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梅雨と梅干し

庭の梅の実を漬けたのに梅酢が上がってきたので紫蘇を揉んで投入しようと買ってきたけれど、二束では全然足りない。
今年は梅の成り年だったようで、傷のついたのや虫に穴をあけられたのを含めれば、10キロ以上の収穫だった。
無農薬だから多少の傷は仕方がない。

赤い紫蘇は東側の庭にポツポツ生えていて、それが育つのを待っていては梅雨が明けてしまうかしら。
 
去年も梅干しを作ったけれど硬くて塩辛い失敗作だった。
食べられないわけじゃないので棄てられなくて、タッパーに入れたのが冷蔵庫奥を占拠している。
今年上手くできたら、心置きなくそれらは処分するつもりだ。

梅干しは買うと高い(南高梅は特に)けれど、自家製なら梅はタダ、塩はこだわってもたかが知れた値段だ。
価格の大半は手間賃だろう。

梅の実が完熟するタイミングに合わせて収穫し、やさしく洗って塩に漬ける。
書くと簡単だけれど、とにかくカビを生やさないように注意を払わなくては、全てが台無しになる。
梅酢が上がったら重石おもしを半分くらいにして、紫蘇を塩で揉んでアクを抜いたのを投入する。これはお好みで。
それからさらに、涼しいところで保管して梅雨が明けるのを待つ。
土用の頃に取り出して、ざるに広げて三日間天日に干す。
夜は屋内に取り込む、と、夜つゆに当てと柔らかくなるの諸説あり。
雨がかかってはいけない。

乾いたのを、再び梅酢に戻すと柔らかい梅干しに、と、そのまま保管のこれもお好みで。

何回か作ったが、うまく行ったのは一度だけだ。
ある夏のこと、梅を漬けて天日に干すのを忘れておっくうになり数年放置したかめを見つけた。
筒井康隆の短編『鍵』にあったような、カビの胞子の密林を予想して恐る恐る蓋を開けた。
あったのは、きれいに澄んだ梅酢に浸かった梅の実だった。
だめで元々と、試しに取り出して、干して食べてみたところ、問題ないどころか実に美味しい梅干しになっていた。
カビさえ生やさなければ梅干しはかなり長期に渡り保存できるそうだ。

✳︎

梅雨ばいうはもともと中国から伝わった言葉で、黴雨ばいうと書かれた、と参加しているメーリングリストにあった。

かびの雨から梅の雨へ…
梅の花はとうに終わった時期に、梅の字を当てたのは、梅干しにカビが天敵だからじゃないのかしらん…

私のかめにカビが入りこまないことを願うばかりの梅雨空です。

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