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【カンボジアの学校へ行こう!26】 #カンボジアで革新的な英語の授業 #これは日本でも使えるのでは?!#(空回りしない)熱血先生応援プロジェクト

■ 英語は中学校から → 小学校から

私の学生時代、「英語」は中学校からの必須科目だったことを記憶しているし、教科書に登場したヘレンというアメリカ人女子キャラの登場に一喜一憂した想いを昨日のように覚えている。授業冒頭に「グッモーニンエヴリバディー!」とドヤ顔で発していた英語の先生。あれ、絶対英語しゃべれなかっただろうな。

あれから数十年の時がながれて、中国が世界第2位の経済発展を遂げたりもしたけど、やっぱり未だに英語が、国際言語の筆頭にあることは変わっていない。

内向き傾向な日本の文科省も、国際社会における日本人の一般的コミュニケーション能力のヤバさにようやく気付いたようで、2020年から公立学校の小学校3年生から、外国語活動の授業が推奨され、5、6年から正式に英語の授業が科目として採用されているそうだ。

小学校の先生たちって英語大丈夫?そこは、英語を母国語とするガイジンを登用するという荒技で、この難局を乗り越えているらしい。。。

しかし、今の児童たちが大人になる20年後には、きっとある時点から、日本人の英語アレルギーも、かなり緩和されて英語で会話している若本たちが街頭でも見られるようになることだろう。

小学校教師。英語を知らなくったって授業はできます

扉絵の女性の先生、決して得意のカラオケを振り付けで、児童に披露しているわけではない。カンボジアも日本と同様、開始時期が中学だったのが、ある年から、いきなり小学校に教科書が配布され、小学校4年生からの英語授業開始となった。小学校の教師は英語指導の研修を受けた事が無いというのに。。。!!!

オレの時代は登下校の買い食い禁止だったなあ。ここは小学校にも購買部あり

カンボジアでも急に小学校で英語授業がはじまった。。。

もともと国内で教員数が不足している中、特に地方には英語の専門教員のいない学校が多く、英語の授業が行われていなかった。英語塾などが充実している都会と僻地の間で教育格差が起きていた。日本では想像しにくいかもしれないが、ここでは、英語が使えて外資系の会社に働く事ができれば、国内企業で働く倍の給料が見込める。外国語の習得の有無が、リアルな社会格差を生み出すのだ。

補助音声教材を使った英語授業

以前の記事で、弊NGO団体が、中学校用に作った英会話オーディを教材『Englishi is Fun 英語は楽しい』が、カンボジアの教育大臣の目に留まり、国定教材に採用された話を紹介した。「英語の教育なんて受けた事がないから英語の授業をするなんて無理だ。恥ずかしい!」と言っていた中学校男性国語教師も、この教材を使う事で「英語の授業?!イージーイージー!」というまでになった。

地域の先生同士で助け合い。。。

“言うは易く行うは難し”
自分だってABCもやばいのに児童に英語なんか教えられるわけないジャン。小学校の先生たちは開き直った。教科書は配布されたが、ほとんどの小学校で英語の授業は行われなかった。

困ったのは小学校の先生たちだけではなかった。小学校高学年の3年間の英語授業が抜けたまま、中学1年では英語学習4年目の授業を行わなくてはならない。中学校の英語教師は、英語の教授法を習得してはいるが、英語初心者に対する教授方に心得がない。中学校英語教員たちは、小学校教師の無能さを恨むようになった。。。

花の植えてある学校はイイ学校というジンクス。。独断と偏見

アルムナイ先生たちよ、立ち上がれ!

英会話教材(EiF)に続き、中学英語教員たちにも「教えやすい」と評判になった国定中学校英語教材を作り上げ、ドヤ顔になっていた我々でしたが、中学校の生徒たちから「英語の教科書がムズカシイ。。。」という声が耳に入り始めた。

英会話教材は、教員養成校奨学金受給の先生たち(アルムナイ)と、彼らの中学校で実際に試験授業を行ないながら開発したものですが、その中学英語教員たちに、小学校で英語の教授法研修もなく、英語授業が行われていない悲惨な状況を耳にして愕然としました。当時、高校英語の制作にも取り組もうとしていた時期で、このままでは英語教育が熟成しない理由を、我々の作った英語教材の責任にされかねないぞ。。。。オイオイ

そこで各地の英語アルムナイ教師たちを訪ね、小学校英語の問題について打開策がないか協議した。

「どう?小学校の先生たちの英語?」
「英語の授業なんて無理ですよ。彼ら研修受けてないんですから」
「。。。。。。」
「政府が悪いんですよ。研修せずに始めちゃったから」
「でもさ、EiFの時は非英語専門教師が、あれ使って英会話の授業をできるようになったじゃんか。」
「それは、、、あの教材をキズナが作ってくれたからです。」

「。。。。。。。じゃあ、小学校の英語教科書にも、EiFみたいな副音声教材があれば、小学校の先生でも、英語の授業できるようになるかな。」
「それは出来るようになると思います。」
「。。。。 でも結局さ、小学校の先生たちに、その音声教材の使い方教える研修をしなくっちゃならないじゃん。大事になるよ。」

「あ。それなら、近くの小学校の先生は友達だから、私がEiFのやり方、彼女に教えてあげますよ。大丈夫、大丈夫!」

まあ、こんな感じのやりとりだったと記憶している。

その後、小学校と中学校の校長先生、地域教育局の理解もあって、中学英語のアルムナイ教師とEiF制作プロデュースチームの協力で、小学校3年分(4〜6年生)の英語教科書の各パートの要点、単語や読み聞かせパートを英国人ネイティブに吹き込んでもらい、クメール語の解説を加えた音声副教材が完成した!

中学英語教員たち。自分の教科全体の問題とあって、真剣に協議に参加してくれた

よし、じゃあ試してみよう!と、実際に中学校英語アルムナイ教師がいる中学校の区域である21の小学校で試験授業で始めた矢先に、コロナで学校が長期休暇に入ったのだった。。。。

教育省職員もビックリの出来ではあるが。。

コロナ感染対策による休校の長期化が、カンボジアの英語教育に与えた影響は大きい。限定たれた短縮授業では、国語や算数といった主要科目のみの授業が実施され英語の授業は行われなかった。

小学校でのパイロット英語授業が再開されるまでに、2年の歳月が過ぎていた。それでも、小学校の英語授業が再開されると、中学校の英語教員たちがボランティアで小学校を訪問し、授業を観覧して小学校教員に音声教材を使った指導法についてアドバイスを行った。

今回は、このプログラムの研修会に参加した、小学校教育局の職員からの提案で、パイロット授業の前、中間、終了時に教育省からの評価を受けることになった。

検査官の評価は上場。特に授業をおこなう小学校の先生たちの英語授業に臨む姿勢が、見た目にもポジティブに変化していった様子に驚いていた。

しかしながら、このプログラムは、中学校と高校英語のカリキュラムのように、政府の要請をうけて始められた性質のものではなく、子供たちの成長を司っている、地方の学校現場の教員たちの声を反映して作られた教材である。

今後は、定期的に開催しているアルムナイ達の会合で紹介され、興味をもった地域の中学校アルムナイ教師が、地元の小学校に紹介し、草の根的に拡散されることに委ねられていく。

中学校では、非専門英語教員の補助教材となった国定英語音声教材のコンセプトを元に製作された教育コンテンツである。ラチのあかない役人達の政策を飛び越えて、現場の教員達が作り上げた教材が、カンボジアの教育に変革を与える日が待ち遠しい。

ジェスチャーで児童たちの英語学習をリードする


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