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人はなぜ、旅行に行くのか
1. もともと気軽に旅行できない時代もあった
今日は旅行というものについて考えてみたいと思います。
今の時代、バス、電車、船、飛行機と、様々な交通機関が発達したおかげで、
国内はおろか、世界中のどこへでも旅行することができる世の中となりました。
今でこそコロナの影響で気軽に旅行へ行くことができなくなり、
旅行好きの人には大きなストレスがかかり続けていると思いますが、
そもそも車も電車もないようなひと昔前の時代には旅行のように遠路を行くという行為を行うのは容易ではなく、
それなりに覚悟が要る状況であったはずです。
つまりその時代は旅行に行かないことが当たり前の感覚だったはずです。
ということは旅行に行きたいという欲求は、人類の文明の発展によって生み出された「後天的な欲求」だということになります。
はたして人はなぜ旅行を欲するようになったのでしょうか。
2. 人はなぜ旅行に行きたいのか
皆さんが旅行に対して求めるものは何でしょうか。
束の間の休息?でも休みたいのであれば、家でじっとしている方が合理的なので、そういうことではないでしょう。
非日常を経験したい?これは大いに考えられることだと思います。日常生活の中では触れられないものに触れられるというのは、旅行の醍醐味であるでしょう。
また旅行好きなある人に旅行に行く理由を尋ねたら、とにかく「楽しいから」といいます。
その楽しさは旅行先に行って何かしらのイベントに参加するということの楽しさだけではなく、
「何が起こるかわからない」ことも含めて楽しむ、予想外のことも含めて丸ごと旅行を楽しむという姿勢がそこにはあると思います。
考えてみれば、私達は予定調和的なあらかじめ展開が予想されるものの中にはあまり楽しさを見出すことは少ないです。
何かしらの予想外やどんでん返しの展開にワクワクやドキドキを感じるという仕組みが私達の根本の部分にあるのではないでしょうか。
その欲求が現代では「旅行」という形で満たされているだけで、
その欲求自体は旅行が難しい時代からも普遍的に存在していたものなのだろうと思うのです。
「旅行をしたい」という欲求は「新しいものに触れたい」という欲求に通じるのだと思います。
3. 人生には適度なバランスが必要だ
私達が旅行を欲する理由はもう一つあるように思います。
旅行で新しいものに触れたいという欲求を満たすといっても、
毎日が旅行の日々というのは流石に落ち着きがなく感じられるのではないでしょうか。
そういう日々を好む人もいないわけではないかもしれまんが、おそらく少数派だと思います。
なぜならば、「新しいもの」を楽しむためには、「日常が安定している」ということが必要不可欠であるからです。
日々の生活がその日暮らしで家計も火の車なのに、新しいことを楽しんでいる余裕はないはずです。
昔から「ハレ」と「ケ」と言われているように、「ケ(日常)」があってこそ「ハレ(非日常)」を楽しめるというものです。
旅行に行くという行為は「ハレ」と「ケ」のリズムを作るという意義もあるのではないでしょうか。
このように考えていくと、「旅行」というのは「人生のバランスを整える行為」であるように思えるんですよね。
それと同時に人生のバランスの整え方は、「旅行」だけとは限らないようにも思います。
コロナの影響で過剰なまでに自粛が要請されたり、
マスクをつける人の目も気になるどころか、様々な公共サービスはもはやマスクなしでは成立しないほどに自由が制限される世の中で、
旅行にも大きな制限がかかってしまったこの時代ですが、
「旅行」の本質に目を向けて、私達が「旅行」に期待する何かを、別の何かで代替するという発想も大いにあっていいように思います。
「新しいものを求めたい」という気持ちまで自粛する必要はないはずです。
旅行制限の日々を、日常生活を大事にしつつ、新しいものに触れたいと思う気持ちを改めて再確認する、
そんな機会として活かしていきたいものですね。
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