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【カンボジアの学校へ行こう!10】     #カンボジア発「英語は楽しい!」#国定オーディオ英会話プログラム#熱血先生応援プロジェクト(空回りしない)

■ 日本のNGOが一国の国定英語教科書を作成!?

私が参加しているNGOは、内戦後のカンボジアの教育復興として、2004年より、僻地から教員養成学校に通う研修生への奨学金支援を行ってきたのですが、教育の質を高める手段として、より具体的な支援を模索していました。

子供たちが将来安定した仕事を得るためには、国内の産業が乏しい状況において、海外の企業や観光業への就職が、最も身近にある成功法でした。そのためには国際言語としての外国語、英語力の習得に誰もが夢を託していました。

世界の中で英語オンチで知られる日本の団体が英語教育を⁈と初めは懐疑的でした。そこで、英語ネイティブのイギリスBBC(英国放送協会)、現地のオーストラリア英語学校、そしてイギリスの教科書製作専門家の協力を得て、これまで全国の公立中学校で使われている英語教科書を製作。昨年末には高校英語の教科書が完成。現在、既存の小学校英語教科書に音声副教材を製作しています。

■ 英語が好きになる英語教材

実際に英語の教科書が出来たとしても、教師の数が足りず、特に地方の学校には英語の教育を受けたことのある教師も少ない状況でした。そこでイギリスBBCと一緒に開発したのは、カンボジア語によるガイダンスと、ネイティブの音源を吹き込んだリスニングとスピーキングに特化した音声教材「English is Fun(英語は楽しい)」。

教員はガイダンスに従い、ネイティブの英語部分ではジェスチャーで生徒たちをファシリテートするというものでした。この教材は教育大臣から直接の要望を受けて国定カリキュラムに採用され、その後の教材開発の引き金となりました。

■ コロナ禍での教材開発

世界中で教育機関が休校となり、オンライン授業での対応が取られる中、カンボジアでも教育大臣の強いテコ入れで、オンライン授業を普及させようという同様の措置がとられました。

そして、これまで対面式で行われてきた全国の教員に対する新しい教科書の研修開催にも制限がかかり、ちょうど完成した「高校英語教科書」を普及させる道が途絶える危機に直面しました。そこで開発したのが、新しい教科書の使い方を解説するビデオ研修教材。ブルースクリーンを背景にした指導教官による講義に、アニメーション処理を施して編集し、ビジュアル的にもエキサイティングなビデオ教材が完成しました。

これまで対面式の研修には、莫大な国家予算がかかるため、殆どの教科では、新しい教材が研修の無いままに配布され、現場の教師たちを混乱させてきました。全国全ての英語教員が、教育青年スポーツ省のオンライン授業専門ホームページから本ビデオ教材にアクセス出来ます。また、各ユニットの最後に出題される「おさらいテスト」をクリアしないと次のユニットに進めない、というゲーム感覚で研修が進められていきます。そして、中央省庁では、全ての参加教員の研修進行具合を把握することが出来る仕組みになっています。

正にコロナ禍であったからこそ出来た「瓢箪から駒」「一石二鳥」のデジタルデバイスの誕生でした。

■ Phnom掲載記事(2020年2月号)

学校へ行こう10EiF

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