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コロナ禍における地方でのライブ開催

2021年1月26日、マネジメントを務めるTSUNEIの1年越しのリリースライブ『Into』Release & Birthday LIVEを開催し無事に終えることができました。(トップ写真は会場のジョイアミーアの当日開場前の様子です)
結論を先に伝えておくと開催してよかったです。開催から2週間以上経ち特に感染者などの報告もなく一安心したので、よかったこと、リスクや考えさせらたことがあったので記録しておこうと思います。
そこまで地方と都心で開催までに差がないかもしれませんが参考になる部分があるかもしれません。
また、TSUNEIに関してはホームページにプロフィールや活動経歴を載せているので割愛します。

マネジメントに至った経緯や経歴なども別記事にプロフィールを書いてますのでそちらをご参考ください。

■開催の経緯

2020年2月にリリースしたアルバム「Into」のリリースライブと当日が誕生日だったのでリリースと誕生日の二つのお祝いという意味を込めて開催。
というのも、本来2020年5月に開催予定だったリリースイベントでコロナの影響をモロに受け延期未定という状態になってしまいました。
地方はメディア(特にテレビ)の影響が大きいので感染者が一人でも出ると大々的に報道されます。一人も出さないように注意喚起をするという意味でも確かに大事なことだと思います。
ただ、これは声を大にして言いたいのですが、全メディアの扇動的なネガティブプロモーションによりライブ会場やイベント運営会社などを中心としたエンタメ業界はいまだに大打撃を受け続けています。
下記の記事のとおり、エンタメ業界4団体(一般社団法人 日本音楽事業者協会(音事協)、一般社団法人 日本音楽制作者連盟(音制連)、一般社団法人 コンサートプロモーターズ協会(ACPC)、一般社団法人 日本音楽出版社協会)が出した声明にもあるように感染対策を徹底し、昨年5月25日以降、ライブイベント会場から感染者は出ていないそうです。出演者もバンドで体調不良のメンバーが一人でも出れば即中止または延期にするなど迅速な対応を取っています。

にも関わらずこのような非常にポジティブなニュースは大きな報道もされないまま悪い印象ばかりが植えつけられたままでいます。
これも“自助”でどうにかしないといけないのでしょうか?

なかなか状況はよくならないまま時が過ぎたものの、徐々に世の中的にも配信に加え、観客を入れたライブも出来つつある状況に変化していったのと補助金を活用してリスクを最小限に抑えて開催出来そうだったので決断しました。
しかし、1年近く空いてしまったことによりアルバムリリース記念と銘打つには旬が少しすぎてしまったので、他の理由づけもしないとなかなか集客も難しいだろうということもあり本人の実際の誕生日に設定しました。
有観客でのライブ開催自体ハードルが高く、ましてや地方に軸を置いて活動しているアーティストとなればなおのことです。
とはいえ、マネジメント側としては止まることは何の成長にも繋がらないので、多少赤字覚悟のリスクを背負ってでも開催しないことには先に進みません。誰もが体験したことのないこと進めていくにはリスクと痛みが伴います。一部のアーティストを除き、リリースとライブはセットで考えるべきですから。
あとは商工会議所の持続化補助金が不採択になって、比較的に通りやすいと言われていた文化庁の補助金に関してイベント出演料などにも使えることがわかったのが開催の決め手になった気がします。開催してから半月後に採択決定したので冷や冷やしましたが(苦笑)

・開催までの準備期間

アーティストと僕の二人体制なので常にいつ開催するかは探っていたので幸い準備期間に関してはそんなにかからず、こちらと本人の意志さえ固まればすぐに動き出せます。10月末とかそのぐらいにはやろうと決めて、すぐに会場の空き状況確認して、11月末から補助金申請開始のため書類を集めて作成・提出、12月頭に告知開始、チケット販売を12月末ギリギリ開始という感じになりました。
キャパを感染拡大防止の観点から通常の3分の1程度まで抑える必要があったので、客単価をどうしても上げなければいけません。さらに、なるべく経費の部分も浮かせたいのでGo Toイベントのチケット販売業者に申し込んでいたのですが、これがとにかく時間がかかり結局間に合わず。。(本当は12月中旬の告知タイミングからスタートしたかった。。)
主催申請はすぐに通ったのでe+での販売委託にしました。ここで結局手数料を取られるので恩恵はさほど受けれませんでした。販売枚数も少ないので余計に。
こういった緊急支援策は不正受給の問題もありますが、迅速に対応して欲しいと切に願いますし、悪い政治家のようなはっきりしない回答も多く、問い合わせには明確に答えて欲しいと思います。
ただ単純に客単価を上げるだけでは集客も難しいというのもありますし、せっかくこんな環境の中でも来てくれるお客さんのために何かできることはないかと思い、チケットデザインもオリジナルにし、ダウンロードコンテンツ(音源と動画)、オリジナルデザインマスクをつけることにしました。

