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タダノヒト
2020年8月27日 17:26
「私、電子音が聞こえるんですよぉ」 と、職場のかわいいかわいい後輩が言った。なにそれ、と私が訊くと、だから、と説明を始める。「電子レンジの音とか、スマホを充電している音とか。けっこうはっきり聞こえるんです。事務室ってパソコンだらけじゃないですか。少し、しんどいんですよねぇ」 困っちゃいます、と、後輩は笑った。それは電子音と言っていいんだろうか、と私は思ったが、あえて突っ込まなかった。彼女が
2020年8月21日 18:00
ふしぎな人を見た。 その女性は背が高くてスタイルもよく、目鼻立ちのくっきりとした、とてつもない美人だった。モデルか芸能人だろうか。わたしは見たことが無いけれど、こんなにきれいな人が芸能人だったら知らないはずがないだろうから、海外で活躍しているのかもしれない。なんとなく、和服だって似合いそうだし、日本人のような気がするけれど、外国の人かもしれない。というか、ここまでスタイルのいい人が、自分と同じ
2020年7月25日 22:56
「あつーい……」「そうね……ジェイ、もう少し離れてくれない?」「無理だよ、ビビ。もう毛先ほどだって動けない」「……まあ、気持ちもわかるけどね……暑すぎて、いつか干からびるんじゃないかしら」「ね、なんとなく、地面がふらふらしてるような気がするし……」「……あら、でも、なんだか一瞬、ひんやりしたような……?」「……遠くに、何かが見える気も……?」「それは……蜃気楼かしら……」「蜃気楼…
2020年7月15日 23:23
むかしむかし、よく研いだ上等の小刀のように頭の切れる男の子がおりました。 いつも試験で1等を取り、周りの大人たちからもてはやされ、同じ年ごろの子らから尊敬を受けていました。 そんな彼の関心事は、サンタクロースは本当にいるのか、ということでした。 サンタクロースといえば、クリスマスの夜に世界中の“良い子”達にプレゼントを配りに、トナカイが引くソリに乗って世界中を飛び回る、世界一の有名人でし