トクホの効果について

トクホについて

成分を対象とした研究では、夾雑物を除いた“きれいな”試料が使われます。一方、最終的な食品では、成分が同様の状態にあるとは限りません。消費者は、最終製品として本当に効果や安全性があるか確かめられているかを見た方がよいわけで、トクホは「食品そのもの」に効果があることが認められています。

──トクホには、「血圧が高めの方に適する」「食後の血糖値の上昇を緩やかにする」など の様々な表示があります。より身近なのは「食後の血中中性脂肪が上昇しにくい」あるいは「身体に脂肪がつきにくい」といった表示のあるトクホだと思いま す。この脂肪関連のトクホでは、表示にあるような効果はどのような仕組みで生じるのでしょうか。

食物が消化・吸収される段階で糖分の吸収を遅らせたり、脂質の吸収を遅らせたりすることにより、効果が表れるとされています。また、体の中で脂肪を分解させやすくするものもあります。トクホの保健作用に関与している成分(関与成分)によって、効き方は違います。

──では、具体的なトクホとして「キリン メッツ コーラ」(キリンビバレッジ) を取り上げたいと思います。このトクホ飲料では、どのような成分が鍵を握っているのでしょうか。

 「難消化性デキストリン」という成分が、メッツコーラで「食事の際に脂肪の吸収を抑える」と表示される上での関与成分となります。企業提供の情報によると、難消化性デキストリンはでんぷん由来の水溶性食物繊維で、 上部消化管における脂質の消化吸収の過程で脂質の吸収を遅らせ、便量増加によって便中への脂質排泄を促進させることにより、食後中性脂肪の上昇を抑制する といいます。

──実際、被験者がハンバーグやバターロールの食事とともに、メッツコーラと同様の難消化性デキストリンを5グラム配合した被験飲料を飲 んだ試験の結果が、論文で公表されていますね。そこでは、味は同様ながら難消化性デキストリンを含まない対照飲料を飲んだときとの効果の比較が示されてい ます(グラフ参照)。この比較をどう見たらよいでしょうか。

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グラフを見たら、差はわずかだと思うでしょう。実際、試験食品と対照食品の効果の差は、ほんのわずかでしかないと言えます。

 この差よりも、もっと大きな効果を確実に得る方法があります。ほかの食事内容で糖分の摂取量を減らせばよいのです。

──つまり、ハンバーグやバターロールなどの摂取量を減らせばよい、と。

そうです。

 それに、トクホの効果を示すデータは、統計的な処理がなされます。それはつまり、トクホを摂ったときに効果が表れる人もいれば、効果が表れない人もいることを意味します。そのトクホを摂る人たち全体で見てみれば「効果があると判定してよいだろう」ということなのです。

  効果の差は、ほんのわずかです。しかし、対照食品を摂ったときに比べて効果があるということは言えるので、表示されている内容は“嘘”ではありません。か たや世の中には、根拠がないのに「こんなよい効果があります」と標榜している食品もあるわけです。わずかであっても効果がデータで確かめられて初めてトク ホの表示ができるという考えを、消費者が認識してくれればよいと思います。

このグラフを見ても効果は限定的と考えられるでしょう。

つまり、トクホでこの程度という事は大半のサプリメントは効果のないものと考えた方がいいでしょう。

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