・ゲスト出演者

リリースライブでかつバースデーイベント、ワンマンでもあるのでできれば豪華にしたいところですがこの一年の影響は本当に大きく、なかなかあれもこれもというわけにはいかず、バンドや演奏者だとどうしても県外からのプレイヤーをイメージしていたので本番移動やリハを考えると準備期間も考えると難しいということになり、同じ地元で活動し、世界大会でも活躍しているChibi Unityというダンスチームの先生も務めているMASUMIさんにお願いしました。基本的なダンス力に不安要素は一つもなく、もともと何度かライブサポートをしていただいたアドバンテージもあり、ライブ中盤で非常にいいアクセントになってくれました。一緒にできて本当によかったです。

・開催直前に2度目の緊急事態宣言

宣言が出された地域のみではなく出されていない地方でも影響が大きく出ます。まず感染拡大地域からのお客さんを呼べない。ネガティブなニュースなので拡大地域でなくても行くのをやめようというお客さんも当然ながら出てきます。そもそも人の出も少なくなっているのでさらに厳しい状況になります。無理に来てもらっても楽しめないと思いますし、払い戻しの対応を拡大地域のみに限定せず全てのお客さんにすることにしました。
ただ、売上面から見ると当然ながら客単価が高いので一枚キャンセルがあるだけでも大打撃です。

・開催当日

スタッフは最小限に、開場時間を開演の1時間半前にするなど密を避ける対策を行いました。客数自体を少なくしたというのもありますが、みなさん空気を読んでくれたのかチケットごとに時間を分けずにいても、うまい具合に分散して入場していただきました。ご協力いただいた皆さまには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

・お客さんの反応

声援禁止、拍手のみなのですがやはり興奮したり笑うような場面があると声は出てしまいますし、お客さん側に制約が多く自由に楽しめないというのは主催側としては非常に心苦しかったです。

・会場と配信との温度差

有観客と配信を同時に行う上で反省点となったのは会場との温度差を埋める工夫が必要だったなと思っています。
一人の方がカメラマンとスイッチングを行ったのでどうしても簡潔なオペレーションにしないと映像自体が破綻してしまいます。カメラマンとスイッチャーは一人ずついないとなかなか演出をつけるのは難しいと感じました。できるのであれば事前に通してリハ撮影した方が良さそうです。とはいえ費用もその分かかってくるのでそこをどうしていくかも考える必要がありそうです。
また、TSUNEIは元々イベントなど現場でファンを獲得してきたアーティストで、ファンの年齢層も比較的に高めだったので配信での売上はそんなに見込めないんじゃないかという予測で、配信だけを見ると予測通り厳しい結果となりました。
とはいえやらないことにはどういう結果になるかわからないし、今後配信はやらないかといったら答えはノーで、次も開催するなら配信もセットでやるつもりです。
というのも今回ZAIKOでの配信だったのですが、会場にきてくれたお客さんもアーカイブでその日中から約1週間ほど見ることができるというので買っていただいた方も多く、マックス入れられる状況に変わったら会場単価も下げれますし、配信はセットでやった方が確実に利益に繋がるはずです。
元々ネットも使いこなせる世代も獲得していかなきゃいけないねと言っていた矢先にこうなってしまったのもあるのですがこればっかりは仕方ないところです。

・物販が出来ないのは最大のデメリット

正直これが一番痛かったです。事前に受注生産でTシャツを作りはしたものの一種のみでしたし(かといって何種類も受注で作ったとしても少ないロットだと原価は上がりますし、売れるかどうかという部分もあります)、オンラインストアに導線作るのも配信同様になかなかハードルが高く、ライブでの熱量だったり、その場で本人からサインをもらえたりなどコミュニケーションが取れることで購買意欲が沸く部分もあるので物販を会場で出来ないのは最大のデメリットになりました。
感染リスクと天秤にかけるとなかなかやりにくいです。

■結論は開催出来て本当によかった

まだまだ感染に関しては収束に向かっていないですし、ライブ開催自体が出来ていないアーティストも本当にたくさんいる中で会場やゲスト、スタッフの皆さんの協力あって開催が出来て本当によかった。本当にありがとうございました。
地方とはいえ(だからこそ?)継続してライブは続けていくべきだと感じましたし、アーティストにとってお客さんを入れたライブは必要不可欠だということを確信しました。お客さんも現場で感じるライブはやっぱりいいというお声もたくさんいただいたのでよりやるべきなんだなと。
また、外部イベントがまだ回復していないので出来るだけ自主開催を増やしていかなければいけないと思いますが、いつまでも補助金頼みでいくわけにはいかないし、補助金申請も簡単な申請ならいいですが、国や自治体の申請はそれなりに資料の準備が必要ですし、資料の準備に時間をかけるんだったらアーティストがどうすればより輝けるようになるかに時間を割く方が有益です。
収支の部分をどうみていくか、どこで収入を得ていくか、ライブでの利益は考えず他で利益を生まなければいけないのかなど色々な工夫や模索がまだまだ続きそうです。

最後までお読みいただきありがとうございました。
ここはどうだったのか、この部分が知りたいなど疑問点がありましたらお気軽にコメントいただけると嬉しいです。

当日のセットリスト貼っておきます。ぜひ聴いてみください。


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