残してくださる人もいて、アホな顔で悦に浸ったり、へへへ・・・とニヤけたり、不気味な笑い声を出したりしています。こんなんですが、今後も構ってください。




僕は末永く付き合える趣味に再会できたと思っています。しかも、コピーライターという自分の仕事の質を補強してくれる趣味です。小説は広告とは違って消費期限がありませんし、時間が経ってもそう簡単には腐りません。数百年先も、数千年先も、半永久的に自分がこの世界で生きていたという証として、どっかのサーバーに残るでしょう。知らんけど。

小説は「文字だけでつくる映画」だと捉えています。ロケ地も役者も小道具も無料で使い放題。文字だけで壮大な世界観を作り込むことができます。なので、自分としては映像に近いような文章が理想です。

自分はまだまだ初心者の域から抜け出せていませんが、この1年で長文の基礎体力がほんの少しついたような気がしています。今後は名作と呼ばれる小説や書き方系の本も読みあさりたいと思っています。


今回「100」というキリのいい数字に到達し、実感を持って気づけたのが、「続けること」の重要性です。なにごとも続けないことには上達すらしません。気張りすぎてしまって書くのがしんどくなって筆を置いてしまう人もいるんじゃないでしょうか。

当たり前のことかもしれませんが、好きなこと楽しいことの方が続くんですよ。まず最初は自分の書きたいようにゆる〜く書き始めることも、長く書き続けていく上で大切ではないかと思います。

いま、100作品のリストを制作中。目指すは東京スカイツリー3本目です。


#エッセイ

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