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二人三脚以上に。

漫画を描くときであれ、文章の推敲を重ねる時であれ、どんな時でもたとえ 眠っていても、必ず起き上がって一番最初にチェックしてくれ、一番厳しい意見をくれるのは、お父さんである。

例えば 人物を描くとき。
私はいつも、下書きも、ペン入れも、着彩も、一枚描き上げるごとにお父さんに見せる。

私が息を切らしながら、「描いた!」そう言って原稿用紙を持って、お父さんの所へ行くと、お父さんは たとえ 眠っていたとしても必ず起きて、デッサンが狂っていないかどうか、パースがおかしくないかどうか、意見を必ずくれる。

「人間が、こういう仕草をする時、こんな身体にはならないだろう?俺がやるから、写真に撮れ!それを見ながら描け!」

お父さんは、私が描けなかった人物のポーズを、実際にやってくれて、私はそれを何枚も写真に撮る。

写真を見ながらデッサンし、それを元に原稿用紙に描きなおす。

全く問題なく、うまく描けると、お父さんは我が事のように喜んで、「よし!これはいい!大したもんだ!よくやった!!」一枚一枚、必ず 労ってくれる。

私が原稿を始めると、睡眠時間がタイトになる。
お父さんは ごく自然に起きて 付き合ってくれて、原稿をチェックしてくれる。

文章の推敲を重ねるとき、何度でも同じ文章の直しに、1日がかりで付き合ってくれる。

「この表現は、読んで気分がいいものじゃないぞ。載せるか載せないかは、あなた次第だが」

「ことさら 強調する表現は、全て 削れ。あなたの悪い癖だ」

「ようやく、いいところまで削れたな。この文書はこれ以上いじるな」

私が、「お父さん!直した!!」そう 口にするたびに、夜中の2時3時 であっても、お父さんは 瞬時に起きて、直した文面を読んでくれる。

口当たりの良い事は絶対言わない。

率直な、的確な、厳しい 意見を真剣にくれる。

さながら我が家は、私の仕事のスイッチが入ると、お父さんと二人、戦場にいるような状態になる。

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